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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    エガキナ
    よその子さんお借りしてます

    ##エガキナ

    分からないこと 自分の双子の兄が死んだと聞いた時、時が止まったような感覚に襲われた。ほぼ連絡を取っていなかった両親からしつこく電話が入っており、仕方なく出た電話の内容が、それだったから。自分の兄───星が死んだと。双子の弟である月は言葉が出なかった、嘘だろ、や、なにいってるんだ、と言いたかったのに、出てこなかった。両親がなにやら話しているが、内容が頭に入ってこない。

     星、自分の兄であり、認可所属のツクリテだった。月も元は認可にいたのだが、なにもかも嫌になって免許を返納して、無免連に所属した。認可を辞めると言った時の星の表情が思い出せない、まともに顔など合わせなかったかもしれない。星の事が、昔から嫌いだったから。
     自分よりツクリテとしての才能もあった、作品もいいものを作っていた。誰にでも優しくて、いつも誰かのことを心配して、周りに好かれて。自分とは大違いだった。たった一つ、星は病弱だった事を除けば。没討伐している時、無理しているなとは薄々思っていた。けれど、自分にはそのような事を隠していた、病気で苦しいはずなのに。

     弟にすら言わないほど、自分は信用されてないのか。そう思った時、何かが消えたのだ。それがきっかけの一つかは知らないが、辞めた理由に当てはまるかもしれない。
     両親はまだ何か言っていたが、月は耐えきれず電話を終了した。また着信が入ったが、月は黙って電源を切る。真っ暗な画像に映った自分の顔はとても酷い顔をしていた。
    「……死ぬなんて思わなかった……」
     しゃがみこんで、体を小さく踞せる。嫌いなのに、嫌いだというのに、この気持ちはなんだ。胸が苦しくて、息が詰まりそうで、呼吸ができない。
    「……っ、ぁ……」
     月以外誰もいない開店前のカフェの店内で、嗚咽を漏らした。

     星の葬儀には結局参列しなかった、星は認可であったから、無免である自分が行ったら、めんどくさい事になるのは目に見えていた。変装して行こうかと思ったが、それすら出来なくて結局、行かなかった。墓参りすらも行けれてない、もしかしたら、自分は星の死を受け入れきれなかったのかもしれない。嫌いなはずなのにな、なんて自嘲気味に笑う。
     幾日がすぎた頃、とある人が月に話した。その人はよく月の店に来てくれるツクリテで、話もあってすぐに仲良くなった。年上で、まるで兄貴分のような人。月の兄、星の事も知っていた。そんな相手が、周りを気にしつつ、月にここだけの話、と言わんばかりにひそひそと話す。

    「お前知ってるか? お前の兄貴のニジゲン……無免にいるって」
    「……は?」
    「なんか無免のツクリテと暮らしてるらしいけど……えっと、名前は……ほら、映李。古金映李」
    「……は、なん、で」
     耳を疑った、いつ星にニジゲンが顕現した? と思ったが、それ以上に言葉を疑ったのは、そのニジゲンが一緒に暮らしてるツクリテだ。古金映李、自分の幼なじみだったから。そもそもだ、星の元に顕現したというのなら、管轄は認可か創務になる。星が死んだ今、本当ならそこにいるはずだ。なら。なんで映李───エリーの所にいるというのか。
    「おい、大丈夫か? 酷い顔してるけど……」
    「え、あ、あぁ。大丈夫……」
     本当は大丈夫ではない、むしろ頭痛まで引き起こしていた。これは直接本人に聞いた方がいい、なんて思いながら。夜ならあそこのバーにいるはず、そこで聞こうと。

     同人地下帝国にあるとあるバー、そこの扉を開けると予想通り、エリーが酒を飲んでいた。月は黙って隣に座る。目の前にいるニジゲン───永夜が注文を聞いてきた。
    「何にされますか?」
    「……カシスオレンジ」
    「相変わらず甘いの選ぶねぇ」
    「うるせぇ」
     エリーが笑って茶化すように言ったのを睨みつつ、永夜から差し出されたカシスオレンジをひと口飲み、月は口を開く。
    「……なんで引き取ったんだ、本来なら認可か創務所属になるはずだろ」
     月の言葉に、エリーはあっけらかんと話す。
    「ん? それはね、あいつが望んだからだよ。だから迎え入れた、それだけ」
    「……」

     あいつ、とは星の事だろうか。星がエリーに望んだことがどこか信じられなかった、なんで同じ幼なじみである針生途傘───メリーや、創務に務めている炎珠羽紅に頼るものだと思っていたからだ。確かに、エリーは面倒見がいい。けれど、さすがの星でも立場というものを知っていたはず。
    「なんで俺に、って顔してるね。そう思ってるうちはまだ分からないだろうねぇ、あいつの気持ちに」
    「なんだよ」
     エリーの言葉の意味が分からなかった、星の気持ちなんて知るはずがない。いや、知ろうとも思いたくなかった、の方が正しいだろう。エリーは話は終わったと言わんばかりに酒を飲む。月はそんな態度にどこかイラつきつつ、グラスの中に入っていたカシスオレンジに映った自分の顔に目がいく。
     不機嫌そうで、けれど、難しい顔をしていた。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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