「出来ましたよ」
昼下がり、陽の光が窓から入りこみ心地良さを誘う今日この頃。リブとダミアの目の前に置かれた、レイフの手料理……どこをどう見ても真っ黒で焦げ臭い何かが置かれた。目の前の料理だけではなく、キッチンからも焦げ臭さは漂っており、鼻のいいダミアは慣れたように呆れて笑っていた。リブはフォークで黒焦げの料理をつつく。つついた時、がさりと料理からしてはいけない音が聞こえ、ぼとりと落ちる。その隙間からは、火の通り過ぎで干からびつつある肉の面影が見えていた。
「……レイレイさぁ……」
「なんですか」
リブがもう諦めたかのように目の前の物を見つめる。レイフは何か問題でも? と言わんばかりに二人を見ては首を傾げる。素でこういう事をするのだからタチが悪い。レイフは、片付けをしてくるとキッチンへと行ってしまう。
「いや待てリブ、若干中身は黒焦げじゃないからレイフも成長してるわこれ。味は最悪だけど」
ダミアが苦し紛れの褒め言葉と味の悪さを言いつつ、外側の焦げを何とか取り除き、中身をちまちまと食べていた。
「腹壊すぞ!」
「最近、胃が強くなった気がすんだよな。食える食える」
「なんか褒められてる気がしますね」
「それはレイレイの気のせいだからな」
キッチンの後片付けが終わったのか、レイフが戻ってきた、手には何やらケーキを持っており、二人の目の前に置く。 それは季節の果実を使ったタルトケーキだった。
「ダミアもリブさんも、食べても大丈夫な果実を使ってますから」
「リブちゃんこっち食う」
「デザートは美味いんだよな〜」
明らかに黒焦げ料理よりも食い付きの良さにレイフは二人を睨むが、お構い無しに二人はタルトケーキを食べる。口の中に入れた時、果実の甘さクリームの甘さ、そしてタルト生地のサクサクとした食感とが相まって幸福になるような感覚に包まれる。
「相変わらずうめぇ……」
「レイレイさぁ……デザートがこんなに美味しいなら……なんでさぁ……」
リブが三つ目のタルトケーキを食べながら、呆れたようにレイフを見る。
「料理は目分量でも出来るって言いますしね」
「いやできてねーぞ」
「いっそもうデザートだけ作ればよくね?」
「スイーツは俺が苦手なので」
まだありますよ、デザートと言うと二人が即座におかわりと答えたのだった。