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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    エガキナ

    告白の返事

    ##エガキナ

    マカロンと共に「んで、琥珀……お前はどう思ってるわけ?」
     とある昼頃のカフェの一角、琥珀は親友である創と待ち合わせをし、とある相談をしていた。相談内容は、ついこの前バレンタインの日に、鈴鹿から本命だと言われて告白を受けた、という内容だ。普段見ない鈴鹿の反応に、自分も釣られて恥ずかしくなってしまったものだ。

    ───応えて欲しいとかじゃないつったけど、ちょっと嘘。ほんのちょっとだけ、俺んこと気にしてくれんなら嬉しいかな。

     そう言った言葉を思い出す。現に、あの告白から鈴鹿の事で頭がいっぱいになってしまった。鈴鹿は、いつから自分の事が好きだったのか。全く、気づかなかった。知らなかった、鈴鹿が自分の事を好きだったなど。告白されるなど、鈴鹿の事を考えると相当悩んだのかな、なんて思う。そして、創の言葉につまってしまった。
    「どう……って……」
    「……嫌だったの? 鈴鹿からの告白」
    「……」
     創の言葉に首を振る。嫌だったらここまで悩んで相談しない。鈴鹿の言葉は嬉しかった、自分は人に好かれるなど毛頭思ってなかったからか、嘘偽りのない鈴鹿のあの告白は、嬉しくて、すぅ、と何かが溶けていく感覚になるのだ。
     でも、なぜそう思うのか分からなかった。過去にも女性に告白を受けたり、たまに同性から告白を受けたことがあったが、こうなったのは一度もない。むしろ、嫌悪感が強く、酷い時は吐いたりもした。なのに、鈴鹿の告白だけは、そうならなかった。琥珀が"家族"として認識しているツクリテやニジゲンから好きと言われたりしたこともある、目の前にいる創からも好きと言われたこともある。到底、同じとは思えなかった。
    「……嬉しかった、と思う。合ってるのかな……この感情」
    「……嬉しかったんだ。告白」
    「……うん、創達から好きとか言われるのも、もちろん嬉しいけど……。……何だか……胸暖かくて」
    「そりゃー家族や親友としての好きと、恋……愛かな、鈴鹿の場合は。その好きは別物よ」
    「別……」
     改めて言われるとどこか恥ずかしくなる、琥珀がコーヒーを一口飲んでいるのを見て、創は口を開く。
    「……そこまで思ってるなら、お前の中で答えは出てるよ」
    「え?」
    「……俺が言えるのはここまで! お前がどう鈴鹿に返事をするのか、それはお前次第だよ。ちゃんと考えて、ホワイトデーに返事しな」
    「あ、創……」

     創は飲み物代を置くとカフェを出ようとする、その時、琥珀から引き止められた。
    「……ありがとう」
    「……いいってことよ、親友じゃん」
     創はそう笑ってカフェを後にする。道を歩きながら頭を搔く。
    「なんでこうも俺の親友は……」
     そう呆れてしまう、創は琥珀に何も言わなかったが、鈴鹿から告白の後連絡が来た。相当落ち込んでいる様子にも見え、いわゆる自己嫌悪だろう。琥珀の事だからちゃんと返事は考えるはず、となんとか慰めていたが、琥珀の反応を見てもしかしたら、なんて思う。
    「……もしかして琥珀……」
     もしかしたら、琥珀は鈴鹿の事が前から好きだった? と思ってしまう。まさかな、なんて創は笑う。それなら自分が気づかないとおかしい、鈴鹿が無自覚で琥珀の事を好きだった高校時代のあの時に気づいたくらいだ、もしその頃から好きだったら、気づくはず。
    「まー……どっちにしろ」
     ホワイトデーにならないと分からない。琥珀が鈴鹿に対してどう返事をするのか、出来ればいい方向へ向かって欲しいものだ。

    「……上手く焼けた……か?」
     ホワイトデーの前日、琥珀はキッチンにてオーブンから取り出したあるものを見て、上手く焼けた事にほっと胸を撫で下ろす。
     焼いているのはマカロンの生地だった。なぜマカロンを焼いているのか、鈴鹿のバレンタインのお返しに渡そうと思ったからだ。何をお返しにすればいいか、と調べていた時にマカロンの意味を見て、これにしようと決めた。けれどマカロンなど作ったことがなく、お菓子作りが上手な知り合いのニジゲンにみっちり教えてもらい、そして一人で作っていた。
     作っている味はチョコレート、抹茶、レモンだった。抹茶とレモンは、鈴鹿の髪色と目の色に似せたものを作りたい、と思いそう選んだ。生地が冷えた後、クリームを塗って綺麗にラッピングしていく。箱に入れている時に、鈴鹿はマカロンの意味を知ってるのだろうか、なんて思ってしまう。
     知っていたら恥ずかしいな、と思わず顔を赤くする。こうして、鈴鹿も自分に告白するために考えて、悩んで、いざ渡してくれたのだろうか、と目を伏せる。

    「……返事……」
     あれからまた悩んで、創に何度も相談したりもした。けど、やはり自分でちゃんと考えろ、と毎回言われ、考えて、返事をしようとマカロンの作り方をきき、そしてホワイトデー前日になってしまった。鈴鹿には明日会いたいと連絡をし、会えると返事も来た。ちゃんと渡せれるか、自分の思いを言えるか不安だった。けど、もう悩んでる場合ではない。
     鈴鹿が自分を想っての告白だ、自分もちゃんと返事をしないと。創にも一応連絡した、返事は頑張れよ、の一言だったがそれが心強かった。マカロンの作り方を教えて貰ったニジゲンからも背中を押して貰った。
    「……伝えよう、ちゃんと」

     ホワイトデー当日、約束の場所に行くともう鈴鹿は待っていた。琥珀は小走りで鈴鹿の所まで走る、鈴鹿も気づいたのか、琥珀の近くまで近寄る。
    「ごめん待ったか?」
    「いやさっき来たから」
    「……これ、受け取ってほしい」
     琥珀はそう言って紙袋を鈴鹿に渡す。受け取った鈴鹿は、中身を見ていいか、と一言言ったためそれに応え、中身を見たからか固まっていた。もしかして意味を知ってるのだろうか、と。
    「……鈴鹿?」
    「……これ手作り?」
    「……うん。もしかして苦手だったか……?」
    「いや、違う。……どうしよう、期待した、どうしようもなく」
     そう言って鈴鹿は琥珀から目をそらそうとする。琥珀はそうさせたくなくて、鈴鹿の腕を掴んだ。マカロンは渡せた、後はあの時の返事をするだけ、心臓の音が身体中に響くほどうるさい。一瞬でも気を緩んだら何もかも話せなくなりそうで、あぁ、告白というものはこんなにも、こんなにも、言葉が詰まりそうになるものなのか。でも言わないといけない、気持ちは、ちゃんと言葉にしないと相手に伝わらないから。

    「……改めて、あの日の返事……。……俺、その、好意とかよく分かってなかったし、今でも人を愛せれるか不安でたまらない……あと男なのも。もし女性だったら、鈴鹿の告白をもっとすぐに返事できたかもしれない。鈴鹿の言葉、すごく嬉しかったんだ。こう……胸が温かくなって。あぁ、人から好きっていわれるの、こんな感じなんだな、って」
     ちゃんと言えてるだろうか、頭が真っ白になる、今自分はどんな顔をしているのかすらも分からない。もしかしたら、苦しそうな表情で言っているのかもしれないし、伝えるだけで精一杯、といった感じの表情なのかもしれない。まだ、伝えたい、伝えてないことがある。
    「これでも相当悩んだ、創にも何度も相談したし……自分でも考えた。鈴鹿も同じ気持ちだったのかな、そうだったら嬉しい。……考えてて気づいたんだ。あぁ、鈴鹿って俺にとっては大切な……創以上に特別なんだ、って。だから……マカロン選んだ。……こんな俺でも、隣にいさせてください。……俺も、鈴鹿のことが好きです」
     隣にいたい、そばに居たい。好きだから、そばにいさせて欲しい。これが琥珀の答えだった。言ってしまった、全部言った。あぁ、鈴鹿の顔を見るのが怖い。鈴鹿の腕を握る手が震えてしまう。
    「……え!? ……本当に、いいの」
    「……」

     琥珀は鈴鹿の声に顔を上げた、鈴鹿の表情は、不安そうだった。どこか不安そうで、声も震えてたように聞こえた。琥珀は一旦手を離したあと、優しく鈴鹿の手を握る。
    「自分の事を気にしてくれたら嬉しい、って言ったじゃないか。本当にあの後、鈴鹿の事しか考えられなくて……ずっと考えて……。……隣にいさせてください、好きな人の隣に」
    「……うん」
     不安なのか、琥珀の顔あたりに顔を埋めて何も言わない鈴鹿。琥珀は少し考えて口を開く。
    「鈴鹿、こっち向いて」
     鈴鹿が顔を向けたタイミングで、琥珀は鈴鹿の頬に優しく口付けをする。ちゅ、との音に、何をしたのか気づいたのか、顔がみるみるうちに真っ赤になる鈴鹿。なお、釣られて琥珀も顔を赤くした。
    「琥珀……!?」
    「……恥ずかしい、な……」
    「……」
     その時、急に鈴鹿から抱きしめられた。力強く抱きしめられ、琥珀は慌て出す。体格は同じくらいのはずなのに、すっぽりと鈴鹿の胸の中に収まってしまった。
    「えっ、鈴鹿……?」
    「好きだ」

     耳元で囁かれ、思わずびくり、と体が跳ねてしまう。ふと、鈴鹿の心臓の音が耳に入る。あぁ、鈴鹿も自分と同じように、鼓動が早い。琥珀は恐る恐る、と鈴鹿の背中に手を回すと、口を開く。
    「……俺も、好き」
     そう言った後、お互いに顔を見合わせると笑う。
    「……あー、俺創に話したい」
    「……俺も話したい、かな」
    「今日はいないだろうし、後日行くか。……今からデートしよう」
    「……。……うん」
     そう言って、琥珀は鈴鹿の隣に立つと歩いた。

     後日、琥珀と鈴鹿は創の元へと言った。二人とも創から相談したり、話をしたりとした。まず最初に報告したい、とのことで、話をすることにした。二人の話を聞いた創は、思わず泣いた。
    「おい泣くなって」
    「だって……俺嬉しくて……」
    「ほら創、ハンカチ」
     琥珀から渡されたハンカチで涙を拭き始める創、二人は笑っていたが、創は本当に嬉しかったのだ。高校時代からずっと片思いしていた鈴鹿の想いが、ずっと幸せになって欲しいと願っていた琥珀が、今こうして叶って幸せの一歩を踏み出そうとしているからだ。二人の顔を見たらわかる、幸せだと。それを見てしまうと、泣いてしまうのは仕方ないだろう。
    「……幸せになれよ、ほんとに」
    「もちろん」
    「創もな」
    「うん……」
     泣きつつ二人を見る、末永く、幸せになって欲しいものだ。と創は笑って、またぽろぽろと泣いた。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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