新八どうにかしたい平九郎が黄鹿にグダってる「あのな、平九郎」
「な、なんだよ、そんな冷たい目」
「本気でも無いのに触んじゃないよ」
「何言ってんだよ、俺はいつだって本気――」
「新八郎よりかい?」
「……だってよ、男じゃねえか、助平な事とか――」
「できないんじゃなくて嫌われたくないからしないんじゃないのさ」
わたしなら怒らせても嫌われても良いと思ってんだろ
「……」
「図星とか嫌んなるね」
「……黄鹿よう」
「なにさ」
「どうしたらあいつものにできると思う」
「素直に言えば」
「えーー」
「あたしゃ知らないよ、新八郎が土方にかっ攫われてもさ」
「それは嫌だ」
「ほっといたら幕府と心中するだろ、あいつ」
「それはそうなんだよなー」
「……あんためんどくさいね」
「うるせえ、俺だってはじめてで困ってんだ」
「俺は善人なんかじゃなくて、あいつが軽蔑しそうな事だって山ほどして、女だって無理やり抱いたし、沢山殺したよ」
「だから?」
「……あいつにゃ言えねえ……」
「重症だねえ」
「嫌われたくない……」
「格好つけたい訳だ」
「悪いかよ」
「いや、良いんじゃない?」
「……でも男なんだよなあ」
「なんだ、男は抱けないのかい」
「試そうと思った気もねえよ」
「新八郎はあるかもよ」
「は!? な!?!?」
「そんなに驚くこと無かろうに」
「だっ、おま、だ、ダメだそんなん!!」
「なんであんたの許可がいるんだよ。割と良い家なんだろ、衆道とか珍しくもなかろうに」
「――土方になら抱かれてもいいとか言いそうでこわい……」
「だから言ってるんじゃないか」
「いや、それは、まっ、あああああ!!」
「重症だねえ」
「うぅ……」
「素直に言えば」
「……新八の野郎、婚約者がいたんだと」
「へえ。まあ、いてもおかしくないか」
「迷惑かけたくねえし、幸せになって欲しいから白紙に戻して縁切ったって」
「生真面目だねえ」
「……言えねえ……」
「本当に面倒だね」