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    ナナシ/ムメイ

    @refuge774 @mumei_774
    ゲッター(漫画版と東映版中心/竜隼)書いて一旦投げる場所に困ったのでここに。推敲したのはpixiv(https://www.pixiv.net/users/1604747)に。■→推敲格納済
    なにかあればましまろにどうぞ↓
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    ナナシ/ムメイ

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    アニアク。本編前。隼人とカムイ。

    最近書いてたやつの派生というかなんというかな感じのメモに残ってたやつ。

    ■ RISE ON GREEN WINGS ① 死のにおい、という記憶が線香と火葬場のものであったのはきっと幸せな事だった。
     割れたアスファルトの道路、見渡す限り広がる瓦礫、力無く彷徨い歩く人、いまだ燻る家屋、泣く子の悲鳴、投げ捨てられた人形のような死体、家族を探し求める声。火事の後のような焼け焦げたものに混じるどこか甘いにおいが人間の身体が焼ける時のものだと知るのはそう時間はかからなかった。そういったものはすぐに鼻を効かなくさせて、つい数時間前までそこにあったはずの生きていたにおいすら感じさせなくなった。俺たちの頃にも木造建築は少なかったから火災こそ長続きはしなかったが、黒い煙が何本も立ち上がる空は曇ってなんかなくて、綺麗に青くて、いっそ無慈悲に思えたよ。
     あの頃、数十年前に起こった事だ、と授業で見せられた記録映像はなんの為にあったのか。それを目の前にしてようやく理解したものだった。

    「情けないものだったよ」
     初めて理不尽で無惨な死を目の前にした時、小便も漏らしたし腰も抜けて、あいつに背負われてひいひい逃げた。ゲッターの狭いコクピットから見える切り取られた絵のような窓越しには耐えられた景色も初めて地上で目の前にした時には吐き戻しもした。

     人間世界での義務教育が終わる頃だった。ゲッターのパイロットを目指したい、と話した時、灯りを落とした資料室でそんな淡々とした昔話と共に改めて見せられたのはそういった映像だった。自分達の物はあまり残っていないが、「戦争」というものは何処でも大した変わりはしない、と。
     あの人の声は自分達しかいない資料室にポツポツと落ちて、静かな雨の日のような気配がしていた。冷静沈着を絵に描いたようなこんな人にそんな過去があった事はにわかには信じ難く、ただ、嘘はつかない人だったからそうなのだろうとは思えた。
    「……それでも、貴方は戦い続けた」
    「出来てしまったからな」
     苦笑、とでも取れるような小さな吐息と共に落ちた声はなんの感慨もないように思えた。

     人間とは都合の良いものでな。戦うために自分の思考を書き換える。日常感覚のままでは壊れてしまうものをそうして自衛する。
     それでも戦地から帰った多くの人間は五体満足であろうと多かれ少なかれ心に傷を負う。勝とうが負けようが一生その記憶に苦しめられる者も少なくはない。結局、狂った世界で変わらずに健常でいられるものは最初からどこか異質なのさ。
     ……だが、ゲッターに乗りたいなら話は別だ。あの中でも確固たる心を持てる者にしかあれは乗れない。容易く何かに溺れ自分を見失うような者に過剰な力を与える訳にはいかない。そもそもそんな者にはあれは乗りこなせない。

     暗い部屋でスクリーンに映し出される映像に目をやりながら、きっぱりとそう言い切るあの人はそれまでは自分に向けることは少なかった目をしていた。
     見せられた映像には自分が産まれる前のものもあった。それほどに長い時間、この人は戦場に立ち続けていたとその時ふと気付いた。あなたは異質だったのか、と口から出かけて、喉の奥にしまい込んだ。
     この人が数度に渡って人類を守り戦う最前線にいて、優秀すぎるほどに優秀だったとは聞いても、誰もこの人が傷付いていないなんて話してなかった。

    「心」とはなんだろう。自分のそれとあなたのそれは同じでいいのだろうか。種族が違うものでも。
     戦場でも持ち続けられるか、という問の前にそう思ってしまって、どう返せばいいかわからなかった。
     多分あなたは同じだと信じて疑ってはいないのだろう。そうでなければ停戦と和平を結ぼうなどとは思えない。一方的な侵略の結果、大切な仲間まで殺された種族相手にまでどうしてそうある事ができるのかはわからないが。
     答えに窮していれば、怖気付いたか自信が無いとでも思われたのか、ふと自分に向けた顔の中で目だけがわずかゆるんだ。

     勘違いするな。
     戦えない事や戦わない事は責められる事ではない。蛮勇で死にに行かれても無駄で邪魔なだけだ。個性には何事にも向き不向きがある。戦わずして社会を構成する、その一員となるのも選択だ。戦ってはならない人間もいる。その為に私達という存在がある。
     ……わかるか?

     冷たく感じる声の中にわずか混じる言い聞かせるような気配に「はい」と頷いて目を合わせれば、じっと目を覗き込まれているような気がした。

     確かに、お前には兵士として戦えるようにも教育はした。ゲッターに乗れるものならという期待もある。
    だが、お前がいくら覚悟をしても、努力をしても、最終的に判断するのは私だ。適性がないなら切り落とす。

     感情が読めない目でそう言って、あの人は一晩考えろと部屋を出ていった。

     やはり不思議な人だと思う。考えて決めろ、と。結局は人質で自国からも体の良い駒と看做されている自分に。こんな時まで公平で誠実だった。

     スクリーンは淡々と事実だけを流し続ける。善も悪も問わずただ破壊された景色を。

     ――あなたは自分と同じ年の頃、この光景をどんな表情で見つめていたのだろうか。
     そんな事が頭から離れなかった。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLEアイサガ軸のチェンゲ竜隼。バレンタインとかホワイトデーとかの時期を盛大に逃したけど今出さないと完全に忘れるだろうので。
    適当に色々ぼかしてあるので、「アイサガ隼人の好物はエネルギーバー設定」だけ知ってればチェンゲで読めると思います。(そもそもチェンゲ本編は再会してから時間無さすぎでこんな話やれるはずないのは置いといて)
    好きにしたいだけ今日は元の世界で言うところのバレンタインデーだかなんだか、らしい。
    そんな習慣がこっちにもあるのかと不思議になったが、恋人やら家族やらへの感謝の日みたいなもんがあるって事は、誰かに感謝とか好意を伝えたい人間がそれなりにいたって事だろうし、悪くねぇと思う。

    女からチヤホヤされたいか、と言われれば、性別どうのじゃなく好意を貰えばそりゃ嬉しい。が、好意のフリだけしたご機嫌取りだの媚びだのは昔から遠慮願ってたくらいには興味がねえし、いっそ煩わしい。口にこそ滅多にしねえが。
    もし、愛情の形とか貰えるなら、大事に思う相手からだけで良いし、なんなら貰うより送る方が性に合ってる――それが誰か聞かれたら困るが。

    コートのポケットに突っ込んだままのエネルギーバーを思い出して軽く眉を顰める。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLE1本目→寒すぎて五半をくっ付けたかった。(動機に邪念しかないがまた銀婚式夫婦)
    白狐の毛皮は秋野さんが前に書いたネタから拾いました。手入れすれば長持ちするんだそうで。
    羽織は戦国時代からとか調べはしたけどなんか違ってるかもしれない。

    2本目→でっかーい五右衛門がちっちゃな柘植櫛摘まんでにこにこ半蔵の髪すいてたら可愛いなって

    (言葉遣いは元が割と現代風混じってラフなので細かくやってません)
    ■ 冬の五半╱ぬばたまの動物というのは人が思うより頭が良い。
    息も白む冬の最中、いつの間にやらするりと入り込んだ猫が書き物机の隣に置いた火鉢に背を着け丸まり、ごろごろと喉を鳴らしていることなどもままある。

    しかしまあ、逆に時折、人であっても動物より頭がよろしくないのではないか、と思う時もある。
    半蔵は暫し席を立った間にどこから乗り込んで来たやら、火鉢の傍で身を縮めていたそれに溜息付きつつ呼びかけた。

    「……五右衛門」
    「なんだァ?」
    「冬の間は山越えが危のうてかなわぬから、滅多に来るなと言うたじゃろう」
    熊かと思うて背筋が冷えたわ、と半蔵は帯に忍ばせた短刀を再びしまいながら呟いた。火鉢の前に黒い毛皮の小山が見えた時には本当に熊かと思い一瞬肝を冷やしたのだった。
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    ナナシ/ムメイ

    DONEネオゲ本編後竜隼。
    あの世界の竜馬はどうして研究所離れて、二人は五年間何考えて過ごしてあの後どうしたんだろうとか。

    ネタとしては粗方見終わった直後にはあったんですが、データ二回飛ばした(主な理由)り、書こうとしては原作と根本的な軸や核が色々噛み合わなさすぎることに悩んでこんな時間かかり……。
    原典周りから色々設定引っ張りながらネオゲの本編内容ある程度組み込んでるつもりです。
    ■ もう一度、何度でも五年、という月日は短かったのか、長かったのか。

    ……さっぱりわからねえな。なにもかも。
    そう胸の中で独りごちながら、竜馬は縁側で一人煙を燻らす隼人を眺めた。
    黒いスラックスに白いワイシャツ。ネクタイが外されて見える首元に、今はあの十字架の鎖も無い。

    恐竜帝国の再侵攻、そして六年近くに渡っての戦いの決着からしばし。
    あの日、あの瞬間、中天で輝いていた太陽の代わりのように月が静かに秋の夜闇を照らしていた。
    山中にあるこの烏竜館は、今は自分達以外に人もおらず、まだ手入れの行き届いていない庭の草むらからは澄んだ虫の声が響く。
    長い脚を持て余す様に片膝を立てて縁側に腰を引っ掛け柱を背に寄り掛かる隼人の姿に、竜馬は不意にいつか早乙女研究所のバルコニーで手摺に腰掛けていたその姿を重ねた。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLERe:ハニー小ネタだけど竜隼。そういえば二十周年なのかと気付いたので、記念的に。
    資料未所持で本編だけ見て書いてるのでなんか違っても許して。

    映像や脚本も良かったし単純にポップでキュートでビビッドで派手で外連味があって面白かったけど、「ダイナミック漫画作品における戦闘シーンのお顔これだー!!」感があってそういう所もとても好きです。
    今度こそ二人共に並んで生きてくれ、みたいな祈りを感じるところも。
    ■ CROSSING《Re:ハニー》前半→ハニーとなっちゃん
    原作は漫画版しかきちんと見てませんが、例えご都合主義でも違う世界と人々であってもあの終わり方は嬉しかったです。
    「友」は少なくとも石川ゲッターロボでは本当に愛した存在にこそ向けられる言葉なので、そのニュアンスで。
    後半→「早見」と「誰か」
    説明めんどくさいから極端に簡単に言うと、Re:ハニーはハニーだったけど同時に石川ゲッターロボだったし、早見は竜馬寄りで隼人混じってたよね?って前提で、なら早見にも相方いてもおかしくないよね?っていう。


    =====


    「あのね、なっちゃん」
    「なに、ハニー?」
    「えへへ、んーん、呼んでみたかったんだぁ」
    「なによ、にまにましちゃって。ほら、片付け終わってないじゃない」
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