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    ナナシ/ムメイ

    @refuge774 @mumei_774
    ゲッター(漫画版と東映版中心/竜隼)書いて一旦投げる場所に困ったのでここに。推敲したのはpixiv(https://www.pixiv.net/users/1604747)に。■→推敲格納済
    なにかあればましまろにどうぞ↓
    https://marshmallow-qa.com/refuge774

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    ナナシ/ムメイ

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    東映版無印開始前。開始時には既に知り合ってたので初対面とかどうだったのかな、ってやつの書きかけ→ざっくりできたよ!! どう読んでもリョ→ハヤに見えるのはもう諦め入りかけてるよ!!

    シティボーイって言葉はこの年代よりちょっとだけ後のはずだが他に思いつかなかったから許して欲しい。何せ私生まれてない。調べるほど異世界で困っている。

    ■ あかね色と銀色と神隼人、は入学当初から人目を引いた。
    皮肉な微笑みを浮かべる大人びた顔立ちに、風に揺れる肩ほどまでの青みがかった黒髪と随分恵まれた容姿な上に頭も運動神経も良く、スカしてキザったらしい振る舞いすらよく似合っていた。
    スラリと手足の長い長身を目立たせるような黒いライダースーツなんて格好で、皆が憧れたチョッパーハンドルに改造されたオフロードバイクのエンジン音を派手に響かせ正門前に乗り付けた日には、如何にも流行りのシティボーイというやつを見せ付けられたようで山間にある浅間学園高校の人数比が少ない女子は密かに沸き立ち男子は揃って羨望やらの滲んだ不愉快な顔をしたものだ。
    ミーハーだと思われるのも癪で気にしていない素振りをしながら(世の中には随分恵まれた奴もいるもんだなぁ)なんて、どこに向けてるのかもわからない少しばかりの苛立ちと共に思ったのが最初の頃の印象、だった気がする。
    つい去年まで垢抜けない中坊だったはずなのに随分生意気だ、と彼に喧嘩を吹っかけた野郎は上級生にまで及び、そのことごとくは返り討ちにあったなんて話も日常茶飯事だった。
    数ヶ月を過ぎても部活に所属せず、授業が終わればすぐに私服に着替えてふらふらと気ままに過ごしている彼の姿を、サッカー部で汗を流しながら何度見ただろう。体育の授業でまざまざ思い知らされた身体能力を見込んでどの運動部も彼を欲しがったし、自分も勧誘したものだ。全てあの人を拒むような鼻で笑う笑みと共にすげなく断られたが。
    女子からの密かな人気も男子からの反感も、容易く集めて一匹狼を気取る姿に嫉妬しなかったのかと言われれば、していた。
    あいつの実力は認めざるを得なかったが、俺にだってプライドはある。負けるものかと意地を張った。話しかけて「馴れ合いたいのか?」なんて鼻で笑われるのが嫌で、ひとりハーモニカを吹く姿を横目に眺め、張り出されたテスト順位でもいつもその名前を探し、自分勝手に好敵手だと思い込んでいた。
    そうこうしているうちに夏が過ぎ、すっかりと秋も深まっていた頃だった。

    「部屋替え、ですか?」
    「いや、違うんだよ。今、君たちの部屋は三人部屋だが君と巴君で二人だけだろう?」
    どうも神君の折り合いが悪くてね、同室の子から不満上がっちゃって。
    ムサシと二人呼び出された寮の食堂でそう言って「困ってるんだよね」と頭を搔くのは上級生の寮長だった。
    「自分は思った事を言っただけで先に喧嘩売って手を出して来たのは向こうだ、ってそりゃ確かにそうではあるんだよな。一年坊主に伸されたなんて知られたくないから黙る奴も多いし。そうなると明確に素行不良って訳でも無いし成績も良いから先生方も強く出れないみたいでさ。でもあの態度だろ? 反りが合わない子は本当合わないらしくて」
    「はあ、それで僕達の部屋に?」
    「流君と巴君なら無闇に喧嘩も売り買いしないだろ? な、頼むよ」
    そう言って頭を下げられればムサシと二人、断りきれなかった。

    「神隼人、ってあいつだろ。あのスカした感じ悪い奴。おいら、あいつはあんまり好かねえんだけどなぁ」
    お前もそう思わねえか、リョウ?
    食堂からの帰り道、渋い顔をしてムサシが言う。北海道から来たというムサシとは浅間学園に入学してからの付き合いだ。おおらかで気の優しい奴で寮が同室になってすぐ仲良くなった。そんなムサシがそう言うのは少し珍しい。だがわかる。
    「さてね、深く知り合いでもないのに好きも嫌いもありゃしねえよ」
    そんな風に返していれば廊下の向こうから当の本人が歩いて来た。俺達と同じように寮長に呼び出されたのかもしれない。こちらを一瞥もせずに歩いていく姿を横目に見て。
    仲良くなれるだろうか、と思った。


    「どうせそんなにここに居着くつもりもねぇよ」
    俺が居ない方がお前らだって清々するだろ。

    ハヤトが部屋を移って来た日、宜しくと言って手のひらを差し出せば、腕組みしたまま眉間に軽く皺を寄せてそんな言葉があった。ムッとした顔でなにか言いたそうなムサシを目で押えて口を開く。
    「どうしてそんな事言うんだい」
    「仲良しごっこなんざする気は無いって事だよ」
    「ごっこなんかじゃないさ」
    きっぱりと言い切れば初めて真正面から目が合った。訝しげに見つめてくる顔に表情を緩めて返してみれば、ふんと鼻で答えてそっぽを向かれた。
    握られなかった手を引っ込めながらムサシと二人、顔を見合わせて肩をすくめた。どうにも気難しい奴のようだと思った。

    空いていた三段ベッドの真ん中がハヤトの寝場所になった。半年程この寮で過ごしたはずなのに、ハヤトの荷物は少なかった。勉強机の下に荷物を置いて、音も立てず、するりとベッドに潜り込む姿が猫みたいだと少し思った。
    同じ部屋で過ごしてしばらく見ていれば最初に言った通り寮の部屋には最低限しかいないようで、そんな様子はまるで他人を拒んでいるように思えた。
    「……ハヤトは寂しくないんだろうか」
    「好きでああしてるんだろ、ほっときゃいいじゃねえか」
    「……そうかな」
    ムサシの言う事はもっともなんだろうが、どうにも気になって仕方なかった。本当は、最初から気になっていたかもしれなかった。

    一緒に過ごせば気付くことも増える。
    ハヤトは誰にも興味なんてないみたいな顔して案外他人をよく見てる奴だったし、優しかった。
    ムサシが宿題にてんやわんやしてれば悪態を着きながらきちんと教えてやってたし、忘れ物をした時には無言で貸してくれたりもした。態度こそ愛想も素っ気も無かったが、それを恩に着せることも無く、当たり前みたいな顔してやるのは嫌いじゃないと思った。
    今までも別に俺たちを嫌ったり疎ましく思うからじゃなかったとわかればなんだか安心して、慎ましやかで繊細そうな思いやりも目に付くようになった。
    自分が嫌なことは嫌だとはっきり言って、やりたくない事はやりたくないとまるで気まぐれでもあったが、逆に言えば色々と押し付けない限りは静かだし穏やかだった。
    窓辺に腰掛けてハーモニカを吹くのには最初は面食らったが、慣れてしまえば悪くはなかった。たまに臍を曲げて夜間に吹くのだけは勘弁して欲しかったが。

    「なんて曲だい?」

    勉強机に向かいながら、ふとメロディが止まった瞬間にそう何気なく聞いたのは単純に気になったからだった。
    ムサシは柔道部の練習でいない夕食前。開け放してハヤトが腰掛けた窓辺、冬の気配を含んだ風がカーテンを揺らしていた。
    驚いたような間と気配に顔を向ければ、訝しげな顔でこちらをじっと見ている瞳と目が合った。こいつはなにをするつもりか、と身構える猫を思い出して、なんだか口元が緩んだ。すぐ逃げ出さないくらいには慣れてもらえたのかと思う。
    「いや、よく吹いてるからさ。俺は嫌いじゃないよ、その曲」
    「……特に名前とかはねえよ」
    ……昔聞いた歌、いじって吹いてるからよ。
    しばらく考えるような間の後に、ふいと目を逸らして呟かれたのは、それでもきちんとした返事で少し嬉しくなる。
    ハーモニカを持っていない方のハヤトの手が胸元からこぼれた十字架に触れていて、多分これ以上は聞いてはいけないんだろうと思った。
    「そうか。ハヤトは器用だし、音楽の才能もあるのかもな」
    するりとそんな言葉が口から出て、そういえば、いつの間にか遠くからハヤトを見ていた時のモヤモヤした気持ちが消えていた事にその時気付いた。ハヤトが色々できる事を羨んで情けないことながら嫉妬するより、素直に認める気持ちの方が強くなっていた。
    「好きに吹いてるだけだぜ」
    「少なくとも俺よりはありそうさ」
    ふふ、と笑ってみせれば鼻白むように目を瞬かせて、困ったように顔を逸らした。白い肌が夕焼けに染まっていて、映画のスチール写真みたいに似合ってるのが癪だった。
    もっと近くにいたらいいのに。
    ふと湧いて形になった気持ちは理由なんかわからなくて、けどそう自分が思ってるのは確かで、多分ずっと前からそうで。

    「……お前の好きな曲はあるのかよ」

    「え」
    小さく聞こえてきた声に驚いて目をぱちくりさせていると、横目でこちらを見たハヤトがふっと小さく笑った。
    「気が向いたら吹いてやってもいいぜ」

    リョウさんよ。

    なんだか、初めてまともにきちんと名前を呼んでくれたようで、自分を認めてくれたみたいで。
    「それは、嬉しいな」
    自分でもわかる満面の笑みでそう返した。


    ――あまりハーモニカの音色を聞かなくなった今でも、たまに思い出す。
    夕陽が差し込む中、どこか恥じらうように笑ったハヤトの顔。
    なんだか勿体なくて、俺は今になっても誰にも話さずにいる。
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    Replies from the creator

    ナナシ/ムメイ

    DOODLEアイサガ軸のチェンゲ竜隼。バレンタインとかホワイトデーとかの時期を盛大に逃したけど今出さないと完全に忘れるだろうので。
    適当に色々ぼかしてあるので、「アイサガ隼人の好物はエネルギーバー設定」だけ知ってればチェンゲで読めると思います。(そもそもチェンゲ本編は再会してから時間無さすぎでこんな話やれるはずないのは置いといて)
    好きにしたいだけ今日は元の世界で言うところのバレンタインデーだかなんだか、らしい。
    そんな習慣がこっちにもあるのかと不思議になったが、恋人やら家族やらへの感謝の日みたいなもんがあるって事は、誰かに感謝とか好意を伝えたい人間がそれなりにいたって事だろうし、悪くねぇと思う。

    女からチヤホヤされたいか、と言われれば、性別どうのじゃなく好意を貰えばそりゃ嬉しい。が、好意のフリだけしたご機嫌取りだの媚びだのは昔から遠慮願ってたくらいには興味がねえし、いっそ煩わしい。口にこそ滅多にしねえが。
    もし、愛情の形とか貰えるなら、大事に思う相手からだけで良いし、なんなら貰うより送る方が性に合ってる――それが誰か聞かれたら困るが。

    コートのポケットに突っ込んだままのエネルギーバーを思い出して軽く眉を顰める。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLE1本目→寒すぎて五半をくっ付けたかった。(動機に邪念しかないがまた銀婚式夫婦)
    白狐の毛皮は秋野さんが前に書いたネタから拾いました。手入れすれば長持ちするんだそうで。
    羽織は戦国時代からとか調べはしたけどなんか違ってるかもしれない。

    2本目→でっかーい五右衛門がちっちゃな柘植櫛摘まんでにこにこ半蔵の髪すいてたら可愛いなって

    (言葉遣いは元が割と現代風混じってラフなので細かくやってません)
    ■ 冬の五半╱ぬばたまの動物というのは人が思うより頭が良い。
    息も白む冬の最中、いつの間にやらするりと入り込んだ猫が書き物机の隣に置いた火鉢に背を着け丸まり、ごろごろと喉を鳴らしていることなどもままある。

    しかしまあ、逆に時折、人であっても動物より頭がよろしくないのではないか、と思う時もある。
    半蔵は暫し席を立った間にどこから乗り込んで来たやら、火鉢の傍で身を縮めていたそれに溜息付きつつ呼びかけた。

    「……五右衛門」
    「なんだァ?」
    「冬の間は山越えが危のうてかなわぬから、滅多に来るなと言うたじゃろう」
    熊かと思うて背筋が冷えたわ、と半蔵は帯に忍ばせた短刀を再びしまいながら呟いた。火鉢の前に黒い毛皮の小山が見えた時には本当に熊かと思い一瞬肝を冷やしたのだった。
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    ナナシ/ムメイ

    DONEネオゲ本編後竜隼。
    あの世界の竜馬はどうして研究所離れて、二人は五年間何考えて過ごしてあの後どうしたんだろうとか。

    ネタとしては粗方見終わった直後にはあったんですが、データ二回飛ばした(主な理由)り、書こうとしては原作と根本的な軸や核が色々噛み合わなさすぎることに悩んでこんな時間かかり……。
    原典周りから色々設定引っ張りながらネオゲの本編内容ある程度組み込んでるつもりです。
    ■ もう一度、何度でも五年、という月日は短かったのか、長かったのか。

    ……さっぱりわからねえな。なにもかも。
    そう胸の中で独りごちながら、竜馬は縁側で一人煙を燻らす隼人を眺めた。
    黒いスラックスに白いワイシャツ。ネクタイが外されて見える首元に、今はあの十字架の鎖も無い。

    恐竜帝国の再侵攻、そして六年近くに渡っての戦いの決着からしばし。
    あの日、あの瞬間、中天で輝いていた太陽の代わりのように月が静かに秋の夜闇を照らしていた。
    山中にあるこの烏竜館は、今は自分達以外に人もおらず、まだ手入れの行き届いていない庭の草むらからは澄んだ虫の声が響く。
    長い脚を持て余す様に片膝を立てて縁側に腰を引っ掛け柱を背に寄り掛かる隼人の姿に、竜馬は不意にいつか早乙女研究所のバルコニーで手摺に腰掛けていたその姿を重ねた。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLERe:ハニー小ネタだけど竜隼。そういえば二十周年なのかと気付いたので、記念的に。
    資料未所持で本編だけ見て書いてるのでなんか違っても許して。

    映像や脚本も良かったし単純にポップでキュートでビビッドで派手で外連味があって面白かったけど、「ダイナミック漫画作品における戦闘シーンのお顔これだー!!」感があってそういう所もとても好きです。
    今度こそ二人共に並んで生きてくれ、みたいな祈りを感じるところも。
    ■ CROSSING《Re:ハニー》前半→ハニーとなっちゃん
    原作は漫画版しかきちんと見てませんが、例えご都合主義でも違う世界と人々であってもあの終わり方は嬉しかったです。
    「友」は少なくとも石川ゲッターロボでは本当に愛した存在にこそ向けられる言葉なので、そのニュアンスで。
    後半→「早見」と「誰か」
    説明めんどくさいから極端に簡単に言うと、Re:ハニーはハニーだったけど同時に石川ゲッターロボだったし、早見は竜馬寄りで隼人混じってたよね?って前提で、なら早見にも相方いてもおかしくないよね?っていう。


    =====


    「あのね、なっちゃん」
    「なに、ハニー?」
    「えへへ、んーん、呼んでみたかったんだぁ」
    「なによ、にまにましちゃって。ほら、片付け終わってないじゃない」
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