アニアク竜隼がチェンゲ組に合流したらどうなるか(オマケ新馬)その②【前回書かなかったこれから出るかもな人物】
新ゲ隼人→戦鬼と隼人の反転存在。二匹目の鬼。
とにかく他人に興味がない。力にしか興味がない。平等に公平に他人を愛した隼人の逆転として、平等に他人に一切の興味を持たない。
それゆえ目的達成のため以外に他人に関わることも一切しないし、愛してほしいなどという欲も持たない分、筋は通っていていじめっこムーブとかセクハラしないだけ日常生活を送る分にはマシ。馬鹿と接触するのがもうめんどくさいから部屋に引きこもってたいとかそういうタイプ。
新馬に執着がある、という訳ではない。
あくまでも力に執着しているだけであって、その視点から言えば新馬はむしろ自分の目的を邪魔する障害物。嫌がらせの意味もなく、殺すより他にない存在。
原典二作品における流竜馬と神隼人にあった「正反対の同一人物」「運命の片割れ」といった設定も作中描写では双方所持している様子がない。
なんだけどどうして「特別」とわかった瞬間殺して力を手にしようとしなかったのかがわからない。お互いにまともに相手を見ていない決定的な断絶の描写だったのだし殺そうとするのが自然なはずではないのか。
ワンチャン実はあの中で唯一まともな理性を獲得仕掛けていたという解釈もできなくはないのかもしれない。
新馬や新弁慶は割りと典型的に自他肯定や協調性以前の自他分離ができていないタイプの言動をしていて、
正直「俺はお前じゃない」がわかりかけてるだけまだマシとすら言える。
自他分離からの自他肯定の過程、01思考で自分か他人しかいない世界しか見えてないから拒絶に繋がる(これを視覚化したのがエヴァのATフィールド)。
全員成りだけご立派ながら中身がお子さま。
通常は他者の存在確認を通して、自分と他人は違うこと、多様な価値観があることなどを知って、自我を確立し他者を尊重するという過程を得るはずなのだが、周囲に他人がいて交流もあり二十歳も過ぎていながらこのメンタリティは問題しかない。
新人に関してはそもそも環境が崩壊していたと解釈できるが、新馬と新弁慶は周囲からの優しさや気遣いは受け取れる環境があったと描写されている。
新馬は自分は特別だからちやほやされて当然とかいう赤ん坊の全能感のまま、新弁慶は親の言うことさえ聞いていれば怒られないという幼児の主体性の薄さのまま大人になったようにも思えるため尚更性質が悪い。
そういう輩をよちよちするだけなのは共依存だし介護である。
「お前はなにもできない赤ちゃんだから以下略」と、子との自他分離ができておらず、子の主体性を認めずに管理しようとする(自分に同調=同化させようとする)のが毒親の思考によくある奴。
これが多分この作品でのゲッター線解釈。(手天童子の子朗の母反転存在でもある。本家ゲッターでこの傾向があったのは號の教師とか拓馬の母親)
「愛する存在あればこそ、人は他人を思い理性を獲得する」武蔵などにそういった文脈が隠れているダイナミック漫画作品でもあるので「誰もまともに愛せない」とは「どこにもまともな理性がない」にも通じるであろう。これは同期する設定となる。
すごいどうでもいいんだけど川越ゲッターの人物たち、原作比較せんでも自己愛とか被愛願望拗らせて精神状態不健全だったり、単純に未成熟すぎてそもそも戦場に立つなだったりするんだけど川越監督はそういうのが好みなのか? そういうのはそういうので別にいいと思うけど、それやるなら全員殺して世界滅亡させるくらいの腹決めないとダイナミックプロ作品とは絶望的に向いてないと思う。
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『交渉』は時に互いの状況を説明して確認し解決され、条件を提示し押し引きしながら、「一先ずは一緒の生活をしてみる」という形で落ち着きつつあった。
「ならば、基本は別居住区域に分かれて住み、定時連絡など必要な場合に集合、でいいだろうか」
「なんか話聞いてると三世帯住宅化みてえだな」
「現状が集合住宅ってもまあ間違いじゃねえだろうし?」
そいや今までのお前らの話だと他にもいるんだろうがそいつらは?
あー
分岐した世界っても色々でよ、あっちはあっちで色々ありはするだろうが
あなた方に近い『私たち』がいる世界もあるが、その二人は生まれ変わって現世にいるな。今は戦国時代だとか
へえ、やっぱ一緒にいるんだな
お前の執念深さなら納得だ
あとは……野良犬が一匹……
はぁあああ
あいつマジで困んだよな、どうする
どうするたってよ
赤子レベルの二十歳すぎが俺たちより後の世界にもひしめいているなど、人類が滅びを回避するのは奇跡にも等しいと思わせる逸材だからな……
どうも元を辿れば俺らじゃねえっぽいし、仕方ないっちゃそうだけどよ、最初から自滅するの見えてる奴にあんな力やるってゲッター線はなに考えてんだよ、さっさと滅ぼしてやり直す気か?
つか、俺らですらこいつはダメだって腹立てたのにこの人らに会わせたら容赦なく息の根止めにかかんじゃねえの?
うーーーんんんん
随分な問題児がいるのだな
……なんかすげえ嫌な予感がする
いきなり直接会わせるのは危険ではないかという話になったので、先に映像記録を見てもらおうかと
「「……」」
ソファーで天井を見上げて顔を押さえるリョウと背中丸めて指を組んで額に当てる隼人
「……中身が似てると同じ仕草すんだな」
竜馬と隼人は大体それしてたぜ。
「……『俺』の面汚し……」
「気持ちはわかるが殺気が漏れてるぞ、リョウ」
「別の奴だって自分に言い聞かせてんだが、どうしても鬼に改造されかけた俺とかアトランティスに改造されかけたお前とか人造武蔵思い出してダメだ……せめて名前が違っていてほしかった……それにしてもこいつなんなんだ、鬼じゃねえのか」
「命の重さというものをまるで理解できていない……」
「あんなん武道家でもなんでもねえただの下衆だぜ? 見知った人間と土地ひでえことにされて『俺のシマ荒らしやがって』程度なのもどうなんだよ……モノにしろヒトにしろ、てめえの物のつもりとか厚かましいにも程があんだろ。やっぱ鬼じゃねえのか?」
「そもそもにしてあの世界はなんだ……地獄か……?」
「なんつーか、遅かれ早かれゲッター線とゲッターロボがあろうがなかろうが勝手に食い合って自滅しそうだしよぅ……こいつらに巻き込まれる一般人が可哀想じゃねえか」
「……皆が皆理解しあい手を取り合えるというのも我々が個である以上難しい話だ。その先は破滅と我々には見えても結局は彼ら自身で気付き変わるより他にない。我々とは相容れないが、進化の枝葉の先として他者から奪い食い尽くす事を是とする場合もあるだろう……私たちの世界の未来人類とエンペラーのように。
……言って聞くような相手でもなければあの世界は放置しても構わなくはないだろうか。ゾーニングの要領で」
「いやまあそれはそうなんだが、あれに一直線されるとこっちも困るんだよな」
「あちらのゲッター線とは根の部分で繋がっているようでな……何せすべてを食いつくし進化、というよりも自らを強化し続ける為に最終的にはこちらにも来るだろう」
「は?」
「それは……ふむ……」
「そうなった時には『向こうの世界』は食いつくした後で、俺らがそこで潰すにしたって……なあ?」
「ならば先手を打って確保しておくべきだろうと判断したまでは良かったのだが……」
「「……はぁ……」」
「昔の武蔵とすら比較にならない程度に……こう……」
「えぇ……」
「お前が食ってる飯は誰が作ってくれてるんだとか、そういう事を全然考えたことがないみたいなよ」
「ひとりだけで生きていける、と野性動物もろくにおらず、水に困らず、その日の屋根にも困らないコンクリートジャングルで叫ぶような」
「あいつ筋もろくに通せねえからどうしても見てて腹立つんだよな……」
「マジで一人でやるつもりなら身一つでやれってんだよ……」
「なんだァ? また『ホモ』の俺が増えたんかよ」
「はは、失礼なガキだな」
「……西暦00年代でこれか……」
「随分年食ってるがお前らもあいつらと同じで馴れ合っていちゃついてんのか、くだらねえ。ホモなんて気持ち悪ぃし顔も見たかねえぜ」
「……あんな、確かに俺は隼人のこと大事にゃ思ってるよ、だけどな、それでてめえに見下される謂れはねえんだよ」
「ア? ホモにホモっつってなにが悪ぃんだよ。突っ込まれてる方だからキレたんか? 尻の穴どうなって――」
「……あまり調子に乗っていると、こちらも黙ってはいないが?」
「はっ、爺がなに言ってんだよ、俺を黙らせたかったら俺に勝ってからにしやがれ」
「……言ったな?」
「隼人ぉ、加勢いるかぁ?」
「タイマンじゃなきゃズルいだの、飛び道具は卑怯だの言わせる逃げ道は潰したい」
「なら任せた」
「はっ、爺の癖に一人で十分たぁナメてくれんじゃねえか」
「ナリばかりデカいだけでものも知らない子供相手に二人がかりなど可哀想だろう」
「チッ、マジでなめやがって」
殺すぞ
「そんな気もないのだろうに軽々しくそんな言葉を使うものではないな」
「間違っちゃいねえがそんな接近戦で安直に急所ばっか狙う辺りで戦ってきた腕と相手が知れるぜ?」
「そういえば、穴があったら……どうするのが男だと言っていたかな、君は?」
「今まで自分でやったことと言ったことをされ返されただけだろう。その認識程度は持つんだな」
「生き延びるためには人類の病巣は取り除かねばならない」
「と昔の私ならば言っただろうが」
「それと言っておくが」
「『殺す』とはこういうことだ」
「手段を選んでいる時点でお前がやっているのは自分は死なない、負けないと思い込んでのお遊びの延長にすぎない」
「ところで俺も聞きてえんだけどな、クソガキ」
「ガキじゃねえ、舐めんな!」
「喚いて暴れてりゃ言うこと聞いてもらえるとか思ってるなんざ赤ん坊じゃねえか」
「なっ!? てめ――」
「お前はどうして『自分は特別だ』なんて勘違いしやがった?
ゲッターの力が道具に選んだだけの人形じゃねえか」
説明くらいは聞いたんだろ、てめえが野放しになってりゃどうなってたか。何もかもひたすら食いつくしてくだけの化け物になってたことを。
「ッハ、だから俺がここでおとなしく取っ捕まってりゃ」
「それでどうしててめえの世界が無事だと思えるんだ、お前」
結局俺もお前もみんな世界の一粒でしかないんだ。てめえがいなくなったところで世界は続くし回ってんだよ。俺が飛んだのは信じた人間がいたからだ。
こっちは自分一人で世界がどうにかなるなんて思春期でも思やしなかったぜ。
お前はそこすらわかってねえから、結局世界は自分だけでどうにかなると思ってるからそんなこと言えんじゃねえのか。
「もう一度聞くぜ、てめえはどうして『自分は特別だ』なんて勘違いしやがったんだ?」
「お前のやったことはしょせんお前の自己満足でしかねえよ。
それすら良いように手のひらの上で転がされてるだけじゃねえか猿」
「案の定だが喧嘩を売った相手が最悪だな」
「どうせ老けてるし戦闘力落ちてんだろって舐めてかかったんだろうが……あの二人が一番えげつねえ戦場でなんなら生身でも戦ってたとかあいつ聞いても意味わかんなそうだしな」
「問答無用で撃ち殺されなかっただけマシじゃないか」
「あの二人、間違いなく地頭も良いからあのバカが口で敵うはずもねえしなぁ……」
「……絶対怒らせたくない」
「思っていた以上に酷い」
「正直俺たちも持て余してる」
「そいつの世界のゲッター線なんでだかそいつにだけベッタリらしくて」
「殺せばすむ話……じゃねえよなぁ。ターゲット変わるだけだろうし」
「こちらの世界の拓馬のようなものか? ふむ……」
「すっっっっげええええええ認めたくねえんだけど、一応仮にもこいつも俺だってんなら、あれしろこれしろで聞くと思わねえしな」
うーーーーんんんん
そういえばこいつの隼人はどうしたんだよ
人間に興味がなくゲッター線に執着する人物だったらしいが置いてったらしい
……隼人じゃねえのだけはよくわかる説明だな、おい
私の能力だけ持っていてそれならろくなことにはならないだろう。ゲッター線を求める新たな独裁者が誕生して自滅するだけではないのか。
いや、さすがにあんたよりゃ頭は悪いし人望は絶望的に無いみたいだけどよ。
支配することかされることでしか人間関係を構築できない人間は力を持つべきではない。独裁者か走狗の振る舞いしか知らないのだから。
ちょ、ちょっと待ちやがれ
なんだ
お前らの話聞いてたら、俺の世界は隼人のやつが滅ぼすか支配すんじゃねえかって聞こえるが
時間の問題では?
ゲッター線を諦めるような人物ではないのだろう?
結局破壊衝動を満たしたいだけの人物なら不思議ではなかろう?
俺のしたことはなんだったっつーか見殺しにすんのかてめえら
あんな、お前俺がさっき言ったことわかってっか? お前一人でどうにかなる話じゃそもそもねえって言っただろうがよ。しかも他人任せの甘えたこと言ってんじゃねえよ
それもこれも君の世界の話であって、そこに住まうわけではない私たちが干渉すべきことではない
お前の隼人がいなければあの世界は無事かと言えばそれも誰も保証などできん
変えたいならあの世界に住む人間たちが自分達で努力しなきゃなんねえんだよ、わかるか?
本来、「ゲッターロボ」というものは、絶望的な状況下で理性持つものたちが生きるための最後の希望だったんだ。争いを止めるために、いつか終わらせるために存在していた。
だが暴力を暴力でねじ伏せ、弱者から強者になって他者を踏みにじれば良いという選択をしたのがお前たちとその世界だ。
そこにそれを止めようという理性ある意思が存在しない以上は、結果など見えているだろう。いずれやってくるのは食いつくし最後の一人になるまで終わらない地獄だ。
俺が見たあの地獄よりお前の見たやつの方が悪趣味でやべえのはそういうことじゃねえのか。お前の隼人と弁慶はゲッターに、『お前に』食われて量産されて殺しあってるってよ。
弱いから食われるんじゃねえか!!
弱ければ食われて当然だと言うのか、お前は。自分は間違っていないと思うのは勝手だ。だが、それは私たちからすれば食う側の理屈だ
「……お前、『弱いから食われるんだ』って、言ったな。強けりゃ、食っていいんだな?」
「あ? 今更なに……」
「なら、大人しく食われろや」
「いや、俺もちっと考えたんだ。お前はほっといたらそのままその考えで周り食いつくしてろくでもねえもんになる」
「なら、その前に俺が食っちまえばいいんじゃねえか? 本当はてめえみたいなのでもこういうのは俺の主義じゃねえんだけどよ、殴っても変わらねえし、殺しても死なねえなら、こうでもするよか無いよな?」
「お前はもう考えなくていい。
自分の思うようにならない世界に、他人に、癇癪起こしてビビってイキって自分は特別なんだから、強いんだから言うこと聞けってやるより他に知らなかったんだよな?」
「くだらねえ赤ん坊の我儘続けるより、全部俺に任せて考えるのも全部やめっちまえば楽になるぜ」
「ははっ、俺に太刀打ちなんかできるわけないだろ」
「お前の意思なんて薄っぺらだ。お前は他人を理解しようともしなかった。殴り倒して自分にするばかりで他人を知らないから自分の事もわからない。そんな当たり前の事すらお前は知らない」
「弱者は喰われろっつったのがお前だ。自分が喰われる段になってイヤイヤ言い出すとか最後くらい筋のひとつでも通せや」
「リョウ!」
「?」
「……そいつを食ったら生まれ変わろうが触らんし触らせんぞ」
「えっ」
「それはずりぃぜ、そんなん言われたらやめるしかないだろ」
少し頭を冷やして考えろ
……俺のとこの隼人はああして死ぬのか
そうかもしれんな、そうではないかもしれんが
……
……ありゃ参るな……
ふむ……
あの通りなにが足りねえってなにもかも足りてねえんでなあ
合理的ゆえに理屈を通せば最低限の部分理解ができた拓馬より厄介だ
……こうなれば、あいつの隼人も呼び寄せてはどうか
問題児増やすのかよ!?
幾分の情らしきものは見せていただろう。時期を見計らって考えてもよいかもしれん
結局、自分が大切に思うものがまるでないから、ああなるんだろう。
嫌われたくない、大切にしたい、愛したいし愛されたい。
今のあいつはそういった気持ちは無いままに、自分ばかり大事にして与えられて当然だと自分が思っていることにすら自覚がない……いい大人のはずがまるきり赤ん坊であることが困るのだが。
他者を考えるにも、その取っ掛かりは必要だ。
「お前、本気だったろ」
「あー、結構?」
だってよ、素直に考えたらあれが一番手っ取り早いし問題起きなかねえか。あいつんとこのゲッター線引き受ける手間はあるけどよ。
「……確かに元よりお前の根にはお前以外のものもいようし、それはそうかもしれんがな」
「おう」
「……俺は、お前にそういうことはして欲しくはない」
お前は、お前でいてほしい。
「……おれもだよ」
「あいつにちょっとだけ置き土産してやったんだけどよ、どうなっかな」
なんだってんだよ、クソッ!! 偉そうに説教垂れやがって!! だからなんだってんだ! どうしろっつーんだ!
夢。誰んだ、これ。
俺、に似てる、けど、誰だ
隼人、に似てるけど、違う
どうして、なんで、そんな風に
欲しいものは手に入って当然で力で奪えたはずだった
知らない、俺はそんなもの知らない
どうして、同じ顔なのに
同じなのに、どうして
お前にはあって、俺には無いんだ
「おまえとおれは根本の所で違うのさ」
「だから面白い…」
違う、こいつは「違う」、俺じゃない
同じ顔をしている癖に俺じゃない、何もかもが
そんな感情は知らない
誰かとなにかを分け合うなんて
見返りも要らず誰かに与えるなんて
そんな、食われる奴等みたいなことにどうしてお前はそんな感情を持つ
お前ならそれを食い尽くして自分のものにできるのになんでしない
「……あんな、確かに俺は隼人のこと大事にゃ思ってるよ」
てめえに大事にしたいもんはあるか
自分以外に大事にするものなんて、ないだろ
……そんなもの、考えたこともねえよ