暑い日の御命令 魔法舎の中庭で、レノックスは羊たちと散歩をしていた。先程まで、花壇の手入れをしていたので、レノックスは動きやすい練習着を着ていた。しかし、この日は日差しが強く、少し作業をしただけで汗をかいてしまった。レノックスは、上着やセーターを脱いで魔法で小さくして鞄へしまっていた。シャツならば、暑さも少しマシになる。羊への負担も考えて、日陰を選んで歩いていた。それでも、羊たちの誘導や体調を見るために屈んだり、撫でたりしていると、気づけば汗をかいてしまう。レノックスは、立ち止まると、シャツの袖口を折り、首元のボタンもいくつか外した。レノックスに気づいた羊たちが、わらわらと足元へ集まってくる。満足そうに鳴く様子に。そろそろ魔法舎へ戻ろうかと考えていた。
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