星と宇宙と角度と距離「わたしもすごいステージで踊りたかったっす〜!」
「踊ってんのは白いステージよ、合成とCGで合わせただけ」
「む〜〜〜〜!」
諌める黛冬優子の声も聞かず、芹沢あさひは白い頬を膨らませた。
手元のタブレットで繰り返し再生されるVOY@GEのMVの中で光は絶えず瞬き、冬優子の姿は現れては消える。いいなあ、とこぼすあさひの目にまで光は映りこんでいた。
「例によって一番美味しいとこは天海春香が持ってくわけだけど。ツイスタでトレンド入りしてたし、悪くない結果だわ」
「わたしも〜〜〜〜!」
「うっさいわね」
冬優子がタブレットの画面を叩けば一時停止。公開から一週間が経っても再生回数の伸びは良く、画面を更新するたびに増え続ける再生回数を見るのは実に気分が良いものだ。
「羨ましいならせいぜい頑張んなさい。――――まあ、」
もう一度画面をタップすれば、『銀河を超えて』と歌い上げる声が響いて、冬優子は笑みをこぼす。
「『星をめざして』るあんたには、まだまだ遠い話かもしれないわね?」