東雲荘一郎とアスラン=BBⅡ世:アスランさんのあかんとこ:二人がドンキに行く話 裏返してラベルを見れば、アルコール度数は十五度程度のリキュールらしい。直に飲むにはやや強いか、と思いながらも、ガラスに透ける酒色はステージライトのように華やかで、Café Paradeの店舗を楽しく彩るかもしれないとアスランは直感する。
「ソーイチローよ、この魔涙は――」
六個入りのパックを持ち上げてアスランが荘一郎に振り返ると、荘一郎はアスランの手からパックを奪って売り場に戻す。
「うちでは使わないですよ」
「……うむ、そうだが……」
「ほら、もう行きますよ。買い忘れはありませんね?」
有無を言わせぬ口調の荘一郎に連れられて、アスランは後ろ髪を引かれつつ店を出る。
「ソーイチローよ、あの魔酒はどのような……」
「あれは、アスランさんが思ってるような物と違いますからね」
釘を刺せば、アスランはそれ以上の追求をやめる――そんな様子に、荘一郎は人知れず安堵する。
(あれをアスランさんに、どう説明すれば良いか分かりませんからね)
パリピ酒の概念をアスランに伝える遠い遠い道のりを思って、荘一郎はそっと溜息をつくのだった。