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    真央りんか

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    真央りんか

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    神ミキ。できてる。三木の下を剃りたい神先生。行為の描写は特にないです。

    神在月をゆっくり湯につからせる段取りをして、風呂に送り込んだ後、頃合いを見て三木も服を脱いで風呂場に入った。この後のバイト前に体だけ洗わせてもらうのだ。浴槽にはぬるめの湯で神在月が弛緩している。
    三木は風呂椅子に腰かけ、浴槽に対して横を向いてシャワーを手にし、なるべくしぶきがそちらに飛ばないように体を濡らす。体を泡立てていると、浴槽の縁に神在月が張り付いた。狭い風呂場だ。めちゃくちゃ近い。その近さで、視線が三木の股間に向けられている。眼鏡はなくとも、だいぶ気まずい。
    「カナエさん」
    「…なんですか、シンジさん」
    いつもと違う呼び方に嫌な予感しかなかった。
    「剃ってみたいで」
    「ダメですね」
    言い切る前に拒否すれば、ギュウとどこから出たのかわからないような呻きが聞こえた。何を、だなんて視線が雄弁に語っている。
    「一応聞くけど、俺のをだよな」
    「う、うん」
    「ダメですね」
    もう一度拒否してから、真横を向いた位置から少し背を向けるように座り直した。肩ごしに見やると、神在月は縮こまって顔の下半分が浴槽の縁で隠れている。
    「なんで思いついちゃったの」
    「見たくなっちゃって」
    本当にただの思いつきらしく、解除の方法がわからない。
    とにかくなしなし、と話を終わらせようとしても、すぐには諦められないようで、未練がましく呟いている。
    「三ッ木ー、色が白いからさ、コントラストもいいけど、普段隠れてる青白さとか見てみイタいぃっ!」
    デコピンを見舞った悲鳴が、風呂場によく響いた。
    「色白だからどうとかアンタに言われたくないんですけど万年不摂生先生? なんなら俺がお前のを剃ってやろうか」
    「えっ、それはそれで、アリです」
    三木よりも青みがあるぶん白い肌が不埒な想像に一気に赤くなる。隠れていた顔ががばっと起き上がったところを、三木の左手が捉えた。
    「あっ、い、たたたた、アイアンクローはダメだよ、三ッ木ー、三ッ木ー? カナエさん!?」
    ギブギブと顔面鷲摑んだ腕をぺしぺしタップされて、三木は手を外した。
    ひぃんと泣きながらこめかみをさする神在月に、まったく、と呆れた溜息をつく。
    「仕事をはしごする日に、汗すごかったら間で銭湯挟むの知ってるだろ。やだよ」
    「知ってるけど、今の季節はまだそんなにないことも知ってる…」
    三木の仕事など全部話せるわけがないが、この男は話したことはきちんと覚えてる。
    「見られる心配だけじゃなくて、生え始めが痒くてたまんないし、本当になしだから」
    そこで、ずっといじいじとしていた神在月の表情がすっと真顔になった。
    「なんで知ってるの」
    「え?」
    「痒いの」
    「あー…いやわかるだろ」
    「知ってる言い方だった。いつ、なんで」
    「さあ、覚えてない」
    シャワーを手にして湯を出し、体の泡を洗い流す。その間も神在月は無言でじっと見つめている。
    椅子や床もざっと洗い流して、そろそろ行くから、と出ようとすると、手首を掴まれた。
    「シンジくん?」
    「三ッ木ーがさせてくれたら、すぐ終わるよ?」
    楽しげに撓む金の瞳を前に、抵抗する道は三木にはなかった。

    結論だけ言えば、三木は剃られずに済んだ……わけではなかった。

    スタッフとしてカラオケのフロントに入っていると、シフトが一緒の同僚が空いた部屋の清掃を終えて戻ってきた。三木の立ち姿を見て、少し手前で一度足を止めてから、隣に来る。
    「三木さんて姿勢いいっすよね」
    「そうですかね、あざます」
    気安い笑顔で応じながら、三木は内心で冷や汗をかく。

    ここに来る前に、両腋を剃られた。

    元が薄くて実際に感触の変化があるとも思えないが、気持ちがスースーする。落ち着かなくて、自然と普段より脇を締めてしまい…なんだか褒められた。
    せっかく褒めてもらったのを、ゆっくり調整しながら意識して脇の力を抜く。
    『今日は剃るだけにするね』
    風呂場で三木に腕を上げさせて楽しそうにしていたのを思い出す。
    剃るだけではないなら、何をするつもりだ。
    剥き出しにさせられた腋の間近で囁かれた記憶に、わけのわからぬ羞恥が蘇り、三木は姿勢をただす振りで再び脇を締めたのだった。
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