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    mame

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    おみくじ:ルサンSS
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    新刊と同設定のふたりですが、入籍して一緒に住んでるけど惚れた腫れたの関係ではおそらくない転生ルサン(サンジは店をやっててルフィは写真家)ということだけ把握していれば単品でも読めると思います。

    2023おみくじ:ルサン クリスマスから晦日にかけてサンジは家にほぼ帰ってこない。
     なにせクリスマスのオードブルの予約をとり、年末の年越しそばを手打ちし、大晦日の受け取りに合わせて年始のおせちの準備をするのだ。しかも、ひとりで、店を通常営業しながら。
     一緒に住みはじめた年は「やりすぎだろ!?」とさすがのルフィも度肝を抜かれたし、サンジ本人もやり過ぎたかもしれねェと大晦日の朝、屍のようになっていた。
     へろへろになりながらもやけに楽しそうなサンジにこれはダメな気がする、と、ルフィが手伝いとして慌ててナミを呼び寄せたのはもはや懐かしい話だ。サンジ、ルフィ、ナミの三人でおせちと年越しそばの受け渡しを終え、御礼にお茶でもとナミをサンジが誘ったところ、サンジはナミに正座をさせられしっかり説教を食らった。
    「楽しくてあれもこれもやりたいのはわかるけど、キャパ超えたら意味ないでしょう。数受けたところでサンジくんのお料理のクオリティが下がるなんて思ってないけど、こういうのはね、限定数で受けた方がプレミアもつくし客の満足度もあがるのよ。こーんな忙しくしちゃって、最近ルフィとの時間も取れてないんじゃないの」
     なんて言われて、ハッとした表情でサンジはルフィを見た。その時ルフィは席に座り鼻をほじっていたので、なんともシリアスになりきれない状況になってしまっていたのだが、ルフィがほんの少し寂しく思っていたのは確かたっだ。ので、ルフィは鼻をほじりながらうなずいた。ナミには殴られた。
     結果、ナミの言葉に反省したらしいサンジは翌年から、限定数を設け、さらには客から言われたときのみ受注することにしたらしい。それでも忙しいことにはかわらないが、へろへろになることはなくなった。へろへろになっていた最初の年は結局、店の正月休みはほぼ体力回復につとめていたので、普通に過ごせるのは大進歩と言える。
     バイト料の他にアドバイス料もサンジからくすねていたらしいナミはちゃっかりしているが、毎年大晦日の午前中はサンジの店を手伝いにくるのだから、ルフィはナミのそういうところが好ましいと思う次第だ。
     そんなわけで、クリスマスから晦日にかけてほぼ家にはいないサンジだが、大晦日でに受注したものの受け渡しが終われば、手伝ったナミとルフィと三人でお茶をし、あとは家で大晦日から年明け三が日を過ごすサンジが出来上がった。
    「サンジ、出来たか?」
    「おー、もうちょっと。そっちは?」
    「台は拭いた!」
    「んならステーキ焼いちまうか」
    「ぃやったー!」
     ダイニングテーブルとキッチンをいったりきたりしながら、ふたりの会話は弾み続ける。
     毎年、一月一日はふたりで朝からおせちもどきを作って食べることになっている。もちろん一緒に住み始めて2度目の正月からだ。
     おせちに”もどき”が付くのは、ルフィとサンジが好きなおかずばかりをお皿に並べるからだである。きっかけはサンジが朝からステーキを焼いてくれたことで、ガープの伝えで正月は重箱を強大でつつくのが当たり前だったルフィは衝撃を受けた。
    「正月からステーキ食っていいのか!?」
    「別にいいんじゃねえか、ステーキもめでたい時に食うこと多いし」
     そんなことを言いながら肉に下味をつけるサンジがルフィは輝いて見えた。
     それからは大晦日は受注品の受け渡しのあと、ナミとちょっとしたお茶をして帰宅。その後真っ先にふたりでこたつで昼寝をする。しっかりぐーすか寝てから夕方前に起きて、サンジが打った年越しそばを食べ、ニューイヤーイベントをテレビ中継で見たり、気まぐれに外出したりして年越しをし、ちょっと夜更かしをしてから元旦の午前中まで自由気ままに眠る。サンジに至っては朝は勝手に目が覚めるらしいが元旦だけは九時過ぎくらいまで眠っているので、ルフィもそれまでに起きても自分の部屋から出ないようにしている。そうして昼前にふたりそれぞれの部屋から外に出て、家にある材料で好きにおせちもどきを作るのだ。ルフィはテーブルの準備が主だが、たまに盛り付けも手伝ったりする。サンジはルフィの盛り付けが結構好きらしく、よく笑うのでルフィも気合が入るってもんだ。
     店で余った材料を使ったりもするし、多めに作ったおかずを盛り付けたりもする。ルフィはサンジの作る酢の物が好きで、絶対に入れてもらっている。
     毎年まちまちではあるが、ステーキとお雑煮だけは定番で、絶対にサンジが作ってくれる。
     塩コショウでシンプルに味付けされたステーキの焼き具合はレア。フライパンからまな板に移した肉にサンジが包丁を入れると、香ばしいニンニクの匂いがルフィの鼻孔をくすぐる。テーブルにマットやグラスを用意する手を止め、導かれるようにサンジの隣に引き寄せられると、サンジがちらりとルフィをみて口元に笑みを浮かべた。
    「おい、ルフィ。用意は」
    「こんな匂いさせといて無理だろ」
    「まあおまえにゃ無理か」
     ふふ、と薄く笑ったサンジがステーキを大きな皿に置く。そのステーキを囲むようにして、酢の物やちょっと高価な魚卵などがサンジの手によって宝石箱のように色とりどりに飾り付けられていくのをルフィは見つめる。サンジの横顔は随分疲れがとれたようで、ルフィはニッと唇の両端を持ち上げた。
    「サンジィ」
    「ん?」
    「ことしもよろしくな!」
     雑煮の鍋に入ったお玉を右手に、お椀は左手に。サンジの隣に立ち、雑煮の準備はおれがしようとルフィが構えると、意表を突かれた表情をし、年齢よりずいぶん幼い顔になったサンジがくしゃりと表情を崩す。
    「おう、よろしくな」
     ルフィより骨っぽい肩が軽くぶつかってくる。それが楽しくてルフィも肩をぶつけ返した。競うようにして用意し終えた皿をテーブルに持っていく。どやら、今年もしっかり楽しい年になりそうだ。
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