親友は背中を押した「俺は心からは言えないよ、お前の気持ち知ってるから」
創は琥珀を起こさないように、だが目の前にいる鈴鹿に聞こえるように、はっきりとそう言った。鈴鹿は黙って創の顔を見る、返答の一つでもするのかと思っていたが、見てる限り自分の言葉に動揺しているのか、鋭いナイフの様に刺さったのか、それは鈴鹿自身にしか分からない。
鈴鹿の事だ、もし言葉を発せれたら、いつか聞いた時のように琥珀が幸せであればいい、とか言うのだろう。あの時、まだ自分が行方不明になる前、自覚してない時に琥珀には幸せになって欲しい、と自分は言った。その時の鈴鹿は、自分も同じ気持ちだ、と言ったものだ。自覚してなかったから仕方なかったとはいえ、思わず頭を抱えそうになった。ここまで自覚してなかったのか、と。
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