優しさに触れた日 放課後、琥珀は校舎裏でしゃがみこんでいた。早く教室に戻らないと、創と鈴鹿が心配してしまう。けれど、足が震えて立つことが出来ない。その原因は、先程近隣の学校の女子生徒から、校門近くで告白を受けたからだ。
琥珀の通っている男子校では、学園祭などの行事を除いて、普段ほかの学校の女子生徒が無断で学校内に入るのを許可していない。だから琥珀のような、告白したい男子生徒がいる時は、校門先で待って、告白をするという流れだ。琥珀の親友である創も、この学校で知り合って一緒にいるようになった鈴鹿も、よくこうして告白を受けているのを知っている。
琥珀も例外ではなかった。何故か男からの告白が多かったが、こうして近隣の女子生徒から告白を受けることもある。けれど、琥珀は女性が苦手だ。苦手、というよりか女性恐怖症と言ってもおかしくない。話すだけでも動悸が酷くなる時があるくらいだ。
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