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    ちょこ

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    エガキナ

    ##認可信号組
    #エガキナ
    postcardinus

    親友は背中を押した「俺は心からは言えないよ、お前の気持ち知ってるから」
     創は琥珀を起こさないように、だが目の前にいる鈴鹿に聞こえるように、はっきりとそう言った。鈴鹿は黙って創の顔を見る、返答の一つでもするのかと思っていたが、見てる限り自分の言葉に動揺しているのか、鋭いナイフの様に刺さったのか、それは鈴鹿自身にしか分からない。

     鈴鹿の事だ、もし言葉を発せれたら、いつか聞いた時のように琥珀が幸せであればいい、とか言うのだろう。あの時、まだ自分が行方不明になる前、自覚してない時に琥珀には幸せになって欲しい、と自分は言った。その時の鈴鹿は、自分も同じ気持ちだ、と言ったものだ。自覚してなかったから仕方なかったとはいえ、思わず頭を抱えそうになった。ここまで自覚してなかったのか、と。
     その後すぐ自分が行方不明になってしまって、更に時は進んでしまった。自分が帰ってきた頃にやっと自覚した様子で、相変わらず琥珀を見る目が違う事に感じ取っていた。そして今、改めて自分の気持ちをぶつけた、鈴鹿は黙りを決め込んでいたが、創はじっと見る。

     高校時代からずっと見ていた自分には分かっていた。心から祝えれないくせに、琥珀が別の人を選んだ時、笑えないくせに。その時、一生後悔するのは鈴鹿のくせに。もしそれが来た時、果たして鈴鹿は普通通りに話せるのだろうか、今までみたいに接する事が出来るとは思えなかった。

     黙ったままの鈴鹿をみて小さくため息を吐く。吐いたあと、創は優しく鈴鹿を抱きしめた。
    「……告白するのは鈴鹿次第だよ。……琥珀は、ちゃんと考えてくれる。……怖いのなら、俺がそばにいるから。……俺はね、お前が告白をしないで後悔する所も見たくないし。……大丈夫」
     あえて鈴鹿の顔は見なかった。ただ、優しく頭を撫でる。そしてチラリ、とベッドで寝ている琥珀を見た。琥珀は起きている様子はなく、寝息を立てて寝ていた。よかった、起きていないらしい。
     創はそっと離れて、鈴鹿の手を握る。

    「お前が何かを抱え込んでるな、までは分かるけど。全部は分からない。けどな、お前なら……琥珀は本当に幸せになれるって思うんだ。そんな自信がないんだったら、それ以上に俺がそう思うよ。俺は背中を押すことは出来る。押した先は、お前次第だよ」
     大丈夫だから、とぎゅっと手に力をこめた。言ってしまったのは自分だ。恐らくずっと言わずに隠し通すつもりだったはずなのだから、そうさせなかったのは、紛れもなく創自身だ。

    ───ならば、最後まで鈴鹿の手を引くのは当たり前だろう? 背中を押すのは、自分しかいない。
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