[虎兎]鳩のいる公園 駅まで送る、そう言って一緒に部屋を出てきた。
目を覚ましてから、交代でシャワーを浴び身支度を整えてしまうまで、ほとんど会話らしい会話もなく。帰りますと言ったバーナビーが虎徹の部屋を出てしまえば、そのまま何もかもがなかったことになるのではないかと思うほどだった。
バーナビーが部屋を訪れたのは初めてだったので、確かに駅までの道順は知らないだろう。だが、そんなことは調べればわかることだったし、ただ単に虎徹がこのままで良いのかと本能的に別れのタイミングを先延ばしにし、バーナビーもそれを受け入れただけ――それは二人ともがよくわかっていた。
ぼんやりと考え事をしながら歩いていると、ついいつものようにショートカットになる公園を突っ切る道へと進んでしまった。ああ、しくじった、そう思ってふと見ると、隣を歩いていたはずのバーナビーが少し遅れている。
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