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    haru00305656

    @haru00305656

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    haru00305656

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    クソ闇鬱地獄最高~~~~~~~っっっ❤❤❤
    もっと病んで不幸になってくたばってくれ~~~~~~っっっ❤❤❤❤❤❤❤
    永遠に幸福を享受して永遠に生き地獄を味わって永遠に呼吸するだけの肉人形と化してくれ~~~~~~~~~~~~っっ❤❤❤❤❤❤

    #あひゃ
    expressionOfSurprise
    #一次創作
    Original Creation
    #BL

    天使の導き 最近、妙な幻覚を見るようになった。

    ....ここ何日前くらいからだったっけかな。
    そういえば、数日前より以前の記憶が無いことにたった今気づく。昨日は何してたっけか。一昨日の夜は何を食ったんだっけか。一昨昨日はどんな事を考えていたんだっけか。
    ......遡れば遡るほど記憶が曖昧になって、思い出せなくなって、まるで他人事のようにそれらが色褪せていく。

    どうせ日常なんてそんなモンだ。
    思い出せなくなっても、思い出さなくても...結局は問題なく何も変わらずに過ぎていく。所詮、そんなモン。

    ____なんで俺、生きてんだろ。

    ......今日も結局眠れなかった。
    雑に閉めたカーテンの隙間から、いつの間にか白んでいた空が覗いている。その先にはベランダがあって。

    俺を呼ぶ、声が聞こえる。

    布団から立ち上がるのが億劫でその声をハナから無視した。所詮は幻聴でしかない。
    今日という日も、何事もなく何の面白みもなく、誰からも気にも留られず、自身の記憶にも残らずに過ぎ去っていく。...ただそれだけの事だ。

    時計が忙しなく刻み続けるカチコチという音がやけにうるさい。まるで責め立てられている気分だ。全てのものから目を逸らし、耳を塞ぎ、関わりたくないと口を閉ざした愚かな俺を罵る世間のざわめき声が時計という小さな音に凝縮されているようだった。明けていく向こうの空と睨めっこしているうちに、気がつけば時間が経っていた。どれくらいだろうか。時間を無駄にした事に対する謎すぎる罪悪感がのしかかる。今日も無駄な一日が憂鬱から始まった。

    ようやっと起き上がって、昨日袋ごとその辺に投げて放置した買い物袋を手に提げる。最後に自炊したのはいつ頃だっけ。料理をする事が好きだったこうなる前の自分自身の後ろ姿が脳裏を過ぎる。

    ...何を作っていたかを忘れていることに、絶望を覚えた。

    ベランダと部屋を分け隔てるガラス戸を開け放てば、初夏特有の朝方の薄ら寒さが服越しに肌を撫でる。ぞくりと鳥肌が立ったその腕で自分を抱きしめるかのように擦りながら、一歩踏み出せば今日もそこに“幻覚”は佇んでいた。
    背中に携えた立派な翼には似合わない、酷く甘ったるい煙を吐き出すその姿から少し距離を置いて隣に立つ。遠い昔に嗅いだことのある気がするバニラの匂い。俺は煙草を吸わない。元々肺が弱いから。だから、煙草の匂いなんて嗅いだことないと思っている。なら、どうせ...これも幻覚の一種だろうな。

    幻覚、幻聴とくれば幻嗅だなんてそこまで驚くことじゃない。

    ....誰にも相手にされない、愛されることも無い人間がとち狂ったその成れの果て、ていうだけの話。


    だから、相手にしない。



    俺を愛してくれる存在なんて、いるわけないから。



    天使なんて居ないんだ。そういう類の存在なんて。





    見えないふり、聞こえないふりをする。


    自分の中に木霊する数多の呼び声叫び声から耳を塞ぎ、今すぐにでも溢れ出そうな欲望の吹き溜まりから目を逸らす。


    こんな、誰も得しないクソみてぇな茶番を、今すぐにでも辞めようとする口を噤んで、



    ___何も知らない一般人のフリをする。



    ふらり、と風に攫われるような感覚でここから飛び立つことが出来たなら...なんて。そんな甘い甘い幻想を抱いて軽く柵から身を乗り出す。
    少しずつ少しずつ身を傾かせて。身体を支えている両手の力を抜いていく。深く深く息を吸い込んで....この意識も身体も全てを委ねて落ちていく。



    (もう全部、終わりにしたい。何もかも。)



    そんな心の声は、頭を柵に思いっきりぶつけた鈍い音とじんじんとした痛みによって遮られた。


    .......どうやらベランダのど真ん中で寝落ちていたらしい。
    さっきまで布団に横になってても一睡も出来なかったくせに、なんでこんな所で寝落ちてるんだと自嘲する。腕に提げた袋が食いこんで赤く跡をつけていた。そこから缶コーヒーと最近好物と化したたまごサンドを取って、丁度人が行き交い始めた道路を観察しながらはむはむと食べる。ここから見下げる人々の朝の様子は、色んな情報が転がっていて割かし楽しい。

    ...俺の背中にもあの大きくて真っ白い翼が生えていたら、ここから羽ばたけるのに。

    相変わらずそんな薄暗い事を脳裏に忍ばせつつも、周りの生きている人々を見てるうちにそんな事はどうでもよくなって、今日一日だけ生き延びてみようかという気持ちが湧いた。
    さっきまでの自分がなんだか可笑しくて鼻で笑う。手についた卵の黄身を軽く舐めとって、胸焼けするほど甘い特徴的な黄色い缶コーヒーの中身を飲み干せばもうすぐ家を出る時間となっていた。

    普段着に着替えて、洗面台の前に立って、歯磨きをして、洗顔をして、外出する準備を整えて。余所行きの、取り繕った、何一つおかしいところの無いただの一般人でしかない“自分”という仮面を深く被った。
    こうなる前の、欲望と快楽と衝動と狂気に支配され自らを焼き尽くしながらもなお他人諸共焼き尽くし皆殺しにして悦に浸るような....そんな、人でなしのようで悪魔のようでどこからどう見ても“狂人”のようであった“俺”という自我を搔き消し否定し殺して捻じ潰す。

    こんなのは、もういらない。

    もう、疲れたんだ。

    常に、どんな時でも、どんな気分だったとしても、いつまでも喧しくギラギラと自分の命を削ってまで生きようとする...生き返ろうとする。


    _______そんな自分に嫌気が差した。



    『......行ってきます。』


    数十分経っているにも関わらず同じ場所で、煙草をふかし続けている“幻覚”の方を見てボソッと独り言をこぼす。聞こえていなかったのか、表情も雰囲気も何も変わらなかった。
    チクリと心が痛む。当たり前じゃないか。
    自分がその”当たり前”に何かを言ってしまう前にぴしゃりとガラス戸を閉めて鍵かけてカーテンを雑に閉めた。

    職場...と言ってもコンビニだけど、家からほど近いから散歩代わりに歩いて向かう。今日は珍しく朝出勤の夕方終わり。ここ最近夜勤ばかりだったのもあって、普通のまともな人間が仕事する時間に始まり定時と呼ばれる時間であがれるのはめちゃくちゃ嬉しい。仕事自体は億劫だが、行けばやることは大体決まっている流れ作業だ。何も考えずに居られる。ただ、何を考えることもなく、何を感じることもなく。言われたことをこなし気づいたことをやって、掃除して。

    偽りかもしれないけれど、虚無でしかないかもしれないけれど、自分勝手だと言われるだろうけれど、それでも。

    虚ろで安らかで平穏な、仮初の日常を繰り返す。

    頭ん中じゃ穿ったどす黒い感情と思考を持て余しながら、外面はあくまでもその辺にいる人間のそれをしておけば就業時間なんてあっという間に過ぎていった。今日も一日が終わる。今日も、何も変わらなかった一日が終わっていく。


    俺の、何でもなかった日常が終わりを告げる 。


    暗くなりつつある道を一人トボトボと帰路に着く。どれだけ道草くいながら歩いても約10分もあれば住んでるアパートの前だ。ふと見上げて朝から変わらずそこに居るのを確認して、何も見ていないと言うよう視線を戻す。俺の住んでる階は8階。いつも朝になればそこから人様を観察し、夜になると月や星を観察する。そういう日々を何回繰り返したか覚えていないけれど、そう悪くないものだったと思う。生まれてこの方そんな“平穏”とは縁のない人間だったから,..かもしれないけれど。

    今日は雲ひとつとない晴天だ。
    部屋に戻るなり閉めきっていたカーテンを開き、鍵をかけたガラス戸を開け放った。
    今まで散々幻覚幻聴だと無理やり思い込み振り払おうとし続けてもなお、そこに居座る諦めの悪いくたびれた“天使”の待つベランダへ出て、天を仰ぐ。相変わらず満月は何を語ることなく見下ろし続けていた。月光を浴びて輝くその純白がやけに目に染みてギュッ、と強く目を瞑る。その瞬間。ふわりとこの身体が宙に舞った。落ちていく。


    “ただの人間になる”ことに今更焦がれた魂は、重力というものに抗う術を持っていなかった。


    欠けた所の一箇所も見当たらない真ん丸い満月と満天の星空の下、天使の翼から抜け落ちた羽根がひらひらと舞う。それはまるで壮大な紙吹雪のようで。辺り一面絶望しかない世界を祝福し続けた後、何事もなかったかのように静かな夜更けと相成った。
    そして翌朝を迎えたが何か事件になるというわけでもなく、そこから大量の羽毛と煙草の吸殻が発見されただけで誰からも見向きされずに忘れ去られていった。舞台となった部屋もただの空き部屋へと戻り、世界は平常通りを繰り返すだけに戻っていったのだった。

    ______________END....

    ________

    _____

    __

    ......その後、飛び立っていったはずの男は人の世とは一線を画す空間に“存在”していた。

    “生きて”いる訳でもなく。“死んで”いる訳でもなく。

    時間の概念すら存在しない、永遠に続く世界でただ、小さな呼吸だけを繰り返す。

    仄暗い微笑みと、ある種の快楽を讃え薄ら光る金の双眸を時折瞬かせ、永遠の幸福を享受する。

    人はこの光景を、正しく“HappyEND天使の導き”と呼ぶのだろう。

    _________________END.
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