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    sumiya_9

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    唐はじが甘味でお茶するSS

    #唐はじ

    色々あんこ「はじめ~!おみやげ買ってきたぞ」
    「おかえり唐次さん」

    合鍵は渡しているから部屋で待ってればいいんだけど、玄関まで迎えに行く。そうするとこの兄はすごく喜ぶから。

    「ただいまはじめ。オレより土産が待ち遠しかったんじゃないか?」
    「そりゃそうでしょ」

    帰宅早々面倒な絡み方をするからいたずらっぽく笑ってみせる。冗談だとわかっているのに落ち込むなら最初から言わないでほしい。

    「ちゃんと唐次さんも待ってたよ」

    しおしおにしぼんでいたのが目に見えてシャッキリする。手、洗ってくるなとか言いつつ鼻唄が遠ざかっていった。
    やれやれ、世話のやけるひとだ。

    「おっ、お茶淹れてくれたんだな。ありがとう」
    「うん。いつも緑茶だけどいただきものがあったからほうじ茶にしたよ」
    「ほうじ茶、冬に外でメシ食べるとたまに出てきてうまいよな」
    「おいしいのに家だとあんまり飲まないよね」
    「さてお披露目だ」

    仰々しく紙袋から出したそれは見覚えのある店名だ。

    「芋ようかん、はじめ好きだろ?」
    「うん、好き」
    「今日はなんと、芋ようかんだけじゃなくこれもあるぞ」
    「あっ、あんこ玉だ!」
    「たまには芋ようかん以外も食べたいかと思ってセットになってるのにした」
    「久々でうれしい。そういえば芋ようかんは、バターで焼くとおいしいって最近聞いた」
    「なんだそのギルティな食べ物は……!」
    「まぁ、カロリーは高いけど絶対においしいよね」
    「じゃあ明日それ作るとして、今夜はあんこ玉のほうを食べるか」

    昔父さんと食べたことを思い出す。先に食べたい味を選ばせてくれたのに全然決められなくて、悩みながら交互にとったはずがいつのまにかおれの手元には迷ってた味がすべて残っていた。
    先に食べたいもの全部とっていいと言うと遠慮するおれの性格をわかっていて、おれが食べたそうにしている味以外を選んでくれていたこと、今ならわかる。

    「ん?どうしたの唐次さん」
    「いや、なんでもない」

    優しい視線を向けられていて少し気恥ずかしい。おれが父さんのこと思い出していると、なぜだか唐次さんだけにはわかってしまうようだ。

    「どっちから選ぶ?」
    「はじめ選んでいいぞ、と言いたいところだがオレが買ってきたからな~。どうしようかな~」
    「唐次さんからでいいよ」
    「いや、ここは公平にじゃんけんだ!」
    「もう、なんなの」

    思わず笑ってしまう。
    子どものころ好きな食べ物を選ばせてくれていた親の存在がありがたいし、今は大人になったのに食べたい味を選ぶのにも一悶着ある。ちぐはぐだけど、むかしもいまもずっと暖かいなにかに包まれてる気がしてくすぐったかった。

    「決まったな!」
    「うん」

    六個あるうち小豆、抹茶、みかんがおれ。白いんげん、苺、珈琲が唐次さんになった。

    「まずは白いんげんから……おっ口の中で弾けるな」
    「おれは小豆。うん、間違いないよね」
    「ほうじ茶合うな~」
    「わかる」

    ほんのりした餡の甘さとほうじ茶の香ばしさがバランス良くておいしい。

    「次は苺だ!苺初めて食べるな」
    「そうなんだ。おれは子どものころけっこう苺とかみかんを真っ先に選んでたよ」
    「やっぱり鮮やかな色は人気なんだろうな。おっ、ははは!なるほど苺だ」

    兄に釣られてこちらもみかんに手を伸ばす。ぷちっと薄膜の寒天がはぜて、爽やかな柑橘の風味が鼻に抜ける。

    「ふふ、みかんもおいしい」

    唐次さんは湯飲みに残っていたほうじ茶を一気にあおると立ち上がった。

    「おかわりしてくる。はじめは?」
    「おれはまだあるからいいよ」

    猫舌なのでまだ半分ほど残っている。六つ子なのにこういうところは違うのが不思議だ。

    「さぁ最後の一個だ。オレは珈琲だな」
    「おれは抹茶」
    「珈琲とほうじ茶、抹茶とほうじ茶ってなんか面白いな」
    「確かに。でも珈琲味食べながらコーヒー飲んだら味がごちゃごちゃになりそうだから、ちがう飲み物でよかったかもね」
    「わかる。アールグレイ茶葉入りのシフォンケーキを会社の差し入れでもらったとき、同僚たちが紅茶と飲んだ方がいいのか別の飲み物がいいのか迷ってたな」
    「紅茶にしてもアールグレイだとそれこそどっちの味かわかんなくなりそうだしね」
    「だよな。結局牛乳を飲んでいた」
    「あっ、それは合いそう」
    「あとコーヒーゼリーも同じ原理でコーヒー飲みながら食べていいのか迷うよな」
    「牛乳じゃない?」
    「それだ」

    他愛もない会話に盛り上がっていたらいつのまにか最後の一個は消え去っていた。でもおいしかったのは舌に残ってる気配でわかる。

    「うまかった!ごちそうさま」
    「ご馳走さまでした」
    「これ、六個入りだったろ?もしあいつらといたら一人一個しか食べられないんだな……」
    「そうだね。ジャンケンも壮絶なものになりそう」
    「まぁ大人だから土産で買ってくときはいくつか買うけどな」
    「ダヨ子ちゃんにも食べてほしいしね」
    「ところで甘いもの食ったらしょっぱいもの食いたくならないか?」
    「袋麺あるよ。塩味」
    「グレイト!」


    唐次さんとごはんを食べるようになってから明らかに食べすぎている。責任をとってほしい。
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