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    しろ

    しろ(@w0d_46)の投げ置き場。

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    しろ

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    大晦日のオクブラ。まったりな二人。

    送り夜


    今年も残ること、あと少し。
    時計の針を目で確認する回数が、ついつい増えてしまう私を見て「ソワソワし過ぎだぜ?」と隣に座る彼が笑う。
    その柔らかい笑みに釣られて、ふふっと笑みを返す。

    一年最後の日。
    今夜は前々から2人で話し合い、私の家で過ごす事にしていた。
    午前は賑やかな街で買い物をしながらランチを楽しみ、夜は一緒に夕食を作って、まったりと同じ時間を過ごす。

    夜も耽る頃には温かいマグを片手にソファに座り、大判のストールを掛けられ、二人で一緒に包まった。赤地に細かな刺繍がされたこのストールは、クリスマスに彼から貰った何よりもお気に入りの物だ。
    もぞもぞとどちらからともなくくっつき合えば、くすくすと笑い合った。
    暖炉から木が爆ぜる音が響く中、くっついた体が心地よく暖かい。

    「俺、今幸せ過ぎてやべぇぞ…」

    「そうだな…一緒にいられるのは私も嬉しい」

    少しばかり照れ臭くて、けれども胸がいっぱいで、じんわりとした感覚が身を包む。
    楽しいことも、時には悲しいことも、色々あった。すれ違ってしまうことだってあった。それでも、彼は隣にいてくれた。隣にいたいと言ってくれた。

    それがどれだけ、嬉しかったか。
    それがどれだけ、幸せだったか。

    「なーにニヤニヤしてんだ?」
    「いやちょっとな…貴方のことを思い出していただけだよ」
    「なんだなんだ!?何思い出してたんだよ!」
    「…秘密だ」
    「逆に気になるじゃねぇか!!」

    口を尖らせて訴える彼の頬に、触れるだけのキスを送れば「…そりゃ反則だろ?どこで覚えたんだよ!」とケラケラ笑い出す。
    ちょっとズルかったかな?と思えば、お返しとばかりに、キスの雨が返ってきた。

    「オクタン…!わ、私が悪かった…!」

    降り続ける愛に降参を示せば、「ブラッドハウンド」と低い声で名を呼ばれ、澄んだ若草色が私を映し出す。
    先程のふざけた様子とは違う、真剣な顔。
    その瞳は彼自身のように、いつも輝きを宿しているのだ。
    キラキラと。
    まるで夜空に瞬く星々のように。

    「いつまでも、どこへだって、俺は愛し続けているぜ」

    甘く、優しい口付け。
    唇が重なると、その輝きに包まれたかのように、私の心も満たされるのだ。

    「オクタビオ……私も愛してるよ」

    最期の時まで、隣にいて欲しい。
    そんな言葉は、飲み込んでしまったけれど。
    彼ならその先までも、来てしまいそうだったから。

    再び唇が重なる時、部屋の時計が零時の鐘を響かせる。
    名残惜しそうに離れれば、いつもの柔らかな笑みと目が合った。

    「…年明けたみたいだな!」
    「あぁ、新しい一年だ」

    それじゃあ改めて…とお互い居住まいを正す。

    「今年もよろしく頼むぜ!」
    「こちらこそ、今年もよろしく」

    永遠などという言葉は信じられない。
    それでも、心のどこかではずっと続いて欲しいと願う。
    どうかこの幸せが、彼が、此処に有り続けますように。
    キラキラと、輝きを失いませんように。

    「さて、日の出を見に行く準備をしようか」
    「了解だ!!」

    端末に届く、皆からのメッセージにお互い返信を返しながら、支度を始める。
    寒さ対策はしっかりとしなければ。



    今年も、良い一年となりますように……
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    Replies from the creator

    しろ

    DONE雪が嫌いなブ。シリアスっぽいほのぼのオクブラです。白い傷


    はらり、はらり。

    それは綿のように柔らかで、硝子のカケラのように煌めき、全てを白亜の世界に染め上げる。

    そんな雪が、私は大嫌いだった。



    「お、降ってきたな」

    試合後の帰り道、オクタンと並んで歩いていると隣から嬉しそうな声が上がった。
    釣られて上を見上げれば、暗雲とした空から白い粒が落ち始め、ポツリとゴーグルに付着する。

    「雪…か…」
    「どうりで寒い訳だぜ…」
    「……そんな格好をしているからだろう、まったく」

    オクタンを見れば、コートを着ているとはいえ、真冬とは思えない薄い服装に、見ているこちらが寒さを覚えそうになる。
    なんなら、いつもしているマスクすら外している。
    「あんまり着込むと、速く走れねぇだろ!!」と言い訳を叫んでいるが、貴方らしいな…と答えるに留めた。
    まともな答えが返って来ないだろうなぁという諦めにも似た境地だからではない、決して。主神には誓わないけど。
    そんな私の心の声などつゆも知らない彼は、ちらりと私を見る。

    「アンタは相変わらずあったかそうだな!」

    試合中と変わらない服装の上に、上からコートとマフラー。正直、着膨れしている自覚はある。
    1334

    しろ

    DONEオクブラ前提のオク視点。というかオクが話してるだけ。冬の夜のお話。カモミール


    カシャリ…カシャリ…
    真っ暗な廊下に、自分の足音と抑えた息だけが静かに響く。

    「はーーーさっみぃ…」

    羽織ったパーカーをギュッと握りしめた後、思わずハァ…と手に息を吐き掛ければ、掌に僅かに白さが覆った。
    吸う息ですら、肺にちくりと刺すように冷たい。

    時刻は真夜中。
    こんな夜中に何をしてるのかと言うと、上手く寝付けない上に、体が寒さを訴え、そそくさとキッチンに向かっているところである。

    暖房が壊れるとかイジメだろうか?
    カミサマは俺が嫌いなんかね?
    いや、俺はカミサマなんか嫌いだけどな!!

    悪態をつくものの、ぶるりと体が震えればそんな考えも霧散していく。

    はーー…何かあったけぇのが飲みてぇな……

    昨日の帰り道、既に雪がチラついていたのを思い出す。どうりで寒い訳だ。なんなら既に積もっているかもしれない。
    世の中も、プレゼントを配る赤いアイツがそろそろ顔を出す頃だろう。

    キッチンについて、ようやく明かりを灯す。眩しさに目をしぱしぱさせながら、小さい頃は俺も信じてたなーなんて思いつつ、ポットで湯を沸かし始める。
    その間にマグを出し、普段あまり開けない棚を覗けば、 1091

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