Sweet Sweet Day「お邪魔しまーす」
「邪魔するぞ」
おう、と家主の輝が弾んだ声で後ろを振り返った。片手には白い箱を大切そうに抱えている。今日のサプライズプレゼントである巨大なケーキはスタジオのスタッフを含めても食べ切れるものではなく、輝自らが持ち帰ってきた。今日、輝さんのおうちに行ってもいいですか、薫さんと二人で、と更に嬉しいプレゼントの申し出もあった。だからだろう、輝の頬は際限なく緩んでいる。その顔でカメラの前に立つなよ、と薫にこぼされるくらいにはにやけていた。だって仕方ないだろ、と輝は内心で呟く。こんなに最高のプレゼントをもらって、平然としていろだなんて絶対に無理だ。
「今、コーヒー淹れるからな。二人ともこっちで待っててくれ」
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