モーニングコーヒー(ある種の報告書) 夜明けのコーヒーは美味い。それが愛する人とのものならばなおさらだ。しかしそれが愛する人とのものであっても、場所が場所じゃ不味くもなるというものだ。俺たちはもう三日も寝ていなくて、眠気覚ましのカフェインすら効きそうになかった。そんな中で飲む泥水のようなコーヒーは、どちらかというと泥水以下だ。
「あら、あなたたちまだ徹夜してたの? いいところで切り上げてって言ったじゃない」
滅私奉公をしているというのに、クールな花城は出勤して初めてそう口にした。そういう彼女も一昨日は徹夜をして必死の形相でデータと向き合っていたのだが、もうそれは忘れることにしたらしい。
「何このコーヒー、不味っ! あなたたちこんなの飲んでるの? ほら、さっさと仕事を終わらせて帰りなさい。その顔じゃあ私の監督不行届って思われちゃうわ」
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