Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    mii_wannyantyu

    @mii_wannyantyu

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 22

    mii_wannyantyu

    ☆quiet follow

    ちゅうしゃを打ちに行ったちびしのちゃんの続き。
    月曜日、みなさまお疲れ様です。

    ちびしのちゃん ちゅうしゃつづき

    「ねーしゃぁあ」

    居間で宿題をしていると、しのぶがベソをかきながらやってきた。泣き虫なしのぶは、何かあると、すぐに私のところにやって来る。今日はどうしたんだろう。

    「どうしたの?しのぶ。」

    宿題をする手を止めて、ひんひんと泣いているしのぶの頭を撫でると、しのぶは、先ほど注射を打った方の腕を出してきた。

    「いたぁい」

    なるほど。注射のあとが腫れてしまっているらしい。試しに上着を脱がせてみると、その腫れ具合は凄まじいものだった。注射用保護パッドの周りが、まぁるく赤くなって、ボールが入ってるんじゃ。と思うくらいに腫れている。

    「痛いわねえ、しのぶ。」

    腕に触れないようにしてぎゅっと抱きしめると、しのぶはすんすんと泣きながら、そろそろと私の腕を触ってきた。
    ……そのまましばらく時間が経っても、まだ続けている。
    どうしたのかしら。しのぶはちらちらとこちらを見上げてくるから、私の顔色を伺ってるみたい。いたずら、じゃなさそうだけど。不思議に思っていると、しのぶはじっと私の顔を見ながら、
    「ねーしゃ、いたくなぁい?」
    と聞いてきた。

    ……この子はほんとに。
    「……姉さんは、痛くないわよ。そんなに腫れてないみたい。」

    ほら。と腕を出して見せると、まじまじと見つめ、ほっとしたように笑った。
    「よかった!」

    ……天使、かしら。えっ、なに?しのぶは、自分が痛いのよりも、私の方を心配して来てくれたの?
    神様、この子はいい子すぎやしませんか。この先大丈夫なのでしょうか。私は心配です。

    いたいいたいと言いながらも、私の膝の上に乗ってぎゅううっとしがみついてくるしのぶ。

    こんないい子には、何かご褒美をあげなくっちゃ。何かあったかしら。……ああ、そうだ。あれがある。
    私はしのぶを抱きしめているのとは反対の手で、ポケットを探った。

    「しのぶ、あめ食べる?珠世先生にもらったの。」
    「それはねーしゃの。しぃはもうたべた!ねーしゃたべて!」

    しのぶは、ふんす!と鼻息荒く私の手から飴をとった。小さな手で、包み紙を開けて、こちらを向く。

    「ねーしゃ、あーん。」
    「あ、あーん。」

    コロリ。口の中に広がった甘い甘いイチゴ味。
    今まで食べたどんなものよりも、甘く、私の体に染み渡った。

    ……結局、私がご褒美をもらっちゃったわね。

    姉さん思いのいい子には、どんなご褒美をあげようかしら。そんなことを考えながら、すうすうと眠り始めたしのぶの頭を優しく撫でていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😍💯💘❤❤❤💯🙏👍👍👍💕💕🍼🍼😭💖💖😭😭😍😍🍼🍼💯🍼🍼💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    mii_wannyantyu

    DOODLEさっきお話ししてた、モブさんに告白されて言い出せなかった💧さんとそれにもやっとしてしまう🍑さんのお話。らくがきです。まだ続くけど一旦ここまで。大丈夫!ハッピーエンド仲直りするよ!(これは僕のために言っています…)
    仲直りして!!!「どうして、言ってくれなかったの」
    ……愛莉ちゃんのこんな顔見たの、いつぶりだろう。
     私を見下ろす愛莉ちゃんを、真っ直ぐに見つめる。愛莉ちゃんの後ろには天井が見えて、ああ、私、今倒れてるんだ、なんて。
     形が良くて愛らしい眉毛がきゅっと寄って、私を映す桃色は、悲しそうに細められてる。いつもは綺麗に上がっている口元も、への字みたいに下がり切っていて。
    「えっと……」
    事の発端は、私が、この前出演したドラマの相手役の人に告白された事だった。もちろん、私には愛莉ちゃんがいるから断ったけれど、お付き合いしていることは、まだ内緒にしておこうって愛莉ちゃんと二人で決めたからちゃんと言えなかった。
     その人は愛莉ちゃんとも仲がいい人だったから、愛莉ちゃんになんとなく言い出しづらくて、切り出すタイミングを伺っていたらどんどん時間が過ぎてしまって、もう一週間。どういうルートを辿ったのか、私があの人に告白されたことが愛莉ちゃんの耳にも入っていて、おうちに帰ってきた瞬間、愛莉ちゃんに手首を少し痛いくらいに掴まれて、ソファにぐいって押し倒されてしまったの。
    1507

    mii_wannyantyu

    MOURNING『現代鬼殺のお話①』
    前に呟いていた、現代鬼殺のお話。書きたくて書いたものの、何書いてるのかよくわからなくなったので供養。
    現代鬼殺のお話①

    「はあっ!!」

    私に向かってくる、異形のものに対し、私だけの刃を振るう。ガシャン、プシュウ。一閃。ドサリという物音と、ぶわりと巻き上がる黒い靄。ふよふよとこの場を漂うけれど、それはもう無視。なんの害もこちらには及ぼせなくなっている状態のはずだから。耳をそばだて、気配を探る。……よし。もうあいつらはいない、みたい。依頼の内容も、一体だっていう報告だったし。

    「ふう。任務、完了」
    『今の刀の振るい方、なんだか粗くありませんでした?』

    ……ああ、また始まった。

    「うるっさいなあ」
    『蟲柱たるもの、もっと美しく、軽やかにこなしてもらいませんと』
    「ふんっ。そんなことにばかり拘ってるから、この間みたいに失敗するんじゃないの?」
    『なんですって?!』
    「ほらほら、しのぶ。後は隠がやってくれるから。今日はもう帰っておやすみ」
    「社長」
    『お館様』

    急に目の前に現れた雇い主の姿に、跪く。この位置からは見えないけれど、多分もう一人の私も、同じ格好をしてる。

    「そんなにかしこまらないでおくれ。しのぶ、今日はどうだった?」
    「はい。任務は、つつがなく。相手は人型を取ってはいま 2898

    recommended works

    cat_step0416

    DONEisrn
    にょたゆりで夏の海と花火と話です。
    サブタイトルは「心中って自殺死体と他殺死体の組み合わせだけどこの二人ってどっちがどっちだろ!」です。
    夏の儚さの隙間に、いつだってあなたを想うよ ふくらはぎの中ほどまで水につけた女は、つめて、と小さく呟いた。夏の海と言えど、水という液体は総じて冷たいものである。
     砂浜に脱がれたスニーカーの中に丸まったハイソックスがいかにも、という感じがする。ローファーの中で几帳面に畳まれた自分の靴下と並んでいたのが、遠い過去のようだった。
     潔は、伸びた髪を潮風で揺らしながら小さく鼻歌をこぼしていた。随分と調子外れで、原曲に辿り着いた時にはサビまで来ていた。数年前に流行した曲だった。
     この女は、とんと現世に興味が無い。サッカーという競技、そしてそれに付随するものにしか興味が無いのである。それを羨ましいと思うのは、自分がサッカーをしている側の人間で、彼女の目に映り込める人間だからこそ思える贅沢なことである。そういうものらしい。最近のことわかんないから曖昧に笑って流しちゃうんだよな、なんて困ったように頬をかいていた女は、今楽しそうにパシャリと水を跳ねさせてはしゃいでいる。その姿を知るのは俺だけ。そういうことに優越感を抱いた自分がいる。それを認めたくなくて、小さく漏れた溜息に、潔はどしたん、なんて気が抜ける声を出しながらこちらを向いた。
    3927