たのしいあそびふと、気になった。ただそれだけだ。
「ヒイロ。まだ童貞か?」
「ぶっ!」
突然の質問に兄貴分の彼は飲みかけのコーヒーをおかしなところに流し込んだらしく酷く咽ていた。
最近飲むコーヒーがブラックからカフェオレになったのは、キスをする相手がブラックの苦味を苦手にしているからに他ならないとソウエイは知っている。
「げほっ!ぐっ……!そ、ソウエイ!何だいきなり!」
「その反応は童貞だな」
分かりきった質問ではあった。あの幼馴染が恋人にそんなことを許す訳がないのだから。
だからこそ、興味が湧いてしまった。こんな趣味はなかった筈なのに。
「ディアブロの悪趣味が似てきたな……」
「なにが……ぅおっ」
何の話か聞こうとしたヒイロの声は詰まったように途切れる。ソウエイが足の上に跨るように乗り上げてきたからだ。
「兄者」
鼻先が触れ合いそうな近さで薄い唇が開いてそこから覗いた真っ赤な舌がペロリとそれを舐めた。
「そ、ソウエイ……?」
ゆらゆらと戸惑いで揺れながらそれでもこちらを写しているのにソウエイは淫靡な笑みを浮かべる。
「俺が貰ってやろう」
「え、わっ」
声を注ぎ込まれ赤く染まっている耳に犬歯を立れば面白い程に震える身体にくつくつと笑う。
「兄者の童貞を」
びくっと跳ねたヒイロの目に灯った火が綺麗だった。
獲物はかかった。あとは楽しむだけ。