羅針盤の魔女-Make a contract with Layer-これは、羅針盤の魔女と零夜が契約した時の物語。
マルコスとの契約後。
羅針盤の魔女とアタリ、マルコスは羅針盤の示すままに旅をしていた。
「貴方は人の姿になりたがらないのね」
(猫の姿の方が楽ってこと知っちゃったらもう歩きたくないよね〜)
「そんなもんなのか?」
(ない?猫になりたいって思ったこと)
「ねーけど」
そんな他愛もない会話をしながら歩いていると、魔女が立ち止まる。
「……羅針盤の針の動きが小さくなった。もうすぐみたい」
(その羅針盤、針の動きが止まれば目的地なんだっけ?)
「えぇ」
「ということは……あそこか?」
アタリが指を指したのは、小さな集落だった。数人の住民らしき目つきの悪い男女が、魔女達を睨んでいる。
(なんか嫌〜な雰囲気……ホントに行くの?)
「勿論よ。……あそこで私の目的が果たせるのなら何だっていい」
そう言って魔女が進もうとすると、アタリがぐいと魔女の服の裾を引っ張る。
「どうしたの?アタリ」
魔女が振り返ると、アタリは俯いたまま口を開いた。
「魔女様……もしあそこに、魔女様を死なせられるものがあったら」
「……」
「ほんとに、死ぬのか?」
アタリの目は、悲しげだった。魔女に救われたこともありまだ共に生きていたいのだろうと、魔女は察する。彼もマルコスも、まだ死ぬには若すぎる。
しかし、魔女は目的を曲げることは無い。
「そのつもりよ。それに私が死ねば貴方達も死ぬ……嫌なら契約を解除するから、いつでも言って」
魔女が言うと、アタリはぶんぶんと首を横に振った。
「魔女様について行くって決めたんだ。だから……地獄でも何処でも着いてってやる。ずっと、一緒だからな」
「……ありがとう、アタリ」
その会話を聴いていたマルコスも、少し視線を下げた。それを見ていた魔女はマルコスを抱き上げる。
「マルコスも、いつでも言ってね」
(……キミの居ないつまらない世界で生きるつもりは無いよ)
「そう。ありがとう、マルコス」
マルコスの頭を撫で、魔女は集落へ進む。
魔女達が羅針盤の示す方向へ歩いていると、集落に住む住民達は魔女の方を睨んでいた。視線を合わせると、物陰や建物の中に隠れていく。余程治安が悪いのだろう、こちらが危害を加えないか伺っているようだ。
魔女は特に気に留めることもなく、羅針盤の示す方へ歩いていく。
「……ここね」
集落のはずれ、一軒家の家の前で針はピタリと止まった。真っ直ぐと家を指す羅針盤は、ここが魔女の死の在り処の可能性があると示したようだ。
(普通の一軒家みたいだけど……凄腕の呪術師が住んでるとか?)
「行くのか、魔女様」
「当然よ」
魔女が一歩足を踏み出した、その時。
バチバチィッ!!と電流が魔女達を襲った。
「魔女様!!危ない!!」
アタリが魔女を抱っこし回避する。先程まで魔女達が立っていた地面は、クレーターのように凹んでいた。くらえば一溜りもなかっただろう。
「……へぇ、今のを避けるんだ。どうやらそこらの人間とは違うようだね」
(っ、誰だ!!)
声のする方を見ると、屋根の上に青年が立っていた。黒髪、ライムグリーンの瞳、細身の体。今の攻撃は彼が仕掛けたようだ。
「貴方……何者?」
「人に聞く前にまず自分から名乗るのが礼儀では無いのかい?」
青年に言われ、魔女はアタリに下ろしてもらうと、青年に向けて声をはりあげた。
「私は羅針盤の魔女。死を求めて旅をしているの」
「……聴いたことがないな、そんな力の弱い使い魔を連れた魔女なんて」
「よ、弱い……!?お前もっぺん言ってみろ!!」
(いきなり悪口言われたんだけど!!ねぇ魔女様、ほんとにアイツなの!?)
青年の発言に怒る二人。マルコスの言葉に、魔女は羅針盤を見せる。
「えぇ、羅針盤は彼を示してる。……彼が、私を死に導ける可能性のある存在よ」
(確かに力は強いけど……!)
「!! 魔女様!!」
話している隙にまた青年がプラズマを放つ。今度もアタリが魔女を連れて回避したが、
「っ……!!」
「アタリ!」
「くそ、体が、痺れて動かねー……!!」
少し掠ってしまったようで、体を痺れさせてしまった。
「死を求めていると言ったね。そのわりには使い魔に自分を守らせるんだ?」
「っ、これは、オレの意思だ……!ちゃんとお別れをしてから、魔女様と死ぬんだ……!!」
「アタリ……」
「へぇ、随分とご執心だね。しかし主の望みに反するなんて……そんな使い魔、使い物にならないんじゃないかい?」
掌の上にプラズマを浮かばせながら、こちらへ近づいてくる青年。魔女はアタリを庇うように前に出た。
「待って。殺したいなら殺していい、でも私だけにしなさい」
「……使い魔を先に殺すと心中できないから?」
言い当てられ、魔女はきゅっと唇を結ぶ。青年はやれやれと首を振った。
「死にたいというくせに随分と我儘なんだね?そんな都合のいい死、どれだけ探しても見つかるわけが無い」
「……その通りね。死神でも探した方が早いかしら」
魔女は悲しげに目を伏せる。青年を威嚇しているマルコスの体を撫でて宥めると、アタリを猫の姿に戻して二人を抱き上げた。
「ごめんなさい、急に押しかけて。他を当たるわ。きっと貴方の力でも殺せないと思うから」
「……」
そして魔女が振り返った瞬間。
───────トスッ。
「……っ…………」
「殺せない、って?誰に言っているのかな」
「(魔女様!!!!)」
魔女は、青年が作った砂鉄の剣で背後から刺されていた。心臓をひとつき……魔女の体は力なく倒れる。
瞬間、アタリとマルコスは人の姿に戻り一斉に青年に攻撃を仕掛けるが、
「うわっ!?」
「ぐっ!?」
「……君達、元は人間だね。こんな女の為に使い魔に身を堕とすなんて愚かな事だ。自分の浅はかさを呪いながら死んでいくといい」
二人を空中で締め上げる謎の圧力……そこで青年ははたと気づく。
……何故彼らは死んでいない?
「……まっ、て」
「!?」
気づいたとほぼ同時に、なんと心臓を貫かれたはずの魔女が起き上がった。青年は驚いて目を見開く。
「二人を、解放して……」
「……」
青年は力を霧散させ、アタリとマルコスは地面に倒れ咳き込んだ。魔女は血塗れたまま二人の元へ行き抱き締める。
「アタリ、マルコス……ごめんなさい……不甲斐ない主で……」
「魔女、様……大丈夫、なのか……?」
「見ての通りよ。もう傷は塞がっているわ」
「魔女様……よかった……」
二人は安心した顔で魔女を抱き締め返す。その行動に魔女は、愛しそうに目を閉じた。
「……これを見ても、貴方達はそんな顔をしてくれるのね…………」
「……」
───────バタッ。
「!?」
音のした方を見ると、青年が倒れていた。魔女は慌てて駆け寄る。
「貴方、大丈夫!?どうしたの、ねぇ───────」
声が遠くなっていく。青年はゆっくりと、目を閉じた。
「……」
気がつくと、そこは自分の部屋だった。近くには魔女が座っている。
「……起きたのね、良かったわ」
「……」
「ごめんなさい、休ませられそうな所がなかったから……」
「……放っておけばよかったものを。僕は君を殺したんだよ」
「でも、死んでないわ」
そう言って魔女は青年の頭を撫でる。青年は驚いて固まったが、すぐさまその手を掴み電流を流した。
「っ!!」
「今すぐ出ていけ、もう一度死にたくなければね」
「……!」
起き上がったばかりだからか、電流はさほど強くはない。魔女は痺れながらもゆっくり、青年にもう片方の手を伸ばすと、
「っ……!?」
「……大丈夫、怖く、ないわ…………」
青年の頭を撫でた。
電流が止み、手が振り払われる。魔女は呼吸を整えると、椅子から立ち上がった。
「もう行くわ。酷いことをさせようとしてごめんなさい」
そう言って出ていこうとする魔女の手を、青年はまだ掴んだ。その行動は青年ですら理解ができないものだった。
「……どうしたの?」
「……わからない。何故こんなことをしているのか」
その手に力が篭もる。まるで離したくないとでも言うように。青年は戸惑ったような表情で、魔女とは反対側に顔を向けた。
「けれど、多分」
「?」
「君に……行って欲しくない。あんなことをした後で、訳が分からないけれど」
「……」
魔女はまた椅子に座り、青年の手を握った。
「貴方……超能力者ね」
「……」
「その力のせいで苦労したのでしょう?ここに来る人間を、あぁやって攻撃するくらいに」
「……」
「……私もどちらかというと、貴方側だったから。よくわかるわ」
「……」
「貴方、名前は?」
「……僕は」
青年は起き上がると、俯いたまま名乗る。
「零夜」
「……零夜、というのね」
「君は?」
「私には名前はないの。つけてくれる人もいなかったから。だから、魔女でも何でも好きに呼べばいいわ」
「じゃあ、魔女。君に頼みがある」
「うん……?」
青年は魔女の手に自分の手を重ね、魔女の目を真っ直ぐと見据えた。
「しばらく、ここに居て欲しい。今君といることで感じているざわめきの正体を、知りたいんだ」
「え……?」
「別の街に行くのなら、船を使うしかない。船が出るのは2週間後、まだ時間がある。あそこの集落に泊まるのはオススメしないし……ここに泊めてあげる。勿論彼らも」
零夜は窓の外で爪と毛を立て威嚇しているアタリとマルコスを見ながら言う。「貴方達……」と魔女は呆れた声を出した。
「どう、かな」
「……」
零夜の握る手に、魔女は更に手を重ねた。
「じゃあ、そうするわ。よろしくね、零夜」
こうして、魔女と零夜の、少しの同居生活が始まった。
それからは穏やかだった。
お互いのことを話しながら、超能力と魔法を見せあったり、料理をしたり、近くを散歩したり。魔女の今までの旅や、零夜の今までの暮らしからは想像もできないほど平穏だった。
零夜は、この平穏を望んでいた。
今までは集落の人間が零夜を化け物扱いし、殺しに来ていた。その度に零夜はそれを追い払っていたのだが、そのせいで能力を使いすぎてしまい、体に負担がかかっていた。それに気づかず魔女達にも襲撃をしかけた為倒れたようだ。
魔女は零夜の話を聞き、今度は自分の体のことについて話した。
呪われた一族の末裔で、生まれた瞬間に両親は殺され、自分も殺されかけたが死ぬ事が出来なかった。
人間のような扱いはされず、様々な拷問な処刑をされ続けてきた。もう、死んだ方がマシだと言うほどのものを。何度も。
そしてこの世で一番惨い刑を受けている最中、体を蝕まれながら魔女は願ったのだ。
こんな死に方はしたくない、と。
その時───────魔女の目の前に光り輝く羅針盤が現れたのだ。
その羅針盤が、魔女を助けた。
親切な老人に拾われ、行く場所を転々としながら、魔女は死に方を探した。
魔法を勉強し、黒魔術を勉強し、その最中に羅針盤が魔女の願いを叶える為に必要なものを指し示していることに気づいた。
そこから、魔女は羅針盤の示す方向へ旅をすることにしたのだ。
興味本位で手を出した使い魔との契約術を死にかけていたアタリで試したところ上手くいき、自由を求めていたマルコスとも契約し、今に至る。
魔女の話を、零夜は興味深そうに聞いていた。
「ごめんなさい、こんな話を長々と」
「ううん。君の話を聞くのは嫌じゃないし……寧ろ興味がある。もっと色んなことを聴きたい」
「私も貴方に興味があるわ。良かったら、もっと話してくれないかしら」
「……君になら構わない」
お互いの境遇が似ているからか、すんなりと話が出来た。他が理解し得ないオカルトな話、他人に理解されない自らの能力、疎まれる運命、強力な力……
魔女と零夜は似すぎていた。そして、お互いここまでお互いを理解し合える相手に出会えたのが初めてだった。
流れるように時が過ぎていく。あっという間に。もう半分経ったはずなのに、出会ったのがまだつい昨日の事のように思えるほどに。
「……今日の朝食、いつもと違うね」
「あぁ……これは私が作ったの」
「え?」
「い、いつもマルコスに任せていたのだけれど……マルコスがたまには作ってあげたらと言うから……」
(魔女様が言い出したんじゃん、作ってあげたいって)
「だ、黙りなさい!」
「……」
零夜は魔女の作った料理を口に運ぶ。緊張したような魔女の視線が、零夜に注がれ。
咀嚼、嚥下。
「……食べるのに支障はない」
「美味しくはない、ってことね……はぁ。魔法薬なら得意なのだけれど」
「でも、悪くない。また作ってくれないかな」
「え……?」
「何故だろう……彼が作った方が美味しいのは確かなのだけれど……君が作ったものだと……ここが、暖かくなる気がするんだ」
「……貴方、それ」
「知っているのかい?この感情の名を」
「……多分。でも言わないわ」
「何故?」
「言いたくないもの」
(あれ?魔女様顔赤くね?)
(照れてる〜!)
「う、うるさいわね、黙ってなさい……!」
「……っふふ、あははっ…………」
「えっ……」
「君、そんな顔するんだ……ふふ……」
「……ふふっ……もう、急に笑わないでくれないかしら」
こんな時が永遠に続けばいいと、二人は思ってしまっていた…………
ついに明日。魔女が家を出る日だ。
しかし零夜は、彼女を引き止める気でいた。ここにいて欲しい、ずっと。そう言おうと思っていた。
……かくなる上は。別の方法も。
(遅いな……)
雨が降り注ぐ窓の外を見つめていると、ドンドン!と家の扉が叩かれた。扉を開けると、
「!? アタリ……!?」
「大変だ零夜!!今すぐ来てくれ!!魔女様が!!」
アタリに言われ、零夜は家を飛び出す。
集落の方へ行くと、人集りができていた。その真ん中には……
「!!」
「この魔女め!お前があの化け物をここに住まわせたんだな!?」
「そこの使い魔もやっちまえ!」
「へへ、この魔女の封印ほんとに効くんだな……!」
「っ、ぐ……!!」
「マルコス、マルコスっ……!!」
「魔女様……逃げ、て……っ……」
壁に追い詰められた魔女とマルコスが、集落の住民達に虐げられていたのだ。
魔女の手に貼られた不思議な模様の札が魔法を封じているらしい。魔女の魔法が封じられれば、使い魔も能力を封じられる。だからアタリが急いで零夜を呼びに来たのだ。
「……」
「!! 出た!!化け物が出たぞ!!」
「人の皮を被った魔物め!!」
「やっぱりそうだ!魔女を助けに来たんだ!!」
「ここ最近ずっとここらを彷徨いてたからな、俺達の誰を殺すか見定めてたんだろ!」
「殺せ!!今がチャンスだ!!あいつにも封印の札を貼っちまえ!!」
……ふつふつと怒りが沸きあがる。零夜は自分の中に沸きあがる負の感情が制御できなくなっていくのを感じていた。
「零夜っ、いけないわ!力を使っちゃダメ……!!」
「黙れ魔女が!!」
「あっ……!!」
魔女が石を投げられ、その石が魔女の頭にぶつかる。その、瞬間だった。
バチバチバチッ!!と放電が起こり、周囲の人間が数人バタバタと倒れた。
「な、何だ、何が……!?」
「……彼女にッ…………」
曇天の空から雷の音がする。一瞬静かになったと思うと、
「死んで詫びろッ!!愚者共がッ───────!!!!!!!」
稲妻と共に大きなプラズマが集落を襲った。
雨が降り注ぎ電気の通りやすくなった集落は、いとも簡単に火の海となった。
「いやああああああああっ!!!!!」
「逃げろ!!!!殺されるぞ!!!!!」
「あぁっ、やっぱり早く殺しておくべきだったんだ!!!」
「神様!!どうかお助け下さい!!!!」
逃げ惑う人々を一人残らず殺し、血と炎が溢れ返った集落で、零夜は魔女を抱き抱えた。
「っ、がはっ………!!!」
吐血した零夜は、このままでは死ぬと理解していた。使い魔達はまだ生きている、なら彼女はすぐに生き返るだろう。
(彼女の傍で死ねるなら……本望、だな……)
バタ、と魔女と共に地面に倒れた零夜は、魔女の手を握りながら、目を閉じた───────
「……零夜…………」
「!!」
声がし、目を見開くと……魔女が零夜を見つめていた。零夜は彼女の手を最後の力を振り絞り強く握る。
「魔女……」
「……貴方、こんなことで、死んではダメよ…………」
「いいんだ……どうせ短い命だった……君を守って死ねるなら、本望だ…………」
微笑んで言うと、魔女は零夜の手を両手で握る。
「ねぇ、零夜……私、思っていたの……このまま貴方と離れるのは惜しいって……離れたくない、って……もっと、貴方のことを知りたいし、貴方と一緒にいたいの……」
「……僕も、同じことを思っていた……運命、だね…………」
「えぇ……だから」
魔女は羅針盤を取り出す。そして、告げた。
「───────私と、契約してくれないかしら」
その誘いに、零夜はすぐ頷き、羅針盤に手を重ねると……魔女と額を合わせた。
「あぁ、もちろんだ……しかし、僕と契約するには代償を払わないといけない。君がこの力を全て抱えられるとは思わないから」
「……なら、私は貴方に全てを捧げるわ。身も心も全て……それでどうかしら」
「……十分だ。僕も、君に全てを捧げる。僕の身も心も、この力も、人生も……全て君のものだ。羅針盤の魔女」
「嬉しい……」
「僕もだ……漸く、この感情の名が、知れた」
───────愛してる。
───────えぇ、私も。
魔女と契約をしたことにより、零夜は一命を取り留め。三人目の使い魔は誕生した。
集落から燃え移り、零夜の家は焼けてしまったが……本人が「もう無くても大丈夫」と言うので、お別れをしてからその場を去った。
「ねぇ、魔女」
「何かしら」
「パラレルワールドって知ってるかい?」
「……並行世界のこと?」
「そう。いくつもの世界があり、いくつもの自分がいる。僕はその中の一人。そして……君もその中の一人だ」
「つまり、これも運命ってことね」
「そう。運命は輪廻する、故に逃げられない」
「逃げるつもりは無いわ、貴方だもの」
「……そうだね。僕も逃げるつもりは無いさ、君だから」
(……なんかすっげーことになってんだけど)
(気まずすぎない?起きたらあぁなってるんだもん)
(オレ達の立場ってどうなるんだ……?)
(さぁ……)
「あら、心配しているの?大丈夫よ、貴方達のことも変わらず愛しているわ」
「おや、妬けるね。君は僕の羅針盤の魔女だよ」
「……わかっているから、もう少し離れて歩いて欲しいわ」
「無理な相談だね」
「もう……」
(ねぇ!!この甘々な空気の中で僕達どう過ごせば!?)
(あはは……まぁ魔女様が幸せならオレはいっかな〜!)
それから、魔女の後ろにずっとついていたらしい死神の気配を零夜が察知するのは、また別の話。