彼女のともだち②side-A
「 ねぇ、羽京ちゃん!聴いて聴いて!」
賑やかな声に顔を上げると、いつものクラスメイト。今日は、やけに機嫌がいい。
少し離れた席に視線を向けて、ああ今日は部会の日だっけと脳内でスケジュールを確認した。いつも通り、パタパタと机の前に駆けてきた彼女は、しかしいつもとは違い、常のスキンシップをしてこない。
……どうしたのだろう。
そう思って顔を上げると、ブラウスの襟で隠れるギリギリの部分に赤い痕が見えた。
なるほど、そう言うことかと得心して、笑顔を向ける。
「 はいはい、今日はどうしたの?またお茶して帰る?」
今週は苺のデザートが新しく出るらしいし、チェックしてこうか。
そう振ると、ゲンはキラキラと目を輝かせた。……苺は実際に彼女の好物だが、好きな理由は……まあお察しだ。
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