隊長は大根ではない「隊長!」
戦と戦の合間といえど、自らの部隊に訓練を休ませたことは一度もない。非常事態だからこそ日々のルーチンワークを崩してはならないし、むしろ普段通りであることが各員の精神衛生に寄与することにもなる。だから今日もストレッチ・走り込み・武器の組み立てから障害物訓練までをこなした後のわずかな休憩時間の際に、倒れ込んだ隊員から声が上がった。
「なんだ」
隊長の部隊は個々に求める能力が高いことで知られているが、無闇に厳しいわけではない。休憩中の歓談を咎めたことはないし、そこに自らが混ざることも往々にしてある。
「オロルンは次いつ来るのでありますか!?」
だから気軽な気持ちで返事をした自らを隊長は大変に悔やみ、思わずナタの故郷とは彩度の違う真っ青な晴空を仰いだ。
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