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    もものかんづめ

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    もものかんづめ

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    丹楓さんが列車に乗ってる軸の楓恒と鱗の話

    れいさちゃんの鱗っぽい模様に触発されて書いた話
    これは幻覚

    ##楓恒

    幕間の楓恒㉜ ずきりと痛んだ足に意識を向けないように息を吐き出す。依頼をこなす為、飲月の姿で戦闘をしていたが常よりも力を使いすぎてしまったのか微かに吐き出した息が震えていた。
     一人で受けた依頼だったが、丹恒の側を離れない丹楓と共に依頼を受けることになってしまったのは丹恒にとっては誤算ではあった。だが、丹楓が居たおかげで早く依頼が終わったのも確かで丹恒は何も言えない顔で丹楓へと視線を向けた。
    「もう終いか」
    「多いよりはいいだろう、早く戻るぞ」
     遅くなればなるほど、列車で待っている者達が心配するだろう。そう思い、一歩を踏み出そうとした丹恒だったが歩む為に意識を向けた筈の足が動いていない。内心首を傾げながらもう一度動かそうとしてみるがやはり足は動かない。
     先ほど、ずきりと走った痛みすらも今は感じられず己の身に何が起こっているのか丹恒は首を傾げてしまった。
     だが、丹恒がそんなことを考えている間に足から力が抜けがくんっとしゃがみ込んでしまった。しゃがもうとしていたわけではない。丹恒は歩こうとしていて、今の今までたっていた筈なのだ。それなのに足は勝手にその場にしゃがみ込み、どれだけ力を入れても立ち上がることができなくなってしまった。
    「何をしている」
    「……問題ない、すぐに治る」
     じっと上から丹楓に見られている気がする。それはしゃがみ込んでしまった丹恒を呆れたような目で見ているのかそれとも違う意味合いを含んでいるのか。丹楓に視線を向けない丹恒にはわからなかったが、頭上から重く長い息を吐かれれば顔を上げずとも前者の視線を向けられていることなどわかりきってしまう。
    「何故己が然うなっているのかすら理解していないだろう?」
    「………」
     無言は肯定であると丹楓ならば気づいてしまうだろう。だが、下手に否定することもできず丹恒はただ無言で下げていた顔をあげた。絡んだ視線に含まれていたのはやはり呆れの色味が強い。
    「まあ、良い…足を見せてみろ」
     見せてみろと言われたが、現状の丹恒の足は丹恒の意思で動かすことはできない。
     だが、それを丹楓に言うこともできず視線だけを逸らすと丹恒の前にしゃがみこんだ丹楓が丹恒の足に触れる。視界の情報で触れられていることはわかるが、やはり触れられている感覚はない。
    「脱がすぞ」
    「……ここは外だ」
    「状態を確認しなければ其方は己のことも理解できないだろう?」
    「ここで脱ぐくらいならば、このままの方がましだ」
    「力すら入らない身から吐き出される言の葉だとは思えんな」
    「おい、やめろ…!」
     自由に動く腕で丹楓の動きを止めようとするが、顕現された尾で一纏めにされてしまうと僅かな抵抗すらもできなくなってしまった。敵の姿はないとは言え、外で下穿きを脱ぐ等正気でできることではないが丹楓はそんな丹恒の心情等考えずに下穿きに指をかけ躊躇すらせずに引きずりおろす。
     下着だけ残された己の体を見ていられず丹恒は息を飲んで視線を逸らした。
    「ふむ、やはり…」
    「…ッ、……?」
    「鱗が出ておる」
    「…ぅ、…やめろ、そこに触れるな…っ…」
     丹楓が今己の体に何をしているのか視線を逸らしてしまった丹恒には見えていない。だが、先ほどまで触れられている感触等全くしていなかったのに今触れられている箇所だけはびりりと雷が体に落ちたかのように鋭利なもので貫かれた感覚がある。
     耐えきれない痛みではないが、体験したい痛みでもない。
     この痛みが丹楓からもたらされているのであれば、今すぐにやめて欲しいとすら思う。
    「此処が痛いのであろう? 我等持明族の欠点とも言って良い場所だ」
    「う、……さわる、な……!」
    「其方が己の状態を確認せぬ限り、やめることはない。その目で見るのだ」
    「…っ……」
     やめろとどれだけ丹恒が伝えても丹楓の手も指も動きを止めることはない。動く度に体の大事な部分を剝がされていくようなずきずきと後を引く痛みが走り、丹恒はつめそうになる息を吐き出しながら己の足へと視線を向けた。
    「これ、は」
    「力を使いすぎるな。其方が弱れば弱る程、不朽の要素が体に浮き出てくるだろう」
     常であれば色の違い等無い筈の己の足が足先に向けて浅葱色へと変色している。それだけではなく、鱗のような模様まで散見されていて丹恒はこの足が本当に己の足なのかと目を疑った。
    「体に浮き出た龍の要素は他のどこよりも過敏だろう?」
    「っ、は…、…やめろ…!」
     丹楓の指先が足先をなぞった時はなぞられた感覚等なかったのに、その指で鱗に触れられた途端に体がびくりっと跳ねあがり強張る。触れられた感覚だけではなく、そこに確かに痛みを感じて丹恒は顔を顰めた。
     あれほど触るなと何度も言っているのに丹楓は丹恒の鱗に触れてくる。
    「余に触れられたくなくば、力の制御を覚えよ」
    「う、ぐ……ッ!」
     なぞられていただけであれほどの痛みであったのに、かりりと爪の先で引っかかれると今までの比ではない程の痛みが体を貫き丹恒は体を守るように背を丸めた。泣きたくもないのに生理的な涙が目に溜まってしまう。
    「……覚えたか?」
     丹楓の問いかけに答えたくはなかったが、鱗に伸びてくる指先が見えて丹恒は嫌ではあったがこくりと頷いた。
    「ならば、戻るぞ」
    「っ! やめ…」
    「一人で立てぬ動けぬ其方に余を止める権利はない」
     丹楓の腕が膝裏に差し込まれ、抵抗する暇もなく抱き上げられる。このような抱き方をされるくらいならばいっそ俵のように抱えられた方がましだが、抵抗をしようにも丹恒の足は今動かない。
    「丹楓!」
     名を呼んで止めようともするが、丹楓はやはり止まらず丹恒はそのまま列車迄戻ることになってしまった。

    「……最悪だ」
     列車に戻り驚いた顔をしたパムにどこか具合が悪いのかと心配され、丹恒が答える前に丹楓が持病が悪化したと答えてしまったせいでパムだけではなくラウンジに居た三月や星迄も驚いていた。
     違うのだと否定をしようにも丹恒の体は丹楓に抱き上げられたままで否定をする暇もなく部屋で休むと普段使っていない宛がわれている客室に運ばれてしまいそれすらも叶わない。
     立ち上がることはできないが座ることはできるだろう。座りながらアーカイブの整理をすることも可能だったはずだ。それなのに何故丹楓がいつも使っていない部屋の方へ丹恒を運んできたのかどうしても理解することができなかった。
    「丹楓、俺はアーカイブ室へ戻る」
    「今の体で其方に何ができる? その様なことを言う余裕があるのならば早く眠れ」
     布団の上に此処迄の道のりからは考えられない程優しく下ろされる。らしくないと言えば良かったのかもしれないが、丹恒を見下ろす丹楓の視線は優しさとは無縁で言いかけた言葉を飲み込んだ。
    「眠ったからと言ってこの体が治るわけではないだろう」
    「仮眠如きでは治らぬが、一晩眠れば治る程度だと断言できる。なればこそ早く眠れと言っているだろう」
    「何故言い切れるんだ」
    「其方の症状は足にしか出ていないであろう? より重くなれば腕にも出てくる筈だ」
     丹楓の言葉に丹恒は自分の腕へと視線を向ける。持ち上げようと思えば持ち上がり、下ろそうと思えば下ろせる。先ほどの足の時とは違い己の意思が反映されていることだけは確かだった。
     丹楓の言い方、やり方は厳しいところはあるが言っていることは正論であるのであろう。眠れば治るというのも正しいのかもしれない。
     ゆっくりと瞼を下ろし眠りにつこうとはしてみるが、ずっと向けられている視線を感じてすぐに目を開けた。
    「…見られていたら眠り辛いだろう」
    「ふむ…では、少しだけ付き合ってもらうとするか」
    「何を…、丹楓?」
     見つめるなと伝えたつもりだったのだが、考えるそぶりをした丹楓は己が丹恒の上にかけた筈の布団を捲ると再び丹恒の足へと触れてくる。
     先ほどと変わらず触れられている感覚はなく、視界の情報で触れていることを認知する。
     そのまま手を離してくれればよかったのだが、丹楓は何を考えているのか鱗の方へと指先を這わしてくる。
    「やめ、ろ…っ」
    「まだ触れていないだろう?」
    「そういう問題ではない」
     触れられていなくとも、鱗の側だけは感覚があるのか丹楓の指先が触れていることがわかる。痛みとは違うぞわぞわとしたその感覚がどうにも居心地が悪い。
     鱗に触れられないように周辺のみ円を書くように指を動かされると、変な感覚だけが体に広がり残っていく。先ほどとは違う意味で触れるなと言いたい。
    「たん、ふ……、……!」
    「ん、」
    「ひっ!?」
     するりと離れた指先にほっと胸を撫でおろしたのもつかの間。鱗に指先ではないものが触れて、体がびくっと弓なりにしなる。
     触れたのが丹楓の唇であり、鱗に丹楓が口づけたのだとすぐに気づいたがただ唇で触れただけとは思えない感覚に頭の中が混乱する。
     体の中の敏感な部分を押し上げられたようなそんな心地になってしまっているだなんて思いたくはない。それなのに、触れては離れて此方の様子を伺う丹楓の動きに合わせて体が徐々にいう事をきかなくなっていく。
    「ゃ、め……、う…ぅ…」
    「痛いわけではなさそうだな」
    「――――っ」
     だから、余計にやめろと言っているだろうと口にしたかったが、鱗に丹楓の舌先が僅かに触れてその言葉すら口に出すことは叶わなかった。
     これ以上丹楓の好きにさせていてはいけない。体の自由がきかないことへの不安よりも頭の中が変になってしまいそうだった。
    「っ…、やめ、ろ…!」
     足が自由に動くのであれば丹楓の口元から足を退かしたい。その一心で足を動かそうと意識を向けると、自分の意思通りに足が動く。
     は、と驚きながら足へと視線を向けると変色していた足も顕現していた筈の鱗すらなくなっている。何がどうなっているのかわからず、抵抗したまま固まった姿勢で丹楓へ視線を向けてしまった。
    「ふむ、術でも治るな」
     その言葉で丹楓が丹恒の足に術を施し癒したのだろうことは推測できたが、それならばただ触れるだけで良かったはずだ。
     一言伝えようと開きかけた口を丹恒は閉じ、布団へと体を預ける。どちらにしても変異が戻ったことには変わりはなく、何度となく未知の痛みや感覚に晒された体は休息を必要としている気がした。
     丹楓の視線が此方を向いていることは気づいてはいたが、何をいう事もできず丹恒は瞳を閉じた。

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