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    もものかんづめ

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    もものかんづめ

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    おしょたな丹恒くんを育ててる丹楓さんの楓恒と寒い日の話

    ##楓恒

    幕間の楓恒㊺ くしゅっと、鼻を震わせて丹恒はのろのろと瞼を押し上げた。
     窓から差し込む光はまだどこかほの暗く、日が昇りきっていないことを丹恒に教えてくれているようで、いつもより早く起きてしまった丹恒はいつもより寒さを感じてすぐそばで眠っている丹楓の傍へと無意識に寄ってしまう。
     いそいそと丹楓の布団へと入り、丹楓の腕の中に顔をひょっこりと出すが丹楓はまだ目を閉じていて起きそうな気配はしなかった。
     一人で眠っている時はとても寒く感じたが、丹楓の傍では普段と変わらないように思う。
     それにしても、いつもより眠く、体も何処か動かしづらい。
     丹恒は体調の不良を誤魔化すようにふるふると首を振ると、丹楓の腕の中で目を閉じた。
     だが、そんな丹恒の気配を感じたのか先ほどまで眠っていた筈の丹楓の瞼がゆるりと瞬き、僅かに眠たげな瞳が丹恒をじっと見つめる。
    「…どうした」
    「ふーに…、…くしゅっ…」
    「…どこか悪いのか」
    「ん…」
     丹楓の手がそっと伸ばされ丹恒の額に触れた。手で体温を測っているのだと気づいた丹恒は丹楓の邪魔をしないようにじっと丹楓を見つめる。
     額に触れている丹楓の手を普段は冷たいと感じるのに、今日は丹楓の体温が全て温かく感じてしまう。いつもよりも、布団の外が寒いせいだろうか。
    「熱はないようだが……」
    「ふーに……くしゅっ…くしゅっ…」
    「……丹恒、其方…寒いのではないか?」
    「さむ、…?」
     寒いとはなんだろうか。丹楓の傍に居なければふるりと震えて、くしゃみが止まらなくなって、末端から冷えていき、体が動かしづらくなることが寒いということなのだろうか。
    「…指先が冷えている」
    「う…?」
    「寒いのだろう? 此れが寒いのだと、覚えるといい」
    「さむ、ぅ…くしゅっ」
     指先を包み込むように握りこまれ、冷え切った丹恒の手に丹楓の手の温もりが伝わる。
     これが寒いということ。
     寒いのは、嫌だと、思う。けれど、どうすればいいか丹恒にはまだわからない。
     だが、丹楓が触れてくれている所が徐々に温かくなってきて、さっきまでの体の不調も感じなくなってきているようだった。
     丹楓の傍に居れば、寒いもどうにかなるのかもしれないと丹恒は自分の手を握っている丹楓の手を握り返した。
    「ふーにぃ、あったかい…」
    「そうか」
     握り返した丹恒に丹楓は嫌だとも、離れろと言うこともなく、ただそのまま布団から起き上がると丹恒を抱きかかえ、何かの機械の操作を始めてしまう。
     丹恒にも見えるようになっている機械の画面には色々な洋服のようなものが映し出されていて、此れは一体なんなのだろうと丹恒は首を傾げながら丹楓の方を振り返った。
    「ふーにぃ?」
    「この寒さは気温の管理システムの故障か何かだろう…其方には酷なはずだ」
    「?」
     丹楓の腕の中で、丹恒はもう一度画面に視線を向ける。
     画面に映し出されている洋服たちは今丹恒が着ているものと大きさは似ているが何処かもこもことしているように見えた。
     今まで見たことのない其に確かに興味はあるが、それが誰の為のものなのか丹恒にはわからず画面と丹楓を何度も交互に見てしまった。
    「この程度あれば良いだろう」
    「う…?」
     数件枠が色づいたその洋服たちを画面を操作して動かしていく丹楓が何をしているのか丹恒にはわからなかったが、どれも丹楓が自分で着るものにしては大きさが小さそうだと思ってしまっていた。
     丹楓に抱きかかえられながら、数分。丹恒が丹楓の温もりの心地よさにうとうとしていると、機巧鳥が羽ばたきながら荷物を部屋の中へと運び入れて来た。
     バサバサと機械の羽が動く音に驚き、眠気が何処かへと行ってしまった様子の丹恒はぱちぱちと丹楓の腕の中で瞬きをすると丹楓が受け取った箱の中へと視線を落とした。
    「ふーにぃ…、ふく…?」
    「其方のだ」
    「こー、の?」
     丹楓は箱からブルーグレーのもこもことした塊を取り出すと、丹恒へと手渡した。
     丹恒が受け取ったその塊はふんわりとしていて、普段着ている洋服とは違い、指先が布に吸いこまれていくよう。
    「ふあふあ…」
     もふもふ、ぽふぽふ。
     小さな手を当てて、離して、また当てて。布の感触を楽しんでいる丹恒は其が洋服であるということも忘れてしまっているようだった。
     そんな丹恒の様子を見ながら、箱から次の服を取り出した丹楓は今後は丹恒には渡さず畳まれている服を広げると丹恒の頭の上からすっぽり被せてしまった。
    「う?」
     突然ふわふわとした布に体を包まれた丹恒は、すぽっと布から出した顔をきょとんとさせながら丹楓へと視線を向ける。
    「貫頭衣だ、此れならば尾も気にならぬであろう」
     丹楓の言葉にこくりと頷いた丹恒はもこもことした貫頭衣が気に入ったのか、その場で裾を持ち上げたり、尾を追いかけるようにくるくると回ったりと忙しなく動き始める。
     そんな丹恒の様子を見ていた丹楓も何処か満足げに表情を緩めると、立ち上がり箱に入っていた他の服を丹恒でも手の届く場所へと片していく。
    「ふーにぃ」
    「…なんだ」
     一枚一枚を皺をつけないように丹楓が畳みなおし仕舞っていると丹楓の服の裾をくいくいっと丹恒の手が引く。
     先ほどまで、くるくると楽しそうに回っていたせいか寝て起きてから髪の手入れをしていないからか乱れてしまった髪を丹楓が指先で直すと擽ったそうに小さく笑みを零しながらも丹恒は丹楓の袖から手を離すことはなかった。
    「ふーにぃの、ふくは…?」
    「? 其方のものしか手配はしていない」
    「!」
     目を見開いた丹恒はゆるゆると視線を地面に落とし、尾をしょもりと垂れさせてしまった。
     先ほどまであれほど楽しそうにしていたというのにどうしたのだろうかと、丹楓が肩眉を上げると地面を見つめながら丹恒が小さな声でぼそりと呟く。
    「こ、こーがさむいの、しらなかったから…ふーにぃ、ふーにぃのふく、かえなかった…?」
     丹楓はある程度術で周囲の温度の調整を行っているので、丹恒程寒くはない。その為、体温の調整が難しい丹恒の為に丹恒の服だけを手配したのだが、そのせいで丹恒は自分のせいで丹楓が己の服を買えなかったのだろうと落ち込んでしまったようだった。
     術で寒くないのだと丹楓が言えば、丹恒も覚えるからと寒いのに無理をして手配した服を着ない可能性もある。
     丹恒が体調を崩してしまう方が面白くなく、どう丹恒に言ったものかと丹楓は頤に手を当てながら丹恒をじっと見つめた。
    「…余の服は、この機械では買えぬのだ」
    「……ふーにぃのふく、ない…?」
    「そうだ、余の服は余が直接注文をしに行かねばならぬ…だが、其方はあのままでは布団から出れなかったであろう?」
    「…ん」
    「なればこそ、余は其方の服だけを手配したのだ」
     地面を見つめていた丹恒の視線がゆるゆると上がる。どうやら、納得したらしい。
     まだ握りしめたままの丹楓の裾をくいっと引きながら丹恒はじっと丹楓の顔を見つめた。
    「ふーにぃの、ふく…」
    「……そうだな、今の其方ならば共に行けるだろう」
    「ん」
     丹楓はこくんと頷いた丹恒を抱き上げると、僅かに瞳の端に溜まっていた雫を指で拭った。
     まずは、現状の報告を景元から受けながら自分の服を見に行き、丹恒の服も身に行くとしよう。
     この天候と気温の管理システムの異常がまだ数日は続けば良いと思いながら、丹楓は丹恒と共に屋敷を後にした。

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