シャル・ウィ机の上に置かれた1枚の封筒。穏やかなホワイトの色合いを、爽やかな青色の封蝋が引き締める。
それを睨みつけるのは、紫色の軍服を纏った老人だ。腕を組み、睨んで、睨んで、睨みつけて……そして、がっくりと肩を落とすと大きなため息をついた。
少年大統領と市民たちが、反乱軍ピシアに勝利し自由を取り戻したあの日から、ちょうど2年。ピリカの街並みは彩りを取り戻し、以前のような笑顔溢れる場所となった。復興が終わったことを祝おうと官邸にてパーティーが催されることになり、大統領に補佐官、治安大臣をはじめ、先の戦いの功労者や政治家たちが招かれた。和気藹々と談笑する参加者たちから離れたところ、壁際にぽつりと佇む人影があった。
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