帰り道夕暮れの差し込むオフィス、まだ定時前だというのに珍しく人がまばらだ。なぜなら明日から連休があるのだ、午後休や時間給をとって早めに帰宅する人が多いのだろう。
本来なら自分も早めに退社して食事に行こうと話していたのだが、肝心の後輩君がまだ外回りから帰っておらず、仕方なくデスクの掃除をしているのだ。
…約束の時間から1時間も過ぎている。何度連絡しても繋がらないし、上長には「なんでいるんだ…?」と言わんばかりの怪訝な顔をされてしまった。
何かあったのではないかと内心気が気ではないが、今どこにいるのかも分からない状態でこちらが動くのは得策ではないだろう。せめて玄関まで様子を見に行こうかと鞄をとったとき、聞き馴染みのある声が聞こえた。
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