没シーン「……ってせっかく僕が買ってきたご飯、一つも減ってないじゃないですか。駄目ですよ~、君たちは生命活動に食事は欠かせないんですから、用意した分くらい消費してくれないと。」
机の上にはコンビニかどこかで買ったなりのままのおにぎりや飲み物が置かれていた。なんだかずっと前から置かれていたような気がする。
できるだけ彼の姿を認知したくなくて、机から背を向けていた。
そんな姿には目もくれず、怪異はがさがさとレジ袋をいじっている。
やがて何かの包装を破く音がして、むんずと肩をつかまれ無理やり仰向けにされた。
「ほらこれ、食べてくださいよ。おにぎりの包装を解くのも結構上手になったでしょう?」
妖しく笑う怪異をぼーっと眺めていた。
黒い髪に整った顔立ち、そして少しの煙草のにおいがした。
「……なんですか、食べないんですか?まったく……、しょうがないですねぇ今日は気分がいいのでサービスしてあげますよ♡」
そういうと怪異はおもむろにおにぎりを一口食べた。しばらく咀嚼したかと思うと、ぐっと顔を寄せそのままキスをされた。
「んぅ?!」
あまりに突然の出来事で思わず目を見開いたが、眠剤の過剰摂取で動かない体には抵抗する気力は毛ほどもなかった。
そのままぐぐぐと唇を開かされ、口内にどろりとしたおにぎりが侵入してきた。米の水分だけでねばねばしており、はっきり言って不快だ。それでも怪異は構わず押し込んでくる。
(まさかこのまま飲み込めと言っているのか……?!)