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    JIFAREN

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    JIFAREN

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    一時間クオリティ、推敲なしの駄文です。
    休日出勤した可哀想な後輩君のお話です。……今知りましたが8/9は”ハグの日”だそうですね。

    厄日の後輩君今日は厄日だ、間違いなく。

    休みの日の朝に職場から電話で”欠勤が出たからヘルプをお願いしたい”と連絡があった。渋々了承したがそこからが本題だった。

    天気はあいにくの雨。車に水を引っ掛けられるわ、電車は遅延するわのトラブル続き。
    出社したが案の定社内は慌ただしく、電話対応と積み上げられた事務処理後片付けのオンパレード。そして極めつけが今自分が担当していた依頼者からの急な対応依頼で再び雨に降られて、碌に昼休憩も取れずに15時を迎えてしまった。

    そんな中でも唯一の癒しといえば……。

    「あれ?後輩君、今日はお休みじゃなかったっけ?」

    そうだ、先輩と同じ空気を吸えることだ。とはいえお互い入れ違いに外出していたせいで、やっと会えたところなのだが……。

    「そういえば事務の子が体調不良で休むって聞いてたから、その埋め合わせで出勤になっちゃったのか。ご苦労様、後輩君。」

    あぁ、その声を聴けただけで今日は出勤した甲斐があった。先輩も忙しいだろうにわざわざ労いに来てくれるなんて、そう思っていたのもつかの間……。


    プルルル、プルルル……。


    また電話だ。番号は、依頼人の佐藤さんか…。大した要件じゃなければいいのだが。

    「はい、佐藤さん。どうかされましたか?……えぇ?!今日持って行った書類、印鑑が押されてない?!申し訳ありません、再度郵便でお送り……本日中じゃないとダメですか……。わ、わかりました。今からお持ちいたします。はい、はい……。申し訳ございません……。では後程お伺いいたしま……。って切れたし……。」

    本当に厄日だ。この書類揃えたのは自分じゃないのに……。とはいえ確認もせずにそのまま渡した自分にも落ち度はあるのだが、それでも怒りは沸いてくる。第一今日でなくともよくないか?速達なら明日には届くぞ?

    そんな気持ちが表情に出ていたのか、先輩が心配そうにこちらをのぞき込んでくる。

    「後輩君、クレーム対応かい?もし手に負えなさそうなら僕も手伝うけど……。」
    「い、いえ!自分の確認不足なので大丈夫です!またちょっと外出してきます。」

    カバンの中に会社印と社用車の鍵を入れて準備をする。仕事も気も進まないが仕方がない、そうおもって再度顔を上げると、先輩がなぜか腕を広げて立っていた。

    「ど、どうしました……?とうせんぼですか……?」
    「ははっ、面白い解釈だけど違うよ後輩君。だって君、今の顔で行ったらきっと依頼人を怖がらせちゃうよ。……ハグにはストレス解消の効果があるっていうじゃない。ね、おいで?」

    そんな整った顔で捨てられた子犬のような目をしないでほしい。というかわざとやっているだろうこの?!。そしてそれに自分が抗えないということもわかっててやっているだろ?!。そうじゃないとこのムーブはできない、さすがに。

    ふらふらした足取りで誘われるまま腕の中に納まる。あぁ、先輩の香りがする……。煙草の香りの中に少しだけ柔軟剤の甘い香りが混じっていて、なんだかとても落ち着く……。あったかい……。

    「ほらほら、接地面積が広いほど効果もよく出るみたいだよ。はい、ぎゅ~♡」

    先輩がさらに腕に力を籠める。必然的に自分の背中には先輩の手の感触が分かるのだが、なんだろう、大きい手ですっぽり包まれるのはこれほどまで安心するのかと内心驚く。先ほどから心臓がばくばくととんでもない音を立てているのだが、聞こえていないよな……?
    そろそろ行かなければと思う反面、いつまででもこうして居たいと離れがたいと思ってしまう。

    なかなか離れない自分を察してか先輩が耳打ちした。

    「――後輩君、続きは帰ってから……ね?」

    一瞬でカッと顔に血液が集まる。思わず腕で押しのけると、先輩は楽しそうにカラカラと笑った。

    「あはは、冗談だよ。それじゃあ、がんばっておいで。」

    ひらひらと手を振る後姿を、恥ずかしいような恨めしいような気持ちで睨みつけていた。


    ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


    あとからカバンを見ると、見覚えのないチョコレートと”おやつにどうぞ”というメモ書きが入っていた。

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