「おいコラ!!!!いつになれば遅刻しなくなるんだよ!!!!この不良!!!!」
放課後のふたりきりの教室に、フーゴの声が響きわたる。
ナランチャはヘラヘラしながら耳を塞いだ。
「ひー!学級委員長こえーよー!」
「そのこわーい学級委員長を怒らせてるのは、どこのどいつなんですかね!?」
フーゴはぷくりと頬を膨らませる。
その表情に、ナランチャの心臓は跳ねる。
(......そんな顔しやがって)
勉強が得意で頭の回転も早いのに、怒りっぽいところ。
どれだけナランチャが馬鹿でも、見捨てずに勉強を教えてくれるところ。
堅物そうに見えて、いちごのスイーツには目がないところ。
何でもできる優等生の意外な一面を、自分だけが知っているという事実に、時折ナランチャは胸が熱くなるのだ。
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