きみのテストの点数はひどすぎる、今日から放課後で居残り勉強だ、とか言って、オレを勉強会に誘ってきたくせに、初日からフーゴのほうが遅れてくるなんて。
「おーい、フーゴ!」
図書室でフーゴを待っていたけれど、時間になっても来ないから、直接迎えに行くことにした。
がらがらと教室のドアを開けると、フーゴは机に突っ伏していた。なんだ、寝てるのか。
起こしちゃったら悪いかなあ、と思いながらも、フーゴの顔を覗き込む。
──息が止まるかと思った。
小言ばっかりのうるさいやつだと思っていた。
すぐにキレるめんどくさいやつだと思っていた。
だけど寝顔は年相応にあどけなくて、男同士だというのに、.......なんだかどきどきする。
心臓の音がどくどくとうるさい。顔が真っ赤になっているのが、鏡を見なくてもわかる。
「なあ、フーゴ」
フーゴの耳元で、そっと囁く。
オレの、いちばん低い声で。
「ちゅー、してもいい?」
.......何言ってんだろ、オレ。
フーゴのせいで、頭悪くなったんだな。