パッショーネと関係の深い組織の重大な秘密を、任務を行う中で偶然知ってしまったフーゴ。
その組織との取引では、莫大な利益が生まれるため、パッショーネは組織との関係をどうにか続けたいと考えている。
交渉の結果、その組織は『秘密を知ったフーゴの記憶を全て消して、その上でフーゴの容姿を作りかえること』つまり『パンナコッタ・フーゴという人間の存在をこの世界から消すこと』を条件に、パッショーネとの取引を続けると言った。
パッショーネとその組織のために、フーゴは要求を飲むことを決める。
全ての記憶を消し、整形手術をするまでに、一日だけ時間をもらえることになったフーゴ。
パンナコッタ・フーゴとしての最後の日、フーゴはずっと好きだったナランチャに会いにいくことにする。
(全ての記憶が消えるし、もう二度と会えないのだから、最後に会ったところで未練を残してしまうだけだ)とも考えたフーゴだったけれど、やっぱり最後に『パンナコッタ・フーゴという人間が抱いていた想い』を、世界でいちばん愛している彼に伝えたいと思った。
フーゴの全ての記憶が消えること、フーゴの容姿が作りかえられること、そしてパンナコッタ・フーゴという人間がいなくなることは、組織間の機密事項のため、もちろんナランチャにも伝えることが出来ない。
「いままでも、これからも……、ずっと好きです」
泣きそうになるのを抑えながら、ナランチャに想いを伝えるフーゴ。
「ほんとかよ!?実はさ、オレもフーゴのこと大好きなんだぜ!」
ナランチャの太陽みたいな笑顔はあまりにもまぶしくって、未来の見えないフーゴとは真反対な存在だった。
「ぼくは、ずっときみの幸せを願っています。だから、……だから、最後に……ぼくの身体の内側に、一生消えない傷を付けてほしい」
最後の夜は、あまりにもきもちよくて、あまりにも幸せで、あまりにも切なくて、あまりにも尊い時間だった。そんなナラフー