blaze「お兄さん、そんな所でなにしてるんだい?」
暗い路地。壁に持たれるように居た男に遊女のような服で赤い唇の女が声をかけた。
男はただ淡々と
「人を待っているんだ」
女に振り向くことなく答える。
「そんな奴放っておきなよ、私とイイ所にいかないかい?」
「……」
「最高に楽しいところさ」
男はその時になって初めて女を見た。
「どれほど楽しいところだとしても、俺はお前とは行かない。俺が待っているのは、魂が求める相手だからな」
その相手を思い出したのか、小さく笑った。
女は少し呆けた顔をした後で
「つまらない男だね。そんなにそいつがいいのかい?」
「ああ」
断言した男を見ながら諦めたように息を吐いた。
「じゃ、お先に行かせてもらうよ」
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