愛しい痛み ガタンと大きなひと揺れの後、ピタリと静止してしまった大型観覧車の中で俺と焦凍はこんがらがった状態で床の上。
『ちょ、大丈夫か、勝己!』
ン、焦凍が庇ってくれたから大丈夫。っていうかこれ事故、それとも地震とか?暫くグラグラ揺れていたけれど、それ以上揺れが酷くなることはなく、気が付けばBGMも止まっている。
『完全に運転停止しちまったな』
スマートフォンで調べる限りは地震などの大きな天災は起きていなさそう、だったら機械のトラブルだろうか?なまじテッペンで停まってしまっただけあって他のゴンドラの様子が解ンねェけど、きっとそんな類だろう。それにしても、
(強く抱き締めすぎだって)
おそらく無意識なのだろう、その後暫くお待ちくださいっていうアナウンスが流れた所でやっと俺を抱きしめていた焦凍の手が緩んだくらい、全く焦凍は心配性が過ぎる。俺だってバスケで鍛えてんだし、その辺の高校一年生よりは強ぇのに。それを主張してみると、
2396