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    eikokurobin

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    レニ/右爆/轟爆
    眠れぬ夜の小さな図書館

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    轟爆/弓バス/オメガバース風味

    #轟爆
    bombardment

    我慢できねぇ『ゴミ捨ててくるわ』

    と教室を出て行ってから気が付けば既に30分、途中で何か用事が入ったら連絡してくるであろう勝己から音沙汰なしってのはちょっとおかしい。こちらからメールしてみようとスマホを取り出した所で、丁度勝己からメールが届く。その内容は、

    “日直の日誌を提出して先に帰れ“

     提出するのは構わないが、真面目な勝己は日誌を必ず自分で提出するのが常、それに意外と律儀な彼はイレギュラーが起こった時は俺が心配しないようそれ相応の理由も言うのに、そのことについては一言も触れていない。もしも勝己が本当に俺に先に帰って欲しいなら、俺が納得するようなメールを寄越してくる筈、

    (ってことは、俺に言えねえ事態が発生したってことだ、このメールも無理やり書かされたな)

     無理やり書かされたフリして、俺にそれと解るようにメッセージを仕込んだ。勝己を捉えたヤツは俺を遠ざけ、俺が不在のうちに勝己を俺から奪う算段だろうがそうはさせねぇ、間もなく見つけた白い子、

    『勝己!』

     体育館倉庫の床に蹲った姿に駆け寄った。着衣はさほど乱れていない、腕から手首まで何度も噛まれ血が滲むそれを手に取りそっと除ければ真っ白なうなじが露呈した。良かった、まだコッチも無事だ、念の為勝己の股間に手を置いて確かめるが発情している様子はもない。

    『コラ気安く触ンな、焦凍に触られると興奮して立っちまうから』

     それは困る、ただ立つだけなら健全な生理現象だがそこからヒートを誘発してしまったら大事だ。美人ゆえただでさえ狙われやすいのに、勝己自ら本能に訴えかけて誘うようになっちまったら、もう勝己は自身で守り切れないのだから。兎に角無事で良かった、ギュッと抱き締めると、

    『焦凍、苦ひィ、息が出来ねっ』

     と可愛い悲鳴。バスケで鍛えた身体は決して貧相ではないが、骨格上勝己はガタイがよくはならず、テクニックは高くても力技には負ける。俺1人跳ね除けられねえようじゃ、複数に襲われたらひとたまりもねぇが、幸い勝己の持つ性質は独り占めしたくなる類のもの。その性質は子どもを成すためにあるものだから必然的に他者とは競合状態となる。現に俺だって勝己を俺だけのものにしたい、

    (でも違う、この気持ちは本能に引き寄せられたモンじゃねえから)

     俺が勝己を好きになったのはまだ第二の性が発覚する前、幼馴染ゆえ赤ん坊の頃からの付き合いの中で芽生えた好意はやがて恋心へと発展し、口約束だった“勝己をお嫁さんにする”が決意へと変わり告白をした、その時までに既に俺の気持ちははっきりと固まっていたのに、

    キスをした途端に勝己が希少価値の高いΩだと解ってしまうだなんて。せめてそれより前にプロポーズしておいたのがせめてもの慰みだ。

    +++

    『焦凍、取っ組み合いしようぜ。また襲われた時の対策にさ』

     護身術を学びたいなら弓道部の俺じゃない方が、何て言ってられない。寝技なんて自ら食べられにいくようなものだし、勝己の匂いに気付かれたら一大事だ。神様が勝己に与えたΩの性質はフェロモンによって色付けられ、その尋常でない甘さが人を狂わすというのに、既に幼い頃から甘い匂いをさせていた勝己はただでさえ特殊なケース、

     注目すべきは勝己の甘い匂いはΩに起因しないことで、Ωのヒートとは無関係なのにその幼き頃からの体質のせいで勝己はヒートと関係なく常日頃甘い匂いを放ってしまう。

    『甘いっても、本当のヒートはこんなモンじゃねェらしいぜ』

     だろうな、もしもお前にヒートが来たらきっと俺はお前の身体を直ぐに開いてしまうだろう。

    『大丈夫だって、ちゃんと薬は飲んでっから。現に焦凍は俺とこんなことしても平気じゃん』

     クスクスと笑うまだ幼い笑顔はまるで天使のよう。この春高一になった俺達がしたことあるのはキスと互いの性器を手と口で扱きあったことだけ、

     それだけに留めるのに俺がどれだけ我慢しているのかを知らない、同い年のくせに性欲の薄いこの天使のような幼馴染を穢したくない俺と、その白いうなじを好きなだけ噛みながら誰より先にその腹の中に俺のモノを突っ込んで俺だけのものにしてしまいたい俺とがせめぎ合う。

    (いずれ勝己がΩとして開花し、俺を選んでくれるまでの我慢だ、それまで盗まれねぇように守り通せばいい)

    『焦凍スゲェ苦しそう、もっと離れた方がいい?』

     心配そうな顔をして覗き込む勝己を懐に抱き込んで、うなじに指を這わせながら、

    『いや、その逆だ。もっともっと勝己を感じていたい。その顔も声も匂いもキスの味も全部全部俺のモノ、もしも誰かが勝己に手を出そうとしても勝己の身体が反応しないくらい、俺の雄でいっぱいにしておきてえ』

     我ながら品のない宣告をしたというのに、

     何だそんなの、とまた天使のように清らかな顔で微笑み、“もうとっくに俺の中は焦凍でいっぱいだ”って俺の手を心臓に導きながら耳元で囁く勝己の手を心臓から引き剥がし、

    『俺がいっぱいにしてぇのはここだ』

    って勝己の腹の上に勝己の手を乗せて上から押さえつけると、勝己の身体がブルリと震え、甘い匂いが立ち込め始めた。不味い、これはもしかしてー

    『焦凍、身体がヘンだ、もしかして俺』

     まだだ、まだ天使のままであって欲しいのに、

    『勝己、俺もう』

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