「ワニやろーこっち!迎えに来たぜ」
「・・・・・・・・・?それに乗んのか・・・・・・?」
「家の車、今使ってるらしくて出せねぇっつぅから。後ろ乗ってくれ」
そろそろ着くと連絡があってから数分、本屋で時間を潰していたクロコダイルのスマホに「店の前」とメッセージが届く。「いまいく」。慣れないフリック入力で返事をして会計を済ませ店を出ると、ヘルメットをふたつ抱えたドフラミンゴがバイクに寄りかかって、こちらに手を振っていた。
「はい、これお前のメット。二人乗りした事あるか?」
「無い」
「だろうな。まぁ安全運転で行くから大丈夫だぜ」
「・・・・・・あぁ・・・」
ドフラミンゴのバイクは何度か写真で見せられた事があるので、持っていることは知っていたが、乗っているところを見るのは初めてだった。てっきり普段のように、運転手付きのドンキホーテ家の車が停まっているとばかり思っていたクロコダイルは、驚きで目を丸くして固まった。渡されるがままヘルメットを受け取って被り、ドフラミンゴが留め具をロックした。
「鞄は背負った方が良いかもな。ここに足置いて、本当はこの取っ手掴むんだが、お前の場合はおれの腰掴んどけばOK。なんか質問あるか?」
「・・・・・・無い、・・・が・・・」
「よし。乗ってくれ。マフラー熱いから気ィつけろよ」
クロコダイルが説明にこくりこくりと頷いているうちに、ドフラミンゴはヘルメットを被りエンジンをかけ、すっかり乗る準備が整ってしまった。クロコダイルは恐る恐るバイクを跨ぎステップに足を乗せる。体重移動による車体の揺れに驚き、クロコダイルは思わず目の前のドフラミンゴの背中にしがみついた。
「ッ」
「おわっ、と。・・・フフフッ、ンな簡単に転けねェから大丈夫だ。背中じゃなくて腰な。そう。で、脚でタンクをちゃんと挟む。じゃあ出すぞ」
「・・・・・・本当に転けないんだろうな」
「んー、まあ・・・・・・お前がチキんなきゃな」
「?」
まるで今のクロコダイルは物怖じしている、弱腰だとでも言うような口振りに、クロコダイルの口から反射的にドスの効いた低い声が出た。そんな風に言われるのは非常に不愉快である。初めての経験に少しだけ動揺していただけなのだ。クロコダイルの左腕はガッシリとドフラミンゴの腰に回り右手は上着を掴んだ。
「出せ」
「フフフ!大丈夫そうだな」
チカチカ。ウィンカーを出し緩やかに発進し合流する。
「ちょっと遠回りだけど大通り通ってくぞ」
「分かった」
緩やかにに発進、信号で停止。赤から青へ。いつもは曲がる近道へ曲がらず直進。日が落ちて少し冷めた風が首筋を抜けていく。車の時とスピードはそう変わらないはずなのに、いつもの車窓から見えていた景色より、ヘルメットのシールド越しの景色は随分早く移ろっていくように感じる。停止の時の不安定さにはまだ慣れないが、クロコダイルが身を預けるドフラミンゴは曲がりくねった道を避けてルートを選んでいく。そうした小さな気遣いに、照れくさくてふんと鼻を鳴らした。
クロコダイル、初めての二人乗りバイク体験の始まりである。
この後曲がる時に
🐊「速くねぇか?!はやっ、はや、!」
🦩「これ以上落としたら曲がれねぇよ。チキんな」
🐊「チキってねェっつってんだろ!!!!」
🦩「うわうるせ」
ってなるし、
🦩「お前の垂直じゃなくてもうちょい体傾けろ。曲がりずれぇ」
🐊「体を???傾ける????」
🦩「曲がるぞー」
🐊「まてまてまてまて」
でも三回ぐらい曲がったら乗り慣れる🐊運動神経が良い。実はドフラミンゴも後ろに人乗せるの初めてとかだったら萌える。
道中でみほーくさんとかに会って欲しいし翌日には学園内で二人乗り写真が出回って欲しい。かわいい