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    94yakanai

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    雉豹
    「貴族のパーティにスタッフとして潜入するルッチと招待客として来た雉さん」の呟きを文にしました


    多分続く

    ##ルッチ

     従業員用の控え室で一人、ルッチは姿見に映る己の格好を確認していた。センターできっちり分けた髪を後ろで一つに束ねるいつものヘアスタイルには少しの乱れも見当たらない。身にまとった黒い蝶ネクタイと同色のカマーベストは、上品でスッキリとしたシルエットを作り出し、黒い布地が首後ろと腰周りのみ覆う後ろ姿は、ルッチの細い腰とスラリと伸びる脚を美しく魅せている。

     任務の詳細は省くが、ルッチはとある貴族の主催するパーティにスタッフとして潜入していた。しかし控え室の時計が示す数字は、とっくにパーティは始まってしまっている時間だ。当初の計画では警備員として任務にあたる手筈であったが、会場入りしたルッチの容姿に目をつけたホテルの支配人により、急遽フロアスタッフへと異動になったのだ。別の場所に潜入しているメンバーにそれを報告したところ、電伝虫の向こうで笑い転げる声が聞こえたのでルッチは危うく握りつぶしそうになった。
     ターゲットの確認は取れている様で、フロアから抜けられないルッチに代わりそちらで任務を遂行する段取りとなった。手が空いてしまった分、メンバーが暗躍するあいだ客の関心を程よく引きつける、これがルッチの仕事である。

     給仕など全く気が向かないが、そんな自身を鼓舞するようにコツコツとかかとを鳴らして控え室を後にする。人気のない廊下から賑やかな音の漏れるホールへと足を向けた時だった。

    「遅れてごめんね、まだ入れる?」
    「は、はい!お待ちしておりました、海軍大将青キジ様・・・!」

     ホテル入口の方から聞こえた会話。ルッチの足が止まる。何故だ、招待リストには載っていなかったはず。思わず振り返った先のその男と視線が交わった。

    「・・・」

     まさか鉢合わせるとは思ってもみなかったが、男は間違いなく青キジだった。正義を背負った白いコートは置いてきたのか、ブルーのシャツに白いベストの普段の格好でそこに立っていた。
     ルッチの眉がピクリと動く。対する青キジは表情ひとつ変えることなくこちらへ近づいてきた。
     は、と我に返ったルッチは通路の端に寄って道を開けお辞儀をする。青キジは話しかけるでも無く、また視線が交わることも無く、そのままルッチの前を素通りしてホールへ向かっていった。

     頭を上げ青キジの後ろ姿を見つめるルッチの内心は、少し苦い気持ちであった。それは想定外の青キジの登場に動揺して、あまつさえそれが顔に出てしまったことを悔しく思ったからだ。
    青キジとて突然ルッチが現れた事には驚いたであろうに、彼は表情ひとつ変えなかった。瞬時にこちらの事情を察して、海軍大将である自身との関係がバレてはならないと判断したのだろう。

     ルッチは青キジを追うように再びホールへと足を向けた。
     普段はあんなにだらけた態度の癖に。
     己の未熟さに苛立って、八つ当たりのように心の中で愚痴を言う。任務はまだ途中である。先程までやる気が起きなかった任務だが、今は逆に完璧に務めあげてやろうとさえ思っていた。カツカツと鳴らす靴音は気概を感じさせるものだった。
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    94yakanai

    DOODLE素晴らしいドフラミンゴさんをお見かけしたので眠ってたおしゃべりドフ鰐メモを引っ張り出すなどする 
    ⚠️あおはるネタ⚠️
    あおはるドフ鰐ちゃんがバイク二人乗りする話
    そのうち夜の海デートとか行って欲しい
    「ワニやろーこっち!迎えに来たぜ」
    「・・・・・・・・・?それに乗んのか・・・・・・?」
    「家の車、今使ってるらしくて出せねぇっつぅから。後ろ乗ってくれ」

     そろそろ着くと連絡があってから数分、本屋で時間を潰していたクロコダイルのスマホに「店の前」とメッセージが届く。「いまいく」。慣れないフリック入力で返事をして会計を済ませ店を出ると、ヘルメットをふたつ抱えたドフラミンゴがバイクに寄りかかって、こちらに手を振っていた。

    「はい、これお前のメット。二人乗りした事あるか?」
    「無い」
    「だろうな。まぁ安全運転で行くから大丈夫だぜ」
    「・・・・・・あぁ・・・」

     ドフラミンゴのバイクは何度か写真で見せられた事があるので、持っていることは知っていたが、乗っているところを見るのは初めてだった。てっきり普段のように、運転手付きのドンキホーテ家の車が停まっているとばかり思っていたクロコダイルは、驚きで目を丸くして固まった。渡されるがままヘルメットを受け取って被り、ドフラミンゴが留め具をロックした。
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    eyeaifukamaki

    PROGRESS愛をみつける
    ②と③の間の沢北side
    ネトフリ公式ので、萌え散らかしたww
    これ聞いて、ちゃんと深津さんに愛されてるよって思ってるけど、このさぁきたくんは相当自信をなくしておりますww
    ちなみに深津さんは沢北ファンの前では一緒にいないようにしてるので、深津さんと沢北ファンとの接点がなくて、みんな沢深推しなのに誤解されたまま。
    誤字脱字確認用
    『カズがノアとアシスタント契約を結んだらしい』

    それはチーム内でもすぐに噂になった。でも、誰もあまり驚かない。それは深津さんがそういう人材に適してる事を意味していた。まだ早いんじゃないかという意見も聞こえたが、概ね、みんな納得してこの事実を受け入れた。ただ、深津さんはみんなから好かれてる。

    「カズがいないと寂しい」
    「エージ、カズはいつ帰ってくるんだ」

    みんな口々に俺にそう言ってきて、深津さんの情報を聞き出そうとする。でも、そんなのは俺が知りたい。誰よりも深津さんは俺を避けている。これから深津さんの話を聞くことができるのは、俺以外の誰かから。

    なんで?
    どうして?
    俺が嫌だった?
    好きじゃなかった?

    でもよくよく考えたら、深津さんから好きって言われた事がない。高校の時に、俺から告白して、無理矢理体を繋げて、それで今までずっと上手くやってきたから忘れていた。行動で示してたつもりだったけど、馬鹿だな、俺は。深津さんの気持ちをちゃんと聞いたことがない。自分が頑張れば、深津さんは自分のものにできると、ずっと思って行動してきた。それはそれで間違ってはいないけど、それに言葉が伴ってない。深津さんの気持ちも聞いてないし、俺だって、最初の一度きりでそれ以来、ちゃんと気持ちを伝えてない。全部、何もかも、俺の勢いと想いだけで成り立っていた関係だった。だから、今になって、なんで?どうして?と、根本的な疑問しか考えられない。普通なら“好き”が大前提にあって、それとは別にここが嫌だとか、こうしてほしいとか、そういう具体的な問題が出てくるもんだ。でも最初から言葉が足りてないから、何が嫌なのかも分からない。頑張ることだけをやり続けていた俺には、追いかける術を持っていない。正直、これからどう対処すればいいのか、どう動けば正解なのか、全く分からない。動いたら動いたで、何もかも裏目に出そうで、それが原因で本当に深津さんを失いそうで、その恐怖が付き纏って何もできなくなってしまっている。深津さんがいなくなって、十日経ったあたりから、俺のファンも異変に気づき始めた。情報収集は俺より優れているから、もう、どういう状況かも把握している。心配そうに聞いてくるのを、困った顔で返す事しかできなかった。
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