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    94yakanai

    @94yakanai

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    ろぶるっち・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    ザ★起きたの後の幻覚
    大丈夫さ前に進もう

    ##ルッチ

     白い部屋。静かな朝。
     まだ開いたばかりの目にぼんやりと映る景色は、ルッチにとって見覚えのないものだった。揺れる視界が定まっていくにつれ、異様な静けさに違和感を覚えた。材木を削る音、金属を叩く音、騒々しい男達の声も聞こえない。代わりに傍らには、木々の揺れる音とカーテンのはためく音。遠くの方で人の声がする。何故か思うように体が動かないので、ルッチは耳をすまして情報をかき集める。
     その時、近くで何かが羽ばたく音がした。飛びたつ為というよりは慌てた様子のその音に、ルッチは視線をやる。そこに居た、気高く真っ白な羽の色をした鳥の姿はよく覚えのある相棒のものだった。そうして、目を覚ましたルッチに驚いて翼を羽ばたかせるハットリを見た時に、ルッチはようやく思い出したのだ。

    (そうだ、おれは)

     身体が軋む。すん、と鼻を利かせると薬品の匂いがして、ここは病院だと悟る。よろけながら上体を起こすルッチに、ベッドへ降りたハットリは、手助けのつもりなのか頭でルッチの腕を押し上げようとした。

     視界がだいぶ開けて窓の外が見えるようになった。ハットリの頭を撫でてやると、嬉しそうに小さく鳴いて再び窓のサッシに飛び乗った。
     部屋を見渡す。カレンダー、ポスター、書類、目についたセント・ポプラの文字。

    「クルルルル・・・」

     身振り手振り羽振り、色々なジェスチャーを混じえてお喋りが止まらないハットリ。ブルーノが、カクが、ジャブラが、話したいことが沢山あるのだろう。

     ルッチは眩しいものでも見るように目を細めて、ただその姿を眺めていた。ふ、と空気が抜けてそのうち強ばった頬が表情を作るので、ルッチは何気なしに、いつものようにハットリの真似をして、あの腹話術で声を出そうとした。

    「ヒュ・・・ッ」

     鋭い痛みが喉にはりつく。

    「げほっ、ッごほ、ごほっ」
     
     声は出なかった。ルッチは激しく咳き込んで身体を丸めた。丸めるのだって全身が痛む。酷いめまいがする。身体が熱い、高熱を出していることに今更気がついた。
     楽しげにお喋りを続けていたハットリは慌てて飛び回り、外とルッチを交互に見た。ルッチは首を振る。ハットリはベッドへ降り立ち心配そうにルッチの傍に寄り添った。

    (少し、眠らせてくれハットリ)

    (大丈夫だ。今度はすぐに起きる。いつまでも寝てる訳じゃない)

     何だかおかしく思えてルッチは口の端で笑う。ふっと全身の力が抜けた。背後に倒れ込んだベッドが軋んで、柔らかいとはいえない枕に後頭部を打ち付ける。

    (おれたちは前に。進む。進まなくては)

     目を閉じる。まぶたの裏に浮かんでは消え、浮かんでは消える。
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    94yakanai

    DOODLE素晴らしいドフラミンゴさんをお見かけしたので眠ってたおしゃべりドフ鰐メモを引っ張り出すなどする 
    ⚠️あおはるネタ⚠️
    あおはるドフ鰐ちゃんがバイク二人乗りする話
    そのうち夜の海デートとか行って欲しい
    「ワニやろーこっち!迎えに来たぜ」
    「・・・・・・・・・?それに乗んのか・・・・・・?」
    「家の車、今使ってるらしくて出せねぇっつぅから。後ろ乗ってくれ」

     そろそろ着くと連絡があってから数分、本屋で時間を潰していたクロコダイルのスマホに「店の前」とメッセージが届く。「いまいく」。慣れないフリック入力で返事をして会計を済ませ店を出ると、ヘルメットをふたつ抱えたドフラミンゴがバイクに寄りかかって、こちらに手を振っていた。

    「はい、これお前のメット。二人乗りした事あるか?」
    「無い」
    「だろうな。まぁ安全運転で行くから大丈夫だぜ」
    「・・・・・・あぁ・・・」

     ドフラミンゴのバイクは何度か写真で見せられた事があるので、持っていることは知っていたが、乗っているところを見るのは初めてだった。てっきり普段のように、運転手付きのドンキホーテ家の車が停まっているとばかり思っていたクロコダイルは、驚きで目を丸くして固まった。渡されるがままヘルメットを受け取って被り、ドフラミンゴが留め具をロックした。
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    recommended works

    yuki_no_torauma

    DONEバンモモWebオンリー「百の恋と万の愛情を2」で企画されたウェディングプチアンソロジーへの寄稿作品です。

    万理さんと付き合ってる百ちゃんが、万理さんからどれだけ愛されて必要とされているのかを万理さんに理解せられるお話。

    年齢制限の問題で、肝心の理解せ部分の描写はぬるめです。

    お題はプロポーズを使用しています
    わからないなら教えてあげる 今日は仕事終わりに恋人であるバンさんの家に来ていて、バンさん特製の手料理を食べてお風呂に入って……そのあと程よくお酒を飲みながら、二人で映画を観ようということになった。
    「僕は欲張りだから、キミの全てが欲しくなってしまったんだ。お願い、僕と結婚してくれないか──」
     映画を観るために部屋の明かりを極限まで絞って暗くしたワンルーム。
     爛々と照らされたテレビの中では、『結婚適応期にいる不器用な男女が運命的な出会いを経てからお付き合いし、時にはすれ違いながら、最後は結婚というゴールで結ばれる』という恋愛物にしてはありきたりなお話だけど、主人公たちの心情描写がリアルで、結ばれるまでの道のりが感動的なため、万人の心を掴み去年大ヒットした恋愛映画が映し出されていた。
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