Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    111strokes111

    @111strokes111

    https://forms.gle/PNTT24wWkQi37D25A
    何かありましたら。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 290

    111strokes111

    ☆quiet follow

    ゆる〜い現パロ(警察官×教師)です
    クロロレ

    離婚して再婚するやつ(仮)18 リシテアがうんざり顔で黒く染まった指を拭いている。
    「この手帳可愛くてお気に入りだったのに!このペン、さっきあんたに貸しましたよね?仕方ないとはいえ上の空がすぎません?」
     クロードは考えごとに夢中になると無意識に物をいじってしまう。先ほど彼女からペンを借りた際にインクが切れかけている、と思ったところまでは覚えている。無自覚だったのでカートリッジ交換後に中蓋がきちんと締まっているか、まを確認していなかった。
     人間は己の性分から逃げられない。それは時に己を追い詰め───時に己を救うこともある。
    「ごめんな……」
     教職員用出入り口でローレンツに会えなかったら自宅に直接届けよう、と考えながら封をしたクロードは糊が乾いていたことに気付かなかったのだ。半年前、アネットが引き止めてくれなかったら、封筒がきちんと閉じていたら、そんな些細なことで人間の運命は変わる。
    「それで式はいつなんです?」
     リシテアはしぶしぶスマートフォンのカレンダーアプリを開いた。表計算ソフト使いが署で最も巧みな彼女はアナログ派、と云うわけではない。潜入捜査中のクロードがローレンツのことを考えて正気を保っていたようにリシテアは可愛らしい文房具を愛でることで正気を保っている。
    「ローレンツが春しか暇じゃないから春だ」
    「年度が切り替わる時期だから複合姓にする事務手続きもしやすくていいですね」
    「ま、フルネームを名乗る機会はあんまりないしな」
    「書くことは多いですけどね。結婚式も含めて覚悟の表れって感じがして、個人的には好感が持てますよ」
     まだ市役所に結婚届を出していないが今後はフォン=リーガン=グロスタールが二人の新しい姓となる。かなり長いが元の姓も含まれているので都合に合わせて取り出せば良い。一度目の結婚の時はどうすれば周囲に影響が出ないか、独身時代と変わらぬままでいられるか、に苦心していたが今回はそう言った努力をやめた。きちんと挙式をしてゆくゆくは養子も、という話も出ている。
     互いに向いている方角は違うとしてもそろそろ前に進まなくては───半年前、ローレンツから優しく諭されたクロードは両膝をついて首を刎ねられるつもりで彼の提案を受け入れた。思えばあの瞬間以外、クロードはローレンツを手放していなかったような、そんな気がしてならない。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💘💖💘😍😍😍😭😭😭😭❤❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    紅花ルートで戦死した記憶があるクロードと青獅子ルートで戦死した記憶があるローレンツの話です。
    2.振り出し・下
     士官学校の朝は早い。日の出と同時に起きて身支度をし訓練をする者たちがいるからだ。金鹿の学級ではラファエル、青獅子の学級ではフェリクス、黒鷲の学級ではカスパルが皆勤賞だろうか。ローレンツも朝食前に身体を動かすようにしているがその3人のように日の出と同時には起きない。

     ローレンツは桶に汲んでおいた水で顔を洗い口を濯いだ。早く他の学生たちに紛れて外の様子を見にいかねばならない。前日の自分がきちんと用意していたのであろう制服を身につけるとローレンツは扉を開けた。私服の外套に身を包んだシルヴァンが訓練服姿のフェリクスに必死で取り繕っている所に出くわす。

    「おはよう、フェリクスくん。朝から何を揉めているのだ?」
    「煩くしてすまなかった。単にこいつに呆れていただけだ」

     そう言うと親指で赤毛の幼馴染を指差しながらフェリクスは舌打ちをした。シルヴァンは朝帰りをディミトリや先生に言わないで欲しいと頼んでいたのだろう。

    「情熱的な夜を過ごしたのかね」

     呆れたようにローレンツが言うとシルヴァンは照れ臭そうに笑った。

    「愚かすぎる。今日は初めての野営訓練だろう」

     フェリ 2066

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    3.遭遇・上
     三学級合同の野営訓練が始まった。全ての学生は必ず野営に使う天幕や毛布など資材を運ぶ班、食糧や武器等を運ぶ班、歩兵の班のどれかに入りまずは一人も脱落することなく全員が目的地まで指定された時間帯に到達することを目指す。担当する荷の種類によって進軍速度が変わっていくので編成次第では取り残される班が出てくる。

    「隊列が前後に伸びすぎないように注意しないといけないのか……」
    「レオニーさん、僕たちのこと置いていかないでくださいね」

     ラファエルと共に天幕を運ぶイグナーツ、ローレンツと共に武器を運ぶレオニーはクロードの見立てが甘かったせいでミルディンで戦死している。まだ髪を伸ばしていないレオニー、まだ髪が少し長めなイグナーツの幼気な姿を見てクロードの心は勝手に傷んだ。

    「もう一度皆に言っておくが一番乗りを競う訓練じゃあないからな」

     出発前クロードは念を押したが記憶通りそれぞれの班は持ち運ばねばならない荷の大きさが理由で進軍速度の違いが生じてしまった。身軽な歩兵がかなり先の地点まで到達し大荷物を抱える資材班との距離は開きつつある。

    「ヒルダさん、早すぎる!」
    「えー、でも 2073