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    サユリ

    @yurika_tamago

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    サユリ

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    さいとも3展示作品
    お題『バレンタイン』
    短い!

    ##ポプダイ

    チョコレートより甘く「ポップ、これあげる」
     廊下の端から走ってきたダイの手から、ころんとひとつ渡された。銀色の包み紙にくるまったちいさな粒。
    「うん?」
    「チョコレートっていうんだって」
    「ああ、チョコか」
    「甘くておいしいよ!」
     にこにこと笑いながら言うダイがかわいらしくて、頭を撫でる。
    「おまえ、チョコなんて食ったことあんの?」
    「うん。さっきね、レオナがくれたんだ!こんなに甘くて濃いのはじめて食べたよ!」
     年相応に甘いもの好きなダイの口にあったのだろう、ダイはぱあっと輝く笑顔で話していた。かわいいのでほっぺたをぷにぷにした。
    「ふぅん、そっか」
    「だから、ポップにもあげる!えっと、おすそわけ!」
    「うん、ありがとな」
     好きなら独り占めしちまえばいいのに、そんなこと思いつきもしないのだろう。ぺりぺりと銀紙を剥がし、中のチョコレートをつまみ上げ、ダイの口に近づけた。
    「ほら、口開けな?」
    「ぽっぷ?」
    「チョコ、美味かったんだろ?おれはいいからさ」
    「でも……」
    「ほら、溶けちまうよ、はやく」
     ぷに、とダイの唇に押し当てた。少し溶けたチョコレートが、ダイの唇に付いてる。それでもダイは、首を振って断ってくる。
    「ポップが食べて!」
    「いや、おれはいいから、おまえが食えよ。好きなんだろ?」
    「いいから!ポップにあげたんだよ!」
     思ったより強固に断られた。おかしいな、いつもならありがとうって笑って食ってくれんだけどな。ダイがおいしいもの食ってる時の顔、好きなんだけど。珍しいなと考え込んで、ひとつ思いついた。ああ、そういうことね。
    「分かったよ、ありがたくいただきます」
     少し溶けた口の中に濃厚な甘みとちょっとだけの苦味が広がる。相当にいいチョコレートだ。もぐもぐと食べていると、ダイはすこしホッとしたような顔をしていた。わかりやすくて笑ってしまう。指についたチョコレートを舐め取り、ついでにダイの唇からも舐め取った。
    「ん、え!?」
    「ごっそさん。うまかったわ」
    「ああ、うん、よかった!?」
     あわあわとしているダイに首を傾げる。
    「何慌ててんだ?」
    「だって!ちゅーした!」
    「したけど?」
    「えっ、なんで!?」
    「だって、今日バレンタインだし、そういうことだろ?好きなひとにチョコレートってさ、姫さまに教えてもらったんだろ?」
    「……うん」
     ダイがぽんっと真っ赤になった。かわいくてほっぺたに唇を落とす。
    「ありがとな。おれも好き」
    「……うん」
     真っ赤になって俯くダイの唇に噛み付いた。
     チョコレートより甘かった。
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    サユリ

    DONEポダポ。はじめてのちゅーはレモン味がするとかしないとかいう話
    レモン味 ふたりっきりの部屋の中、ベッドの上で、はじめてキスをした。ちゅ、って軽い音がして、ポップのくちびるが離れる。ポップが頭を撫でてくれるから、その手に懐きながら口を開いた。
    「すっぱくないね」
    「うん?」
    「はじめてのキスって、レモンの味がするんだろ? でも、すっぱくなかった」
     首を傾げたおれに、ポップが笑いだす。
    「たとえだよ、たとえ。実際には味しなかったろ」
    「うん。ポップのにおいがしただけだった」
    「……くさいんか、おれは」
    「ちがうよー。おまえのにおい、おれは好き」
     そっと離れようとするポップに、ぎゅっと抱きつく。
    「いちばん近くにいけるから、いっぱいにおいするんだよ」
     ちょっと上の方にあるポップの顔に近づいて、頬を包んで、ちゅっとキスをした。ふに、って唇が柔らかいのを感じながら、すぅっと息を吸い込んだ。ポップのにおいが頭の中をぐるぐるする。ふらりと傾いだおれの頭を、ポップの手が支えてくれた。するすると髪を撫でてくれる手は大きくて、息ができなくて、はふ、と、唇を離す。それでもポップから離れがたくて、息が掛かるような近さで抱き合ったまま口火を切った。
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