Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    サユリ

    @yurika_tamago

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 37

    サユリ

    ☆quiet follow

    ポ←ダ

    恋とは、心に咲く真っ赤な花である。

    ##ポプダイ

    落花恋に気づいたのは、いつだったのか、もうわからない。
    すべてが正しいひとではなかったけど、誰よりもそうありたいと思っている奴だった。
    誰よりも怖がりで泣き虫で。恐怖で膝が笑っても、それでもその一歩を誰かのために踏み出せる、そんな勇気が好きだった。
    表情がくるくる変わって、楽しいのも悲しいのも素直に表現してくれるのが好きだった。おれもそうしていいと思えたから。おれがそうできなくても、おまえが泣いてくれるから、おれも救われたんだ。
    おれの手を握ってくれるのが好きだった。おれを抱きしめてくれるのが好きだった。おれがどうなってもおれであると、おれよりも信じてくれる、その優しさが好きだった。それがおれにとってどれほど嬉しい言葉であったか、ついぞおまえは気づいてくれなかったけれど。そういう鈍感さも、好きだった。

    気づけば心の中には赤く色づいた恋がそこかしこに咲き誇って、鮮やかに世界は作り替えられていた。赤い花は心の中で煌々と光って、おれに行くべき道を示してくれた。おまえは夜の月みたいに、ひとりぼっちの道に寄り添ってくれたから。おれの恋は心臓の上に咲いて、たしかに火を灯し続けていた。

    あいつの告白を聞いて、おれの恋は咲いたままぽとりと落ちた。知っていた。誰よりもおまえの想いを、一途を知っていた。そういうところも好きだった。すきだった。
    すこしだけ悲しかったけれど、あいつの勇気の光がきれいで綺麗で、また、心に真っ赤な花が咲いた。

    おまえとなら悪くない、なんて。まるでプロポーズみたいだね。心にまた花が咲く。蹴り落とした後ろから、おまえの泣き声が聞こえる。ああ、おまえと一緒がよかったな。ぽろりと、涙と一緒に花が落ちた。

    ただひたすらに目指す太陽は、目が眩むほど白くて、目を閉じた。腕の中の熱量が爆発的に膨れていくのを感じる。ああ、終わりだね。
    瞼の裏には、見覚えのある恋がくるくると落ちていく。赤い花の形をしたそれは、鮮やかで優しくて苦しくて、ただ甘やかな思い出だった。
    咲いていたことすら、誰にも言えなかったけれど。すべてが燃えて消え失せてしまうけど。

    「ポップ」

    それでもやっぱり、おまえがすきだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭😭💙😭😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    サユリ

    DONEポダポ。はじめてのちゅーはレモン味がするとかしないとかいう話
    レモン味 ふたりっきりの部屋の中、ベッドの上で、はじめてキスをした。ちゅ、って軽い音がして、ポップのくちびるが離れる。ポップが頭を撫でてくれるから、その手に懐きながら口を開いた。
    「すっぱくないね」
    「うん?」
    「はじめてのキスって、レモンの味がするんだろ? でも、すっぱくなかった」
     首を傾げたおれに、ポップが笑いだす。
    「たとえだよ、たとえ。実際には味しなかったろ」
    「うん。ポップのにおいがしただけだった」
    「……くさいんか、おれは」
    「ちがうよー。おまえのにおい、おれは好き」
     そっと離れようとするポップに、ぎゅっと抱きつく。
    「いちばん近くにいけるから、いっぱいにおいするんだよ」
     ちょっと上の方にあるポップの顔に近づいて、頬を包んで、ちゅっとキスをした。ふに、って唇が柔らかいのを感じながら、すぅっと息を吸い込んだ。ポップのにおいが頭の中をぐるぐるする。ふらりと傾いだおれの頭を、ポップの手が支えてくれた。するすると髪を撫でてくれる手は大きくて、息ができなくて、はふ、と、唇を離す。それでもポップから離れがたくて、息が掛かるような近さで抱き合ったまま口火を切った。
    815