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    サユリ

    @yurika_tamago

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    POIPOI 37

    サユリ

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    ポ←ダ。
    既婚ポプとポプの子とダくんの話。
    注:業が深い。呪詛かもしれない。ポプが既婚(相手はぼかしてる)。オリジナルのポの子が出てる。

    ##ポプダイ

    こんにちは、せかいでいちばんかわいい子。「ダイ、久しぶりだな!」
    「久しぶり、ポップ」
     明るい春の日。ポップたちの家に訪問した。おれが戻ってからしばらくして結婚したポップは、ランカークスの近くにちいさな家を構えていた。久しぶりに会ったポップは、いつもと同じく明るく笑っていて、あたたかかった。お土産とお祝いを渡しながら、ポップの家にお邪魔する。
    「全然遊びに来ねーから心配してたんだぜ」
    「赤ちゃんが生まれるおうちに、たくさんお邪魔するのはよくないでしょ」
     近頃遠ざかっていたけど、ポップの家に赤ちゃんが生まれたから、お祝いに。そう言うと、ムッとした顔のポップに頭をこづかれた。
    「おまえとおれの仲だろぉ?」
    「そんなこと言ってると、奥さんに出ていかれちゃうよぉ?」
    「うわっ、おまっ、縁起でもねぇこと言うんじゃねぇよ!」
     久しぶりに訪れたポップの家は、明るくて整理されていて、ポップたちのしあわせな生活の気配が満ちている。それがチクチクと心を刺すから、ここにはあまり来たくなかった。好きなひとの幸せを手放しに喜べない程には、大人になってしまった。それがすこし悲しい。
     ポップのおしゃべりを聴きながら、しあわせそうな家の中の、大きなゆりかごに近づく。その中では、ちいさな赤ちゃんが、ぱちりと大きな目を開けてこっちを見上げていた。
    「ほら、ダイが来てくれたぞー」
    「あーう!」
    「ふふ、こんにちは」
     その子は、パタパタと手を伸ばしている。ポップが抱いてやってと言うから、抱かせてもらった。ふわふわ柔らかくて、ぷくぷくしてる。ふにゃふにゃでうまく抱けないおれの腕をとって、ポップが直してくれた。
    「そう、そうやって抱くんだ。まだ首座ってないからさ……」
    「わあ、ちっちゃいね」
     きゃあきゃあ人懐こく笑っておれに手を伸ばしてくる。おまえとおんなじくせっ毛で、おまえとちがう瞳の色で、笑っている。なんてかわいい、おまえの子。もっと近くで見たくて、顔を近づける。
    「あぅー」
     なんてかわいいの。おまえそっくり。無警戒に、こんなおれにも笑顔を振りまいて。きっとたくさんの人に愛されるよ。
    「あーう!」
    「あっ、こら!」
     ぺちんと頬に手が当たった。父や母以外の顔が珍しいのだろうか。目を輝かせている。ああ、そういう好奇心が強いところ、そっくりだね。
    「ふふ、ね、強い子になりそうだね」
    「こんな頃からおまえをシバけりゃ大物だよ」
    「あはは」
     ぺちりぺちりとおれの頬を叩く手のひらの、なんと小さいこと。叩く力の、なんと弱いことよ。この手に力を込めれば、たちまち失われてしまうだろうちいさな命。それを見るポップの瞳は、優しく幸福のかたちをしていた。
    「しあわせそうだね」
    「そうなんだよ、こいつ、ずぅっと笑ってんの。あいつに似たのかな」
    「うん」
     おまえにも似てるよ。おれの腕の中の赤ん坊を見つめて、しあわせそうにポップが笑う。ああ、守らなければ。ポップの幸福の申し子よ。きみが泣かなくていい世界を作ろう。きみが笑っている限り、永遠にポップは幸福だ。
    「あぅ、あー」
    「おー、どしたどした」
    「お父さんがいいってさ」
    「あー!」
    「おー、よしよし」
     ポップに手を伸ばしているから、抱いていた子をポップに返した。大切そうに抱き直すポップを目に焼き付ける。ちいさな子をあやしているポップに辞去を告げた。
    「おれ、もう行かなきゃ」
    「え、泊まってかねぇの?」
    「うん、大切な用事ができたんだ。いつまでも、元気でね」
    「え」
    「じゃあね!」
    「あ、おい、ダイっ!」
     ポップの声を振り払うように走り出た。後ろからは誰も追ってこない。ちくりと心臓が痛んだけど、もうそんなのどうだっていいんだ。
     おれのやるべきこと、やっと分かった。自分にできることなど、そう多くはないけれど。はやくはやく、魔界に行かなきゃ。地上に害なす全てを斬ろう。嗚呼、他人より強く生まれて、こんなに嬉しかったことはない。おまえのために戦い続けられるんだもの!踊り出しそうなくらい嬉しいよ!
     もう、ここに心残りなんて何にも無い。
     さよなら、だいすきなひと。

     さようなら、世界で一番憎らしい子。
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    😭🙏😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭🙏🙏🙏😭😭😭💙
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    Replies from the creator

    サユリ

    DONEポダポ。はじめてのちゅーはレモン味がするとかしないとかいう話
    レモン味 ふたりっきりの部屋の中、ベッドの上で、はじめてキスをした。ちゅ、って軽い音がして、ポップのくちびるが離れる。ポップが頭を撫でてくれるから、その手に懐きながら口を開いた。
    「すっぱくないね」
    「うん?」
    「はじめてのキスって、レモンの味がするんだろ? でも、すっぱくなかった」
     首を傾げたおれに、ポップが笑いだす。
    「たとえだよ、たとえ。実際には味しなかったろ」
    「うん。ポップのにおいがしただけだった」
    「……くさいんか、おれは」
    「ちがうよー。おまえのにおい、おれは好き」
     そっと離れようとするポップに、ぎゅっと抱きつく。
    「いちばん近くにいけるから、いっぱいにおいするんだよ」
     ちょっと上の方にあるポップの顔に近づいて、頬を包んで、ちゅっとキスをした。ふに、って唇が柔らかいのを感じながら、すぅっと息を吸い込んだ。ポップのにおいが頭の中をぐるぐるする。ふらりと傾いだおれの頭を、ポップの手が支えてくれた。するすると髪を撫でてくれる手は大きくて、息ができなくて、はふ、と、唇を離す。それでもポップから離れがたくて、息が掛かるような近さで抱き合ったまま口火を切った。
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