【イチ桐】俺vs俺 ソレはある日突然やって来た。
大きさで言えば手の平くらいの、握り潰そうと思えば簡単に出来てしまいそうな。それでいてしっかり一人で立ち、妙に目力があるようにも見えてくる――
「はぁぁ……! なんて可愛さなんだ……!」
春日が両手で大事そうにそっと抱え、天井に向かって掲げた物。
「このキリッとした眉! ずっと撫でていたくなるような触り心地! そして何と言ってもモデルが桐生さん!!」
最高だぁー! と春日が愛おしげに胸元にぎゅっと抱き寄せたソレの正体は、桐生をモデルにした小さなぬいぐるみだった。
何でも推し活だかの一環でオリジナルのぬいぐるみを作ってくれるサービスがあるらしい。春日が一体どんなルートでそれに辿り着いたのかは謎だったが、本人の知らないうちに自分をモデルにしたぬいぐるみがいつの間にか作られていたのだから桐生が驚くのも無理はない。
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