春の神様(3)【黒限】 花と若草の香りの中で午睡を楽しんだ後は、川原で向き合って座って、ムゲンが金属(かね)の操り方を教えてくれます。
「初めてだからな。今日は金属に慣れよう」
「ふーん?」
「金属は冷たいだろ。でも今は?」
そう言って、ムゲンが腕を差し出しました。巻かれている金属に触ると、ぽかぽかと温かくなっています。
「あったかい」
「そう。陽に温められた。川にでも浸ければまたすぐに冷たくなる。この板は曲げられるか?」
「ムリだよ、かたいし」
「じゃあこうしたら?」
ムゲンが薄く平たくした金属が、少し距離を置いて立つ2人の間にふわりと浮かびます。目の前に降りてきた金属を手に取ってみると、しなやかに曲がりました。
「できる!」
「そうだな。こんな風にもできる」
今度はシャオヘイの髭ほどにも細く変化させた金属が軽やかに空中を動いて、なにか複雑な図形を描き始めました。
「ふわぁ」
口を開けて、読めないけれど「字」なのはわかるその図形を感心して眺めます。「小黒」とは、どんな意味なのでしょうか。ムゲンに訊くのはなんとなく恥ずかしくて、後でスミレに訊くために一生懸命に形を覚えました。
「じゃあ、基礎からだ。お前の金属に触ってみろ」
「うん」
霊域の中でムゲンから渡された金属を両手で掴み、ふっくらした手に力を込めました。
「ううううう~~~~~~~~~ん」
曲がれと念じながら、思い切り押してみます。
「力任せにするな」
「じゃあどうするんだ」
将来の気の強さが出てしまいますが、ムゲンは気を悪くした風もなく淡く微笑みました。
「おいで」
ヒトの子の姿のまま、四つ足になってムゲンの足下へ走り寄りました。
彼方の山の端に沈んでいく陽の朱と金に、高みから降りてくる夜と微かな昼の名残が空に彩な錦を織り上げます。金属はぴくりとも動かなかったけれど、今日の修練はもうお終い。猫の姿でムゲンの肩に乗り、2人で村へと戻りました。その足で、いつもの飯屋へ入ります。月下老人へのお詣り帰りに少し早めの夕食を摂る人たちで半分ほども席が埋まっていましたが、シャオヘイとムゲンはいつも通りに奥の席へと案内されます。温かい美味しい食事を腹いっぱい食べて、外へ出ます。
「無限大人」
朝と同じく廟の前に月下老人自身が、その隣には村人達の信心を集める土地公(とちがみ)が並んで立ち、ムゲンへ拱手しました。ムゲンが軽く右手を掲げます。
「免礼。また世話になる」
「はい、お支度はできております。ごゆるりとご滞在ください」
2人がなにを話しているのか、シャオヘイは知っています。ムゲンは毎年、村の土地公の廟に泊まるのです。毎日とは言わずとも時々ムゲンとお泊まりができれば嬉しいと思いますが、シャオヘイは霊力が弱いため土地公の廟には入れません。シャオヘイの祠は小さくてムゲンは入れませんし、高貴な身で、夜露に濡れながら茫茫と生える草を枕とするわけにもいかないでしょう。
「おやすみ。また明日!」
尻尾をピンと立ててそう言うと、くるりと身を翻しました。
お別れが少し淋しい気持ちと、久しぶりにムゲンと過ごせて楽しい気持ちと、でもやっぱり楽しさが勝って、明日もまた一緒に過ごせる期待と相まって足取りも弾みます。
「ヘイ、シュッ、シュッ、ショ」
頭の上のヘイシュも、機嫌良く身体を揺すりながら愛らしく囀ずります。
「楽しかったな、今日」
「ハイン!」
おぼろな春の月を見上げながら、森の祠への道をふたりで帰っていきました。
翌朝、丸くなって眠っていたシャオヘイは、扉の格子から射し込んできた金色の春の陽射しに目を覚まします。足の先から順番に大きく伸びをして、次に前足で丁寧に顔を洗い、ムゲンの居る土地公の廟へ行く前に川へ寄って腹ごしらえです。朝ご飯は、丸々と太った大きな鮎を1匹。頭と尻尾と骨以外は、綺麗にお腹へ収めました。口の周りをきれいに舐めて、丸く膨れたお腹で土地公の廟へ行きます。門の中には入れませんが、外から呼べばすぐにムゲンが気づいてくれるでしょう。
「あれ?」
しかし、土地公の廟のずいぶん手前で足を止めました。月老の廟と違って日頃は村人たちしかお詣りに来ない廟の前に、身なりの良い参拝客たちが列を成しています。不思議に思いながら近づいてみると、なにやら書き付けを有り難そうに押しいただいた参拝客が門から出てきました。気配からするに並んでいる者たちは人ならず、神仙や妖精と思われます。眉を寄せてもう少し近づき、門の奥を覗いてみました。
「おや、仔猫や」
ひょいと顔を出したのは、長い髭の土地公です。
「猫じゃない! 神だよ」
「ほう、自分が何者か知ったか。どうかしたかね、猫神や」
「ムゲンは?」
「無限大人(さま)はお客に会っておるよ」
「客?」
「この通り、順番にな。なにしろ1年に1度しかお出でにならない」
そう話している間にも人ならぬ気配を持つ者がやってきて、列を辿って廟の塀の角を曲がっていきました。門の位置からでは見えない塀の向こう側に、どれほど長く訪問客の列が延びているのでしょう。
「並んでるみんなと会うの?」
「そうだな。ほら」
嬉しそうに書き付けを持って出てきた客が、シャオヘイと土地公の横を通り過ぎていきます。
「今日はもうお約束がいっぱいでな。明日以降の約束を、ああして書き付けて渡すんだ。無限大人は竜王のご嫡男も地に潜る小さな虫の精も同じく等しく扱われるお方、お会いしたければ並ぶほかはない」
「ぼく、昨日ムゲンと遊んだよ。どこにも並んでない。前の春もずっと遊んでくれた。毎日」
「そうだな、珍しいと月老と話していた。並ぶつもりがないなら、いずれこの列がなくなった後でいくらでも遊んでいただきなさい」
「いつ?」
「半月ほどか」
「半月って?」
「陽が昇って沈んで、15回も繰り返した頃だな」
「そんなに!?」
「昨日は無限大人を一日中ひとり占めしたのだろう。ほかの者にも機会を与えなさい」
「……ふーん!」
素直に是(うん)とも言い難く、くるりと土地公に背を向けました。弾むように走り出すと、尻尾の先から黑咻が出てきます。
「ショ~」
シャオヘイの頭の上で、しょんぼりした声を出しました。
「ムゲン、いそがしいんだって。陽が15回のぼってしずんだらまたあそぶんだ。だからさ、ムゲンにもらったかねの板、動かせるようになろ。びっくりするよね」
一緒に遊べないのはつまらないけれど、会えない間にひとりで修練をして金属(かね)を動かせるようになったら、ムゲンは驚くでしょうし喜んでくれるでしょう。シャオヘイを褒めて、笑ってくれるでしょう。
「たのしみだな」
「ハイン!」
ムゲンに会えなくて少しがっかりしましたけれど、会えなくてもできることがあるとわかって、嬉しくなります。修練のために村で一番陽当たりがよくてぽかぼかの川原へ行くと、紫羅蘭に会いました。花の妖精の紫羅蘭は、季節ごとの花たちが健やかに咲いているか、朝から見て回っているのです。
「おはよう。ご飯は食べた?」
「おはよ。食べたよ」
「今日は、無限さまは?」
「ムゲンはお客がいっぱいなんだって。だから次にあそぶ時まで『しゅうれん』するんだ」
「そうか、毎年すごいものね、無限さまへのお客さま。修練って?」
「これもらったから、自分でうごかせるようになる」
人の子の姿になって、懐に入れていた金属(かね)の板を取り出しました。
「無限さまの金属ね。小黒は金属性なの?」
「そうだって、ムゲンが言ってた」
「それで修練を始めたのね。じゃあ一回りしたら戻ってくるから、お昼は私と食べましょ」
「うん!」
「また後でね」
微笑んで手を振る紫羅蘭と別れて、川へ張り出した平たい石の上へ胡座をかきます。そして、金属の板をそっと自分の前へ置きました。
「えーと」
まずは気を集めるところからです。「気を集める」なんて意識したこともありませんが、こうやって感覚を澄ますと、この地に満ちる霊力を感じます。流れる川、風にそよぐ若草、空に枝を広げる樹、愛らしい花々、注ぐ陽の光、座している岩やその下の土や、少し離れた場所から強く感じる霊力はシャオヘイの祠がある森です。こうやって、住まう土地から日々に霊力をもらっているのでしょう。「気が満ちる」感じはまだわかりませんが、しばらくそうして気を集めると、板へ手をかざします。
「う~ん」
動いている金属を頭の中に描きながら、霊力を指先に集めて注ぎます。しかし、ぴくりとも動かないうちに太陽が天頂にかかって、紫羅蘭が戻ってきました。約束通りに家へ招かれ、2人で向かい合って食事します。魚の切り身の湯(スープ)と炒めた青菜、白菜と豚肉の餡が入ったほかほかの包子、お椀に盛られた白いご飯が卓子に並びました。シャオヘイにはとびきりのご馳走です。
「金属(かね)は動くようになった?」
「ううん。ぜんぜん」
「でも昨日から始めたばかりなんでしょ? きっとすぐに出来るようになるよ」
「うん! ムゲンもね、ぼくは才能あるって!」
「無限さまに褒めていただいたの? すごいじゃない」
「そう! すごいんだ、ぼく」
胸を張ってみせ、温かい美味しい食事をたいらげていきながら、ふと思い出します。
「ねえ、スミレは字って読める?」
「読めるよ。どうして?」
「じゃあ、あとでおしえて。ぼく、字よめないから」
「読みたい字があるの? 難しくないといいけど」
「えっ。むずかしく……ないと思う……」
そもそも、無限が金属の糸で宙に描き出した模様が本当に字なのかどうかも、シャオヘイには定かではありません。
「そう? 読めなくて小黒ががっかりしないといいけど」
「しないよ」
微笑むスミレを見上げて、包子に齧りつきます。
食事を終えると、2人で揃って庭へ出ました。字の練習用に置いてある棒を手に、シャオヘイはムゲンの作ってくれた形を思い出しながら、土の上に書いていきます。
「えっ……と……こう……? う~ん、こう……かも……こうかな……?」
書いては消してまた書いて、何度目か書いた形に、隣で見ていたスミレが「わかった!」と声を上げました。
「わかった?」
「うん。こうじゃない?」
スミレが指で、地面に「小黒」と書きます。
「そう、これ! これ、字?」
「字だよ。これは……」
言いさして、言葉を切りました。
「この字、どこで見たの? 昨日はずっと無限さまとご一緒してたんでしょ?」
「『しゅうれん』してた時にムゲンがお手本で見せてくれた。金属(かね)を細くしてね、ぴゅぴゅって」
「そうなんだ、なるほど~」
少し考える表情(かお)をして、それから明るく笑いました。
「じゃあこれは私じゃなくて無限さまに教えていただかなくちゃ。なんて読むのか」
「え……ぅ~ん」
金属性の修練ならなにも恥ずかしくなどなく、わからないことできないことは素直にムゲンに訊きます。でも字を読めないから教えてほしいと、そう訊くにはなぜか恥ずかしさが先立ってしまうのです。
「でも、ムゲンお客がいっぱいだし」
「次にお会いする時でいいじゃない?」
「ん~~~~~~~~~………………うん……」
笑顔のスミレを見上げ、もじもじと指先を擦り合わせて、小さく頷きます。そしてスミレの書いた字を指差しました。
「あのさ、これ、ちゃんと書けるようにするからお手本にしていい?」
「もちろん。一緒に書こう」
「うん!」
優しい申し出に大きく頷き、筆代わりの棒で改めて地面へ「小」の字からたどたどしく書き始めました。
ムゲンにはしばらく会えませんから、朝起きると自分でご飯を獲って、金属の板を相手に修練したり字を忘れないように何度も地面に書いたり、もちろん森の見回りものんびり昼寝するのも風を追って遊ぶのも、春の花や緑を楽しむのだって忘れていません。6日ほどして、スミレがシャオヘイの祠へやってきました。
「あのね、ロジュたちが今日の夜ご飯一緒に食べようって」
「ご飯?」
「うん。テンフーがご飯作ってくれるって」
「テンフーのごはん! 食べる!」
「よかった。じゃあ、一番星が出たら私の家に来てね」
「うん!」
「また後でね」
「あとでね」
尻尾を左右に振ってスミレを見送ると、ヘイシュを呼びます。
「テンフーのごはんだって。たのしみだな」
「ハイン!」
屋根の上で話していると、数人の村の子供たちが賑やかに騒ぎながら、祠の前を通り過ぎていきます。
「ちょっと待って」
1人の少年が祠の前で足を止めて、シャオヘイに近づいてきます。シャオヘイにはヒトなど恐れるに足りませんから、ヘイシュを頭の上に乗せたままでじっと見上げました。
「猫の神さま、これあげる。山菜いっぱい採れますように」
懐から包みを出すと、2つ包まれていた包子の1つをシャオヘイに供えて、丁寧に拱手します。そして、待っている仲間たちのところへ戻っていきました。
「神さまなんかじゃないよ、野良猫だろ」
「お弁当半分あげちゃったの? もったいない」
他の子供たちが口々に言いますが、少年はにこにこするばかりです。
『あの子供』
祠の前を通るたびに、シャオヘイに手を合わせていく少年です。この村でシャオヘイにそんなことをするのは、飯屋の夫婦と今の少年ばかりで、でもお供えをもらったのもお願い事も、今日が初めて。
『ふーん』
お願いをされたなら、少しは協力してやるべきでしょうか。月老や土地公のようにたくさんの人からお願い事をされてはいちいち聞いてもいられないでしょうが、シャオヘイはそうではありません。
『でもなんでぼくが神さまだって知ってるんだろ』
ヒトの子の年齢はよくわかりませんが、シャオヘイが存在を始めた時にはもう闊達に走り回っていましたので、10才くらいでしょうか。初めて見かけた時から、ずっとシャオヘイを拝んでくれています。何百人もが暮らすこの村でたった3人とはいえ、ヒトは時々不思議です。
「あいつ、手伝ってやろうか」
「ハイン」
黑咻を尻尾に戻し、木の上を走り抜けて子供たちに追いつきました。それぞれに籠を携えて森のあちこちに散らばり、熱心に山菜や茸を探しています。
『ふーん』
しばらく子供たちを観察し、それから黑咻を呼びました。
「あいつのこと呼んで」
「ハイン」
枝からふわりと飛んで、黑咻が件の少年の頭を飛び石のように、地面へ落ちて草の間に隠れます。
「ん?」
降りあおいだ少年に、尻尾だけが見えるように素早く移動しました。
「あれ?」
小さく呟いた少年が、樹の裏側を覗いてきます。
「猫の神さま?」
シャオヘイは下生えの中に身を隠し、尻尾だけが見え隠れするようにして森の中を進んでいきます。意図した通り、草や苔を踏む軽い足音がシャオヘイを追ってきました。なにしろシャオヘイは誰よりもこの森に詳しいですから、山菜や茸の在りかだってよく知っています。
「あっ……あれ、うわ、すごい」
やがて、シャオヘイを追ってきた少年が周囲を見回して感嘆しました。足下には多くの山菜が、樹の根元や幹にはたくさんの茸が生えています。
「謝謝您(ありがとう)、神さま!」
大きな声で礼を言って、少年が来た方角を振り返ります。おそらく仲間を呼んでやろうと思ったのでしょうが、それでは森が荒れてしまいますので、道がわからないようにここへ連れてきました。帰りも送ってやるとの意思表示のつもりで、下生えに隠れたままで尻尾だけ振ってみせます。
「……よろしくね、神さま」
シャオヘイの意図が通じたのでしょう。そう呟き、最初は慎重に、次第に熱中して、少年は籠の中を山菜と茸でいっぱいにしていきます。一方シャオヘイは少年の様子を黑咻に見張らせて、自分は樹の上で金属の板を相手に修練に励みました。
「ショ」
黑咻がシャオヘイの頭の上に表れた頃には、どれほど時間が経っていたでしょうか。太陽は天頂を越えています。
「終わった?」
「ショショ」
「よし。じゃあ送ってやろっか」
「ハイン」
金属の板を懐にしまい、猫の姿に戻りました。黑咻に導かれて、大蛇のごとくうねる巨木の根っこに座って休んでいる少年の足下を、さっと通り過ぎます。
「神さま?」
勘の良い少年はすぐに察し、籠を背負ってシャオヘイを追ってきました。時折尻尾を下生えの上に突き出し、あとは通り過ぎて行く際に少し大袈裟に草を揺らして自分の位置を伝えるだけでしたが、来た時と同様に少年はちゃんとシャオヘイに付いてきます。やがて森を通る一本道にほど近い他の子供たちのもとまで戻ると、シャオヘイは静かに素早く木の上へ駆け上がりました。子供たちが木立の間から姿を見せた少年を取り囲むのを、太い枝に腰を下ろして眺めます。
「張三、どこ言ってたの?」
「姿が見えないから案じてたよ」
「ごめん、森の奥で採ってて」
「……うわあ、どうしたのそれ」
「えっ、なになに」
「すごい、籠いっぱいだ!」
少年の籠を覗く子供たちは、賑やかに囀る小鳥のよう。
「すごいだろ。猫の神さまが採らせてくれたんだ」
「猫の神さまって、張三が拝んでた?」
「あの倒れちゃいそうな祠?」
古ぼけてはいますが、屋根も壁もしっかりしていてまだ少しも崩れそうではありませんから、余計なお世話だと思います。
「どこで採ったの? 連れてってよ」
「俺もわかんないよ。行きも帰りも神さまが連れてってくれたんだ」
「え~? 隠すの、意地悪」
「隠してない。ほんとだ。無理に行ったって迷子になるだけだ」
真剣に説明する少年の様子に、皆も得心せざるを得ないようです。皆で弁当を食べてから、子供たちは午後も山菜採りを続けました。少年は仲間たちを手伝ってやり、それでも他の者たちの籠はせいぜいが七分目でしょうか。
「帰ろう」
一番年かさの少女の呼びかけで子供たちが帰路を辿り始めると、シャオヘイも自分の祠へ帰りました。シャオヘイとヒトの子では足の速さは比ぶべくもありませんから、子供たちが再びシャオヘイの祠の前を通りかかった時には、屋根の上に丸まって素知らぬ顔の寝たふりです。件の少年が草の茫茫と生い茂った祠の前で籠を下ろし、地に膝を突きました。そして手を合わせて、丁寧にシャオヘイを拝みます。
「今日は助けてくださって、ありがとうございました。お礼に、きっとまたお供えをお持ちします」
他の子供たちは半信半疑の様子で少年の真面目な様子に苦笑いしていますが、シャオヘイは案外悪くない気分です。また拝みに来る者が居たら、助けてやってもいいかもしれないなどと考えておりました。
つづく