赤いブーゲンビリア「いい加減その花持ってくるの止めてくれないか」
奴は今日もやって来て、いつも通り花を飾り出す。
窓が無い真っ白な部屋にたくさん飾られている赤い、赤いブーゲンビリア。
毎日毎日飽きもせず奴が持ってくるせいで俺はこの花が嫌いになってしまった。
「それは無理だ。これは俺の気持ちだから」
確か赤いブーゲンビリアの花言葉は………
「なぁ、まだ気持ちは変わらないのか?」
ヒヤリとした指先に触れられ鳥肌が立つ。
「変わるわけがないだろう…っ」
強制的に与えられる快楽も、愛の言葉も、増えていく赤いブーゲンビリアも、何もかもゾッとする。
「…用が済んだのなら早く帰れ」
「そうつれない事を言うな。ずっと…こうしていたい」
熱を孕み弛緩した身体を這う奴の手が、俺をゆっくりと眠りに誘う。
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