ジュンくんに会うのが待ち遠しくて、でも迎えに行くほどの時間もなくて、せめてもと寮の門の前で待っていた。車から降りたジュンくんを見た時に、酷く懐かしい気持ちと、これはジュンくんではないという違和感が脳を掠めた。
「あれ、おひいさん。待っててくれたんすか?ただいま帰りました」
「たまたまだね、おかえりジュンくん」
ずっと、体の大事なパーツがどこかに行ってしまったかのような苦しみで胸が痛かった。今すぐにでも抱きしめたくて、もっと近くに寄りたくて、でも寮だからって我慢している。ぼくの口からは勝手に近況報告だとか、いつものわがままが出ていくけれど、なんだかいつもの調子ではないような気がしてならない。ジュンくんが寮の部屋の鍵を開けるのを見守ってから部屋に戻ろうとしたら、サクラくんいないんでどうぞ。と扉を開かれた。
1904