生者の孤独生者の孤独
「死ぬ時は一人だよって、五条が言ったの?」
はは、笑える。
家入硝子は最初から最後まで一言一句真顔で言った。言った後で、口角を吊り上げてにやりと笑った。それはまるで少年みたいな、悪ガキみたいな笑顔だった。あの人みたいな笑顔だった。
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憂太が息せききって医務室の扉を開けた時、家入はもう全然テングビーフジャーキーを食べていた。憂太は大人の女性(それもクールで憧れる)が、仕事中にがっつりジャーキーに噛み付いている姿をあまり見たことがなくて狼狽えたが、ひとまずの礼儀として「あ、お食事中、すみません」と言った。
「ああ、乙骨。仙台行くんだろ?」
「あ、はい。ひと足先に回游に参加してきます」
「そうか。腹壊すなよ」
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