7章妄想マレエー『眠りの森の王子』そこは常に薄暗くカーテンが引かれた部屋だった。
自らが授けた祝福の番人として夢を渡り歩き、全ての者の安寧が守られていることを見届けてから、マレウスはいつも一番最後にエース・トラッポラの夢を訪れる。
何でも好きにして良いと言われたら、すぐさまにでも大勢いる友人達と街や海や遊園地に飛び出して行きそうな快活な印象に反して、祝福の夢の中で少年はいつも一人微睡んでいた。
今も薄暗い部屋の中で、ベッドの上に全裸で横たわって眠っている。
その部屋はマレウスには馴染み深いモノトーンに暗紫色を基調とした家具が置かれていて、どう見てもディアソムニア寮のマレウス自身の居室だった。
本来なら、この部屋を訪れたことがない少年が内装を知るはずがない。
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